ライブラリアン・コラム

韓国発行の新聞記事が読み放題?

竹内 瑶子

2024年6月

新聞記事のオンライン検索

皆さんは時事問題を調べようとするとき、どのように検索するだろうか。国内外のニュースについて、インターネット上の新聞記事を探す人が多いのではないだろうか。新聞を読む際に紙媒体はもちろん、オンラインでの利用も主流になって久しい。日本では、主に大手新聞社ごとに最新版から年代の古いものまでデータベースが構築、公開されているが、それらの多くは有料である。他方で、韓国ではほとんどの新聞をインターネット上で、無料閲覧できる。韓国の学術情報資源のデジタル化、オンラインデータベース化が進んでいることは有名であるが1、韓国における新聞のデジタル化、オンラインデータベース化も注目に値する。そこで本コラムでは、意外と便利な韓国発行の新聞記事のオンライン利用について、筆者のおすすめを3つ紹介したい2

韓国国立中央図書館に所蔵される古新聞のコレクション 1

韓国国立中央図書館に所蔵される古新聞のコレクション (1)
新聞データベース紹介 
1 古新聞の宝庫、大韓民国新聞アーカイブ(韓国国立中央図書館)

まず、古新聞のデータベースとして、韓国国立中央図書館の「대한민국 신문 아카이브(大韓民国新聞アーカイブ)」を取り上げたい。このデータベースは、韓国国立中央図書館が運営し、著作権の切れた新聞記事をデジタルアーカイブ化したもので、1883年から1966年頃までに発行された新聞が公開されている(2024年6月現在)。

このデジタルアーカイブの特徴は、99紙もの韓国国内で発行された新聞をすべて無料でインターネット上に公開していることである。発行日検索、キーワード検索など、様々な検索窓があり、実際に当時の紙面イメージ画像から本文を閲覧し、それをダウンロードできる3。また、時代別古新聞コレクションのほかに、「不動産」や「物価」など生活に身近な話題から歴史的なテーマ等にいたるまで、様々な主題別古新聞コレクションも作られている。このコレクションの主題に興味を惹かれる人は多いのではないだろうか。

本データベースは、出典を国立中央図書館として明示すればダウンロードした新聞記事を自由に引用できるため、韓国に関するレポートを書く際に比較的利用しやすい。ただし、1960年代までの記事が対象であり、特に近代に発行された新聞コレクションが主となっているので、現代の新聞記事は次に紹介するツールの利用をおすすめする。

韓国国立中央図書館に所蔵される古新聞のコレクション 2

韓国国立中央図書館に所蔵される古新聞のコレクション (2)
2 現在の情勢を知ることができるBIGKINDS(韓国言論財団)

最新の新聞記事検索には、韓国言論財団が運営しているBIGKINDSというウェブサイトが有用である。BIGKINDSは新聞記事検索において、最新のニュースを網羅的に検索できることが最大の特徴である。主要な日刊紙だけでなく地方紙等も検索可能で、その日に多く検索されているイシューの一覧やワードクラウドがトップページに整理されており、韓国国内の最新情勢を把握したい利用者にはうってつけである。

BIGKINDSには、様々な検索窓があり混乱するため、ここで簡単に新聞記事検索方法を紹介したい。

トップページ上部にある「뉴스분석(ニュース分析)」にカーソルを合わせ、「뉴스검색・분석(ニュース検索・分析)が表示された箇所をクリックする。その後、「Step 01뉴스 검색(ニュース検索)」に検索語と、기간(期間)、언론사(報道各社)等を入力すると、「Step 02검색 결과(検索結果)」に進み、私たちが普段データベースを利用する際の「検索結果」である記事一覧が表示される。

ただ、このサイトでの新聞記事検索は、最後に表示される「Step 03 분석 결과 및 시각화 (分析結果および視覚化)」という箇所が特徴的である。Step03では、会員登録をせずとも「키워드 트렌드(キーワードトレンド)」と「연관어 분석(関連語分析)」を利用できる4。まず、「키워드 트렌드(キーワードトレンド)」をクリックすれば、検索結果として表示された記事件数の年度別推移が折れ線グラフで可視化される。また「연관어 분석(関連語分析)」では、検索結果で表示されたニュースと関連性の高いキーワードをビジュアル化するワードクラウドも表示される。これは色や文字の大きさで、検索語と一緒に調べられている語や関連性の高い単語がイメージ画像として表示されるため、調べたい事柄に関する検索語について、思いがけずヒントを得ることができるかもしれない。

