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海外研究員レポート

双子の地域性:「獅子身中の虫」と「名誉の孤立」――2015年英国総選挙を振り返って――

PDF版ダウンロードページ:http://hdl.handle.net/2344/00049841

吉田 暢

2015年5月

はじめに

2015年5月7日木曜日に実施された5年に一度の英国議会議員選挙1(庶民院:House of Commons)は、事前の接戦予想を大幅に覆して保守党が単独過半数の議席を獲得し、新たな5年間の政権運営に就くこととなった。筆者は政治学ならびに選挙分析の専門家ではないので精緻な分析ができるわけではないが、ひとりの生活者として英国に暮らす立場から今回の選挙はどう見えたのか、ということについて考えてみることにした。主だった選挙の顛末はすでに既存のメディアで十分に報じられているだろうから、本稿ではこれらについては前半で簡単に概観するに留め、後半で筆者が英国独特の特徴と思う視点から選挙はどのように戦われたのか、その結果は今後どのような展開につながっていくのかについて考えてみることにしたい。

事前予想と政策上の主な構造

英国の庶民院議員選挙は、単純小選挙区制で日本の衆議院議員選挙のように比例代表制は並立していない。「選挙結果」の項で詳述するが、そのため極めて多くの「死票」が出る。さて、各種のメディアが行った選挙の事前予想をうまくまとめた表があったので、まずご覧いただきたい。

表1:各種選挙前事前予想比較
表1:各種選挙前事前予想比較

引用元:http://www.may2015.com/category/seat-calculator/ より筆者作成

表1に見られる通り、どの事前予想も僅差での争いになることを示していて、中には労働党が第一党になることを示唆する予想もある(Poll Observatory)。全体でも保守党がわずかに5議席労働党を上回るという内容である。このように伯仲した結果が予想されていたことから、選挙直前まで労働党が他党との連立を図って政権をとるという見方も少なからず出ていた。例えば2015年5月5日付のテレグラフ紙は、「(労働党党首エド・ミリバンドの主張は二転三転しているものの)労働党が過半数を取れなくとも第一党になった場合、スコットランド国民党(Scottish National Party: SNP)との連立政権樹立を模索する可能性もある」ことを示唆している2。この点については、そうはいうものの労働党はSNPとの連立樹立は難しいのではないか、とする論調も複数あり、筆者は判断がつきかねていたのだが、ここでのポイントは、事前予想では保守党の単独過半数確保などとは誰も想像だにせず、むしろ労働党が第一党となって他党との連立政権を目指すことを前提とした議論がかなりあったということである。

周知の通り英国議会は、特定の地域にその拠点を限定しない全国政党として保守党と労働党の二大政党に加えて、少数政党として前の連立政権に参加していた自由民主党(Liberal Democrat: LD)や、昨今右翼的政策を掲げて台頭してきているイギリス独立党(UK Independent Party: UKIP)3、環境政策を中心とした主張を行う緑の党(Green Party)などがあり、これらに加えて特定の地域にその拠点を置き、その地域の利権を掲げて活動する地域政党としてスコットランド国民党(Scottish National Party: SNP)、Plaid Cymru(ウェールズ語でThe Party of Wales:ウェールズ党)、そして北アイルランドのDemocratic Unionist Party(DUP)やSinn Feinなどがある。基本的な選挙戦の構造は、二大政党である保守党と労働党の争いの中で、如何に少数政党や地域政党が議席を獲得することが出来るかであるが、少なくとも筆者が知る限りでは各党間での「選挙協力4」のような動きは見られない。

