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ベトナム:首都ハノイ市拡張へ

PDF版ダウンロードページ:http://hdl.handle.net/2344/00049593

2008年9月

ベトナムの首都ハノイ市が大きくなる。2008年8月1日、第12期第3回国会で5月29日に可決されたハノイ市と関連諸省の行政区域調整についての決議が発効した。同決議に盛り込まれた基本的動きは以下のようなものである(下記の「省」、「県」、「社」は日本でいえばそれぞれ県、郡、村に相当する)。
(1)フートォ省に組み入れられるハータイ省バーヴィー県タンドゥック社を除くハータイ省のすべてと合併する。
(2)ヴィンフック省メーリン県のすべてをハノイ市の行政版図に組み入れる。
(3)ホアビン省ルオンソン県に位置するドンスアン社、ティエンスアン社、イェンビン社、イェンチュン
の4つの社をハノイ市行政版図に組み入れる。

この動きにより、ハノイ市の面積は3344.7002平方キロメートル(約3.6倍)、人口は623万2940人(約1.9倍)に膨れ上がる。

2000年に国会常務委員会により可決された「ハノイ首都法令」は、その第1条でハノイ市を「国家における政治・行政の中心・中枢であり、文化・科学・教育・経済・国際的取引に関する大きな中心であり、党と国家、政治社会組織、外交代表機関、国際組織の所在地であり、祖国の最も重要な対内、対外活動を展開する場所」と位置付けている。そして、ハノイ市の建設・発展の目標を定めた同法令第3条では、その第5項で「着実で高度な成長速度、合理的な構造を伴って首都経済を発展させ、国内経済の発展要求を満たし、主体的に国際経済に参入する」、続く第6項で「文化・社会環境を集中的に健康的で清潔なものとする」ことを定めている。

政府の報告に基づけば、(1)将来的な人口増、(2)規模を従来通りとしたままで長期的かつ着実な発展が可能なのかどうか、(3)従来の規模を保ちつつ、これまで通り経済開発を進めたとして、これまで維持してきた景観が保てるのかどうか、などの観点を総合的に検討した結果、導き出された結論だと考えられる。

おりしも同じ8月に隣国中国の首都北京ではオリンピックが開催された。ベトナムは2003年12月に東南アジアのオリンピックともいわれる、第22回東南アジア・スポーツ大会、第2回東南アジア障害者スポーツ大会を主催した経験を持つ。北京オリンピックに伍するような五輪開催をベトナムの人々が夢として持っていたとしても不思議ではない。