ラテンアメリカ・レポート
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論稿
チリの「社会危機」勃発と所得分配問題 ―年金制度改革の議論を中心に
北野 浩一
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2020 年 36 巻 2 号 p. 16-31

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抄録

2019年10月中旬に中高生の地下鉄無賃乗車運動から始まったチリの大規模な反政府デモは、瞬く間に社会問題全般に対する改善要求へと変わっていった。特に、高齢者の貧困の問題と年金改革要求は広く国民が支持する要求となった。統計データから見ると、チリの貧困・所得格差の実態は近年改善がみられる。しかし、OECDへの加盟や左派勢力の躍進などにより、貧困・所得格差の問題に関する民衆の不満は急速に高まっている。これまで、チリは比較的安定した政治システムと堅実な経済政策を維持してきたが、躍進する左派勢力と力を増す民衆運動を前に、政策の大転換を迫られている。

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© 2020 日本貿易振興機構アジア経済研究所
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