政策上の争点は、大きく過去5年間の保守党(自由民主党連立)政権が行ってきた政策の総括が問われたが、同時に「地域政党」の項で後述するように英国独自の事情から英国の中の小さなナショナリズムや地域利権が絡んだ複雑な選挙戦が繰り広げられた。英国全体としては、保守党が過去5年の実績に照らした公共部門のさらなる民間開放を含めた強力な経済成長を前提とした財政再建、もって医療や社会福祉への再配分を実現するという方向性を強調したのに対して、労働党は保守党が主張する経済成長の影にある労働者を搾取する不当な労働契約の規制5や最低賃金の上昇、租税回避をしているとされる大企業や高額所得者への課税を強化することで財政再建ならびに再配分を進める政策を強調したのが今回の選挙の特色である。焦点は雇用や所得向上を中心とした経済政策と失業給付や医療制度を中心とした社会保障制度のてこ入れであり、特に労働党は後者の財源を、特定層を狙った「増税」でまかなおうとした。筆者は、労働党の票が最終的に伸び悩んだのは、有権者が安定的な社会保障政策の運用を望むものの、労働党が訴えた財源捻出の現実性に疑問を持った、ということが原因なのではないかと考えている。つまり保守党の主張する経済成長によってはじめて担保される社会保障財源の充実というある意味で現実的な政策提案に頷く「健全な保守」層が今回の判断を下したのだということである。それは彼らが必ずしもユニバーサルな社会保障の充実を軽視しているということではなく、「貧しい労働者」を助けるために「富める大企業や富裕層」に課税をすることによって社会保障財源を捻出しようとする労働党の提案に対してその実現性を厳しく問うた結果ではないかと筆者は捉えている。

一方で、少数政党や地域政党はそれぞれの利害に合わせて二大政党の主張に賛否を表す形をとったが、中でもUKIPは先鋭的な移民政策の実現を訴えた。具体的には熟練移民の数量制限、非熟練移民の一定期間(5年間)流入凍結、新規の移民に対する失業手当など社会保障給付を一定期間(5年間)留保などである。対外政策としては保守党がEU脱退を問う国民投票を政権獲得後速やかに(2017年末を目標)実施するとしたのに対し、労働党はこれを否定していた。

選挙結果

既知のとおり、結果は前政権与党の保守党が単独過半数の議席を獲得した(表2)。対抗した最大野党の労働党は事前の予想を大きく裏切り、獲得議席で約100議席、得票率でも6ポイント以上の差をつけられて敗北した。詳しくは「地域政党」の項で詳述するが、事前予想で労働党の連立相手として名前が挙がっていたSNPは忠実に事前予想を裏切らず、選挙前の6議席から56議席というパフォーマンスを見せた。SNPはスコットランドの各選挙区に割り振られた59議席のうち56議席を獲得したことになる。一方、事前予想を(悪い意味で)裏切ったのは、過去5年間保守党と連立政権を組んできたLDで、事前予想の28議席を大きく下回る8議席の獲得に留まった。改選前議席が57だっただけに49議席を失ったことになる。

表2:選挙結果
表2:選挙結果

引用元:http://www.bbc.co.uk/news/election/2015/results 議席を獲得した政党のみの数値を元に筆者作成

また表3に示したのは、各党の獲得議席と得票数(得票率)、ならびに両者の比である。獲得議席あたりの得票数が最も少ないのはDUPの23,033票(8議席)であり、次いでSNPの25,972票(56議席)である。またUKIPはその多くの候補者が小選挙区で敗れたため、政党全体としては400万票近く、得票率にして12.6%を得たにも関わらず、結果としては1議席の獲得に留まった。

表3:政党別獲得議席・得票数・得票率・議席/得票数
表3:政党別獲得議席・得票数・得票率・議席/得票数

Source:表2の数値を元に筆者作成。National partiesは特定地域に依らず候補者を擁立している政党、Regional partiesは特定地域に限定して候補者を擁立している政党として区分。

地域政党:躍進のSNPは英国議会の「獅子身中の虫」となるのか

本稿の注目する点のひとつが地域政党である。表4に地域政党の選挙前と選挙後の獲得議席の推移を示した。

表4:地域政党別獲得議席
表4:地域政党別獲得議席

引用元:http://www.bbc.co.uk/news/election/2015/results 元表から議席を獲得した地域政党のみを抽出して筆者作成

特筆すべきは、SNPの大躍進である。表5はスコットランドのみを抽出した選挙結果を示しているが、議席を獲得したのはSNPと保守党、労働党の二大政党とLDのみであり、見事なまでに労働党とLDが失った合計50議席がSNPに流れているのが分かる。全59議席中56議席を獲得するというのは、スコットランドに割り振られた議席をほぼ独占したに等しい。表6に示したウェールズにおける選挙結果と比べてみると、SNPが一地域における議席を如何に独占しているかが一目瞭然である。ウェールズにもウェールズを代表する地域政党であるPlaid Cymuがあるが、これが地域の議席を独占するという事態にはまったくなっていない6

