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アブドッラー国王統治下のサウジ権力構造の変化 —2015年1月のサルマーン国王即位後の動きを含めて—

中東レビュー

Volume 2

福田安志
2015年3月発行
PDF (2.81MB)
概 要

サウジアラビアは、政治制度上は、国王に政治的権限が集中する専制的君主制の政治体制をとっている。現在は、アブドッラー国王が国家元首として君臨し、首相として政治を取り仕切り、内政外交はアブドッラー国王の強い指導権の下で進められている。

アブドッラー国王は、異母兄であるファハド前国王(首相)の下で1982年に皇太子に指名され、副首相にも任命され、同国の政治上のナンバーツーとなった。そのファハド国王が1995年に脳溢血で倒れたため、その後まもなくして、日々の政務の処理は、事実上、アブドッラー皇太子が担うようになったのである。そして、2005年のファハド国王の死去により、アブドッラーが即位し国王として国家の頂点に立つこととなった。
アブドッラーが国王になってから今年で10年目となる。アブドッラーは皇太子時代も含めて20年近く、サウジアラビアの政治の中心にいたことになる。

皇太子の時代には、アブドッラーが日々の政務を担っていたとはいえ、ファハド国王も存命でそれなりの影響力を維持しており、またファハド国王の同母兄弟であるスディリーセブンなどの有力王族の存在(スルターン国防相やナーイフ内相など)があり、アブドッラーの権力は強いものではなかった。

国王になってからもしばらくは、アブドッラーの権力基盤はあまり強くなかった。国王の権力が固まったのはここ数年のことである。とくに、2011年にスルターン皇太子が死去し、その後を継いで皇太子になったナーイフも翌年に死去すると、サウジアラビアの権力構造が大きく変化するようになり、そのなかでアブドッラー国王の権力の強化が進んでいるのである。アブドッラー国王は、現在、名実ともに専制的君主としてサウジアラビアの内政外交を取り仕切っているのである。

アブドッラー国王は1924年生まれで2015年には91歳になる 。2014年の年末には肺炎を起こしリヤードの国家警備隊の病院に入院するなど、高齢のために健康が不安視されることがある。実権を持った国王として政治を取り仕切ってきたアブドッラー国王が政治の第1線から退くようなことがある場合、サウジアラビアの政治はどのような影響を受けるのか、関心が高まっている。

本稿では、アブドッラー国王の下で進んでいるサウジアラビアの権力構造の変化について明らかにし、そのことのサウジアラビアの内政外交への影響についても検討したい。