中国の地方志
中国の地方志とは
中国では、日本でいう「地方史」に相当する資料を「地方志(地方誌)」と呼ぶ。また、「方志」や「地誌」と称されることもある。地方志は、特定地域の地理、歴史、行政、経済、産業、文化、教育、人物、風俗などについて総合的に記録した資料で、中国の地域社会を理解するための基礎的文献であるといえる。
地方志の歴史
現代中国における地方志編纂事業
現在刊行されている地方志は、中華人民共和国成立後に開始された国家的事業の成果である。1956年に全国的な編纂計画が立案されたものの、文化大革命などの影響により事業は一時中断した。1978年以降、中国社会科学院を中心として編纂体制が整備され、各行政区域に編集組織が設置された。1980年代に入ると全国規模で地方志編纂事業が本格化し、いわゆる「第一輪地方志」の編纂が進められた。さらに2000年代以降には「第二輪地方志」の編纂が開始され、近年では年鑑の刊行や継続的な修志事業によって地域の変化が記録され続けている。
地方志の種類
地方志は行政区域ごとに編纂されることが多く、省志、通志、市志、県志、郷鎮志、村志のような種類が存在する。さらに、特定分野を対象とした専門志も数多く刊行されている。例として、教育志、交通志、水利志、工業志、衛生志、商業志などがある。これらは地域の社会・経済・文化の実態を多面的に記録する資料として重要な役割を果たしている。
アジア経済研究所図書館のコレクション
中国国内では、中華人民共和国成立後に編纂された地方志だけでも2万冊を超える資料が刊行されている。アジア経済研究所図書館では、そのうち5,000冊余を所蔵している。これは国内でも比較的大規模な中国地方志コレクションであり、中国各地域の歴史、社会、経済、文化の変遷を調査・研究するための貴重な情報基盤となっている。
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アジア経済研究所図書館所蔵の地方志一覧
※本リストは、JSPS科研費25K16395による成果の一部である。
ライブラリアン・コラム
地方志の魅力や当館のコレクションについては、以下のライブラリアン・コラムでも紹介している。
- 「アジ研ライブラリアン、『地方志』の森を歩く」(村田遼平、2024年7月)
- 「アジ研図書館の地方志コレクションを再検討する」 (村田遼平、2025年12月)