表5:選挙結果(スコットランドのみ)
表5:選挙結果(スコットランドのみ)

表6:選挙結果(ウェールズのみ)
表6:選挙結果(ウェールズのみ)

また表7に示されているように、英国内の地域の一つである北アイルランドでは状況が異なる。北アイルランドにおいては、地域特有の事情を反映して複数の地域政党が議席を分け合うという図式になっていて、保守党や労働党は1議席も獲得していない。ただ複数の地域政党が割拠しているその状況は改選前後を比べて大きな変化はない。

表7:選挙結果(北アイルランドのみ)
表7:選挙結果(北アイルランドのみ)

ここで注目すべきはスコットランドとウェールズの違いである。共に「最終的には地域の独立を標榜する」地域を代表する政党を持ちながら、かたやスコットランドはSNPが議席をほぼ独占しているのに対して、ウェールズからウェストミンスターに送り込まれる議員の中におけるPlaid Cymruの存在感は比較的小さいといわざるを得ない。他方で共通するのは保守党やLDがほとんど議席を取れていないということである。このことから筆者は、スコットランドにおいてもウェールズにおいても有権者に支持されているのは行き過ぎた市場主義を批判し左派的な社会保障を拡大させていく政策を志向する政党ではないかと見ている。事実SNPもPlaid Cymruも選挙戦を通じて保守党政権が認めた労働契約(ゼロアワーコントラクト)を不当であると批判するとともに、NHSをはじめとする他の社会保障が保守党政権によって削減されていることに反対し、彼らの地域においてはこれらを保持するように努めると主張してきた。その意味で彼らは労働党と政策的志向を一にしており、中でも労働党がSNPとの連立政権を模索していると報道されてきたのはそういう理由からである。他方でSNPが労働党と異なる点、端的に言えばスコットランドの有権者が40人の労働党候補者を落選させ、SNPの候補者をウェストミンスターに送り込むことを支持したのは、SNPが英国の「統合」継続を訴える労働党と異なりスコットランドの独立を主張している政党だからである。これが事前の予想の中で、仮に労働党が単独過半数に及ばない第一党となりSNPと連立を模索したとしても実現が困難であろうとされた大きな要因である7

昨年行われたスコットランドの英国からの独立の是非を問う住民投票は否決(引き続き英国内に残留する)という結果に終わったが、SNPは依然としてスコットランドの「独立」をその政策目標から外していない。新たに発足する保守党政権は先だっての住民投票時にスコットランドに対して示した様々の懐柔策をどのように実施していくかという課題を抱えているが、今後スコットランド側からより広範な自治への要求が提示されることも想定されることから、英国はUnited KingdomからFederal Britain(英国「連邦」)へと変貌していく可能性がある、とする見方も選挙の前後から示されている8。住民投票は否決という結果に終わったが、スコットランドおよびこれをウェストミンスターで代表するSNPは、こうした形でスコットランドの「独立」を示していくのではないか、という見方が有力であるように筆者は考えている。故事に倣えば、イングランド選出議員が大多数を占める巨大な英国議会という「獅子」の中にあって、少数派であるものの趨勢の鍵を握るSNPは「身中の虫」として最後は獅子を殺してしまうのか、それとも有害な虫とはならずに獅子とうまく共存する道を模索するのか。

