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韓国:統一地方選結果に見る民心離反と政界再編の兆し

PDF版ダウンロードページ:http://hdl.handle.net/2344/00049656

2006年6月

来年末の次期大統領選の前哨戦と位置付けられた韓国統一地方選(5月31日投開票)は、与党・開かれたウリ党の惨敗、最大野党・ハンナラ党の圧勝に終わった。ハンナラ党は16の広域自治体(主要7市・9道)首長選で首都圏や南東・中部など12カ所(ウリ党は全羅北道1カ所のみ)を制し、230の基礎地方自治体(市・郡・区)長選でも155カ所(ウリ党はわずか19カ所)をおさえて勢力を拡大した。地方議員選を含めた政党別得票率でも、50%以上を獲得したハンナラ党に比べて、ウリ党は20%台と大きく水をあけられた。

ウリ党大敗の最大の原因は、盧武鉉大統領の「分配重視」の政策運営にもかかわらず一向に解消されない貧富格差や庶民の不況感など、経済面での有権者の不満が批判票となって表れたためとされている。局地的にバブル化する不安定な不動産市場に有効な処方箋を提示できない不動産政策への不信と、それに付随する不動産増税論への不安感も大きい。内政面では歴史清算や既得権叩きなどで保革対立を煽るような盧政権の理念的政治手法、外交でも悪化する対日・対米関係とは対照的に、国債増発してまで経済支援を拡大しようとする対北傾斜に対して、有権者の懐疑心がウリ党離れとなって表出したと考えられる。

選挙後早々にウリ党の鄭東泳議長や幹部らが相次いで引責辞任したことで、今後与党の凋落とともに盧大統領の求心力低下は避けられないであろう。一方のハンナラ党も今回大勝したとはいえ、選挙直前の朴槿恵代表襲撃事件への同情票やウリ党からの離反票が後押しした面もあるとされ、党の支持基盤が必ずしも強固に確立されたわけではない。来年の大統領選に向けた候補者選出でも、朴代表と李明博ソウル市長がしのぎを削っており、党内は一枚岩ではない。次期大統領候補のダークホースと目される高建元首相も、中道勢力を新たに結成する動きを見せており、与野党議員の離合集散のなかで政界再編が今後加速することが予想される。