CSRレポート(Corporate Social Responsibility)
アフリカ成長企業ファイルは2008年度~2009年度に実施した調査事業の成果です。
2. 各種の活動
世界でもアフリカ現地でも、社会面や環境面など、企業が果たす経済面以外の役割に目が向けられるようになってきた。企業経営者は、従来存在しなかった事業規範や責務を受け入れている印象を与えることが必要ではと考えるようになってきた。企業活動の比較的新しい分野として、用語に多少の混乱がみられるのは驚くに値しない。
多量の用語がメディア、学術機関、コンサルタント、また企業自身によって、不用意に、ときには誤って使用されることも多い。コーポレイト・シチズンシップ、企業の社会的責任投資(CSI)、企業の社会的責任(CSR)、サステイナビリティ、トリプルボトムライン、コーポレイト・ガバナンス、社会変革、企業の社会環境的義務などの用語は、はっきり区別されずに使われることが多い。
持続可能な開発
この言葉は国際開発の現在のコンセンサスを示し、次世代の要求を満たす力を犠牲にすることなく、現世代の要求を満たす能力のことをいう。企業としては、経済開発と利潤追求により、社会・環境の持続性を損なうことがあってはならない。企業は、CSRやCSI活動によって、この世界的な問題に対処している。
コーポレイト・シチズンシップ、CSR
双方とも、企業が広く社会に責任を持つために採用する価値体系である。このような価値は企業のすべての事業や活動の指針となる。南アフリカでは、コーポレイト・シチズンシップの価値体系が、コーポレイト・ガバナンス、公平な採用、環境管理、製品管理、アファーマティブ・アクション、人権、CSIといった活動を支えるものとして想定される。
ここで留意すべきは、CSIは、コーポレイト・シチズンシップやCSRの、ひとつの小さな、しかし影響力の大きい要素であるということである。企業家支援やアファーマティブ・アクションのような、企業のほかの社会変革活動において真に必要な開発知識は、CSIから得ることができるのである。
CSI
CSIとは、企業外部の人、組織、地域社会に対する企業の貢献(資金の有無を問わず)のことをいい、以下の広範な基準に合致することが必要である。
- 従業員への貢献は含まないが、従業員の家族または従業員の出身地や居住地である地域社会への貢献を含む場合もある。
- 恵まれない個人や地域社会を中心に焦点を当てる。
- 企業の後援を除くが、開発部門として企業を後援する場合もある。
- マーケティングや広報活動ではないが、コミュニケーションの要素が必要。
- 財団や基金、または企業のライン部門を通じて行われる。
CSIの概念
コーポレイト・シチズンシップ(あるいはCSR)は、コア事業と利潤の追求を重視すべきである。企業は「責任ある競争力」を求められている。短期的利益を求めて社会や環境にとって健全でない近道を取れば、近年はますます批判されやすく、罰則を受ける場合もある。
社会・環境面で責任ある行動をとるにはコストがかかるが、投資が適切に行われればそのコストは、安定した持続的な成長というかたちで回収可能である。
CSIのプログラムは、ほかのコーポレイト・シチズンシップ活動や社会変革活動と関連していなかればならない。CSIは、事業の垣根を越えて社外に焦点を合わせた、専門的な開発機能として捉えられるべきである。しかし、同時にCSIは事業と不可分であり、そのためコア事業目標に沿って支援すべきである。CSI部門は事業の開発専門センターとして、社会変革課題のほかの要素を支援することが可能である。
旧来のCSI ( 望ましくない姿 )
- 開発アプローチよりも福祉重視
- 広範で、理念的な支援
- 多くが現金による寄付
- 課税控除可能な寄付を優先
- “控えめな”援助、マーケティング不足、調整不在
- NGOからの資金申請に基づいてプロジェクトを選定
- アウトプットよりもインプット重視
- 会長による寄贈のような、ビジネスから切り離されたCSI
経済変容の時代のCSI ( 望ましい姿 )
- コア事業とのより緊密な連携
- BEE(黒人経済力増強)憲章やBEEコードへのコンプライアンス
- BEE憲章やBEEコードに基づいたCSI予算
- 事業利益の明確な、新しく洗練されたCSI戦略
- 事業全体に組み込まれたCSI思想
- CSIプログラムを運営する専門スタッフ
- 従業員の参画を促すためEVPを幅広く活用する
- NPOその他のパートナーとの長期的な提携関係
- 寄付よりも、開発利益を重視した社会的投資
- アウトプット目標とCSI指標に即したCSI実績の評価
- 第三者によるCSI実績の検証
- CSIに関する積極的な情報交換
- 正式な報告書
CSIの対象候補となった開発分野
- 教育
- 保健、 HIV / エイズ
- 雇用創出
- 訓練
- 社会開発
- 環境
- スポーツ開発
- 芸術、文化
- 安全、治安
- 住宅