移民政策の行方・EU脱退の是非「名誉の孤立」へ進むのか:今回のUKIPのパフォーマンスをどう捉えるか

多くの報道や事前の予想では主に内政面での政策論議が中心になりがちで、公開討論番組などでも雇用や社会保障が今後どうなるのかを懸念する有権者の声が政党の党首たちに向けられていた9。その中で「移民」政策をどうするのか、という点については、議論された割には結果に表れるような選挙の大きな争点にならなかった感があるが、内政でありながら対外的な性質を併せ持つ課題として注目の度合いは大きかったことは事実である。その中で、厳しい移民政策とEUからの「離脱10」を標榜するUKIPがどこまで議席を伸ばすことが出来るのかに筆者は着目していた。

改選前のUKIPの庶民院における議席は2議席であった。これは前回2010年の総選挙時に獲得されたものではなく、2014年に保守党からUKIPへ移籍を希望した議員が2名出たことに由来している11。今回の選挙では、この2名以外にも全土の選挙区に候補者を立てたが、結果的には2014年の出直し選挙でUKIPに移籍した一人であるClacton選挙区のDouglas Carswellが、UKIP唯一の議席を確保するに留まった。

それでは、UKIPの主張は英国の有権者には受け入れられなかったのだろうか。注3で示した拙稿にはUKIPが欧州議会において英国選出議員数第一党であることが紹介されている。72議席ある英国選出議員枠のうち24議席をUKIPが占めているのに対して、英国議会における獲得議席がたった1議席であるということは、英国の有権者は国内政治においてはUKIPを支持していないのだろうか。

表8に明らかなように、UKIPは小選挙区制度の壁に阻まれて議席こそ獲得できていないが、スコットランドを除くすべての地域において前回(2010年)の総選挙比で他党と比べて最大の得票率の伸びを記録している。また得票率に関しても英国全体において保守党、労働党についで第三位の得票率を挙げている(表8「全国」の欄を参照)。個々の選挙区における候補者のパフォーマンスをデータ12で見ていくと、UKIPの候補者が当選した他党の候補者に次ぐ次点であったケースが複数確認できる13。但しその場合でも当選した候補者の得票との間に著しい差があるケースが多く、必ずしも接戦の末に「惜敗」したといえるものが多数あるわけではないので、これをもって即座にたとえば次回の総選挙でUKIPが大躍進するといえる根拠とはならない。他方でUKIPの候補が議席を獲得したならびに次点になった選挙区は、たとえばエセックスやバッキンガムシャーに比較的集中している一方でニューキャッスルやヨークシャーなどの北部、あるいはサマセット、ドーセットなどの西部にも見られることから特定の地域に集中する傾向が必ずしも強いわけではなく、従ってUKIPの支持層は英国全土にそれほど偏りなく一定数存在していると考えたほうが良い14

保守党政権が2017年末までのEU脱退を問う英国全体の国民投票を公約として掲げて選挙戦に勝っていること、またUKIPを支持する投票行動を示した400万近い有権者がいる事実などを勘案すると、今後の保守党政権の移民政策ならびに対EU政策の行方如何によっては、UKIPあるいはUKIPが主張する政策の方向性を志向する層が増加し、次回総選挙あるいはその手前にある国民投票の結果を左右する可能性は決して小さいとは言えない。その先に待っているのは、欧州の一員としての責任ある英国の継続か、それとも連合を脱退して進む「栄誉の孤立」か。

表8:地域別政党別得票率と前回総選挙時との比較
表8:地域別政党別得票率と前回総選挙時との比較

まとめ

今回の英国総選挙は、事前の予想を覆して保守党の単独過半数獲得という結果に終わった。英国議会を二大政党制と捉えれば(事実、議席の数だけを見れば依然として厳然たる二大政党制である)過去5年間の保守党政権のパフォーマンスを有権者が一定評価し、次なる5年間の政権運営を付託したと総括して事足りる。しかしながら、本稿で見てきた地域政党、なかんずくSNPの存在感、そして少数政党には違いないが今後どのようにその影響力を伸張していくかが極めて未知数であるUKIPの動向ならびにこれを支持する一定の層が今後どのように変化するのかを政権与党である保守党は無視できないだろう。他方、敗北はしたものの依然として最大野党である労働党は党勢を回復するためにどのような方策を必要とするのか、それはSNPをはじめとした地域政党との是々非々の連携であるかもしれないし、保守党が掲げUKIPもその方向性を主張する厳しい移民政策と対EU政策へのアンチテーゼかもしれない。英国が独自に抱える対内的な地域性と欧州の中でどのように立ち位置を示していくのかという対外的な地域性。英国議会において二大政党制が依然として崩れていないとすれば、ふたつの政党が注力するべきポイントはこの「双子の地域性」とどう向き合うかに他ならないと筆者は考えている。