BIGKINDSは新聞記事検索において、多くの新聞を閲覧でき、かつ検索窓も多様である。テーマや新聞社等を特定せずに利用すると、膨大な情報量の扱いに少し困るかもしれないが、関連語を起点として関心が広がるようなサイト構成である点が強みであるといえる。

最後に、BIGKINDSに特有の興味深いページとして、「국회의원 뉴스(国会議員ニュース)」というページも紹介したい5。現職の国会議員のプロフィールが政党ごとに並んでおり、調べたい国会議員をクリックすると、その議員の詳細な経歴だけでなく、関連するニュース記事や関連語のマインドマップが表示される。韓国国内の政治事情に関心が湧いてくるようなページの構成になっているため、ご関心のある方は是非一度見ていただきたい。

3 シンプルで見やすいニュースライブラリ(ネイバー社)  

最後にネイバー社の 「뉴스 라이브러리(ニュースライブラリ)」を紹介したい。このサイトで検索できる記事は、「경향신문(京郷新聞)」「동아일보(東亜日報)」 「매일경제(毎日経済)」 「조선일보(朝鮮日報)」 「한겨레(ハンギョレ)」の5紙における、それぞれの創刊号から1999年までの期間のものである。会員登録をすれば、記事の保存と詳細検索等ができるが、会員登録をしなくても十分に新聞記事を閲覧することが可能である。非会員では、キーワード検索、日付検索ができ、記事本文と紙面イメージを閲覧することができる。  

「날짜검색(日付検索)」は、日付を入力すると、5紙それぞれの紙面イメージと一面の大見出しが表示される。この検索結果において、紙面イメージの右下「전체 기사보기(全体記事閲覧)」をクリックすると、その日の新聞1面から最終面まで、実際の紙面とほぼ同じように見開きで読むことが可能である。オンライン上でありながら、新聞紙感覚でのななめ読みも可能である。

「키워드검색(キーワード検索)」に関して、検索語を入れるとその検索語の含まれる記事一覧が出ることに加えて、検索結果一覧の上部に、横軸が時間(年)、縦軸がヒットした記事件数を示す棒グラフが表示される。この表示によって、検索結果に該当する記事の多い時期や逆に検索語があまり話題になっていない時期が一目瞭然である6。実際にその年の棒グラフをクリックすると、その年の検索結果一覧が表示され、さらに結果を絞ることが可能である。例えば、1988年に該当する棒グラフをクリックすると、検索結果のうち1988年の新聞記事一覧が表示される。

ニュースライブラリのキーワード検索は検索窓が非常にシンプルなため、特定の記事を検索する際に使用するというよりは、この出来事はどの時代に多く話題になっていたかなどを把握するうえで便利である。またニュースライブラリでは、あるテーマを検索する際に、いつ、どのような論調で新聞記事に書かれていたのか、5紙を比較しながら読むことが手軽にできることも特徴的である。

おわりに

新聞のデジタル化、オンラインデータベース化が進むなか、新聞記事をウェブ検索するだけでも、知りたいことに関する記事にアクセスしやすくなった。しかし、現物と同じように新聞をななめ読みすることもできるニュースライブラリや、古新聞コレクションの豊富な大韓民国新聞アーカイブ等のデータベースを活用することで、新聞を読むことそのものを楽しめるのではないだろうか。また、キーワードのトレンドグラフや関連語のマインドマップを表示できるBIGKINDS等の活用は、関心事についての探求や、研究課題のアイディア出しの場面でも有効ではないかと思う。

参考資料
写真の出典
  • 本文画像、インデックス画像ともに、국립중앙도서관(韓国国立中央図書館)
著者プロフィール

竹内瑶子(たけうちようこ) アジア経済研究所学術情報センター図書館情報課。担当は、朝鮮半島。

  1. 韓国の主要な学術データベースのなかで代表的な例として、RISS、KISS、DBpiaが挙げられる。
  2. 韓国発行の新聞記事検索に関するツールの詳細紹介は、日本国立国会図書館が作成している「リサーチ・ナビ」を参照されたい。
    https://ndlsearch.ndl.go.jp/rnavi/asia/post_163)(2024年6月7日アクセス)。
  3. 紙面イメージ画像、本文閲覧には専用のビューアーが必要である。
  4. 会員登録は韓国在住でなければ難しいが(韓国の携帯電話番号を保有する必要がある)会員登録をすると、関係度分析、情報抽出等さらにいろいろな情報の整理が可能である。
  5. ほかにも、「남북관계 뉴스(南北関係ニュース)」や、「기업으로 보는 뉴스(企業別ニュース)」などがある。テーマごとにページの構成が全く異なる点も興味深い。
  6. 「키워드검색(キーワード検索)」の検索窓はこちらである。