脚注


  1. 最終的な投票率は全国平均で66.1%であった。
  2. http://www.telegraph.co.uk/news/general-election-2015/11566121/labour-snp-coalition.html
  3. UKIPの台頭については拙稿「英国における『政治の季節 『統合と『分離の狭間で」をご覧いただきたい。
  4. 例えば前政権党である保守党と自由民主党がある選挙区で互いに票の取り合いをしないよう候補者調整をするといったこと。
  5. ゼロアワーコントラクト(Zero Hour Contract)。事前に労働時間が明示されない雇用契約。雇用主の必要とするときに必要とされる労働時間を割り当てることができる仕組。実質的に労働時間の保証がないこと、にもかかわらず契約を結んだ労働者は、労働時間の割り当てがなされていなくても「待機」を名目に他の仕事に就くことが契約上認められないなどの制約を受けることが問題視された。労働者搾取だと批判する野党勢力と、一部に問題があることを認めつつ労働者の働き方に合わせた柔軟な雇用形態だとする保守党との間に継続的な議論がある。日本語の解説は例えば以下に詳しい。
    http://www.dir.co.jp/research/report/overseas/europe/20130826_007601.pdf
  6. かつて炭鉱や製鉄、造船業などで栄えたウェールズは、他のイングランドの伝統的に労働党が強い地域(炭鉱地帯や工業地帯)と同様に、労働党の力が依然として強い。
  7. http://www.theguardian.com/politics/live/2015/may/01/election-2015-live-ed-miliband-david-cameron-labour-snp-bbc-question-time
  8. http://www.ft.com/cms/s/0/24ea7de0-c65e-11e4-add0-00144feab7de.html#axzz3ZlBWClEr
    http://www.bbc.co.uk/news/uk-32664468
  9. BBCなどが行うテレビ公開討論番組では有権者がスタジオで観覧し、出演する政党党首などに直接質問するという演出(Question Time)を行うことが多い。
  10. UKIPの対EU観は、無条件でEUから即離脱せよということでは必ずしもなく、EUの政策がすべからく内政干渉的に英国内の政策に影響することを良しとしない姿勢であり、換言すれば英国に都合の良い政策だけを受け入れたいという主張であると筆者は見ている。
  11. 英国では国会議員が選挙で選ばれた当時の所属政党から別の政党へ移る場合は、日本のように実態として自動的に移籍することはできず、出直し選挙を行うことになっている。Douglas Carswell(Clacton選挙区)とMark Reckless(Rochester and Strood選挙区)の2名は出直し選挙に勝利してUKIPに移籍した。
  12. http://www.bbc.co.uk/news/politics/constituencies
  13. 但しUKIPの候補が評価された結果の次点なのか、それとも第三位以降の候補が相対的に弱かった結果なのかは手元のデータだけでは判断が出来ない。
  14. 地域ごとの産業立地とそのパフォーマンスや雇用状況、社会保障支出のデータとマッチングしていないので印象論の域を出ないものの、上記に例として挙げた地域は地方にあるか、大都市から距離的に近くにあっても目立った産業がない、既存産業が衰退しているなど経済政策の恩恵を受けにくい地域特性にあると考えられる。そのため少なくない有権者は失業手当や公営住宅などの社会保障に依存した生活をしているので、移民が社会保障制度を食いつぶすといった政策プロパガンダに敏感である、あるいは移民労働力を吸収する地域の産業そのものが苦戦していて、有権者の多くは移民そのものとの接触があまりない、そのため単なる印象や流れてくるメディアからの情報のみで移民を嫌っている可能性がある、といった背景がありそうである。