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調査研究

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権威主義体制における政策過程の研究: GCC諸国の公共交通政策を手掛かりとした分析課題の検討

概要

本研究は、権威主義体制における政策過程について、議会によるアカウンタビリティ要求の表出や可視化された拒否権プレイヤーの存在が、行政組織の制度能力および行政トップのリーダーシップにどのような形で関係しているのかを、GCC諸国の都市交通政策分野、とりわけクウェートの事例を手掛かりとして、問題設定と分析課題の検討を行う。

GCC諸国では、急速な都市化と自動車依存の進展により深刻な渋滞や環境負荷が顕在化してきたが、こうした課題への対応は、権威主義体制における議会制度の在り方の違いと、それに伴う政策過程によって大きく左右されてきた。都市交通政策、なかでもメトロの建設は、計画段階から建設開始・開業に至るまでに巨額の予算を要し、それにかかる議会審議や調達制度、省庁間調整、住民対応といった政策過程の要素がすべて可視化されるため、政策実行能力を分析する上で最適な事例である。

2000年代前半のほぼ同時期にGCC諸国のうち、UAE(ドバイ)、カタール(ドーハ)、サウジアラビア(リヤド)、クウェート(クウェート・シティ)の4カ国・4都市でメトロ建設計画が発表され、事業化調査(Feasibility Studies:FS)が着手された。そのうち、議会の行政府に対する抑制・監視機能が弱いUAE(ドバイ/2010年)・カタール(ドーハ/2019年)、サウジアラビア(リヤド/2024年)でメトロが完成・開業した一方、議会の行政府に対する抑制・監視機能が強かったクウェートでは、FS後の事業着手の段階で事業主体の立ち上げや予算化が進まず、2023年に着工の断念と計画の白紙化が公式に発表された。

この落差は、権威主義体制において、制度構造や配置の違いと、政府の政策実行能力および政策アウトプットの成否との相関関係を示唆しているだけでなく、GCC諸国特有の都市交通政策の枠を超えて、権威主義体制の政策過程における政策形成と実行能力に関する一般的なメカニズムを検討するための論点を提供している。本研究は、議会制度・行政能力・リーダーシップが政策アウトプットをどのように形成するのかに着目し、将来的な権威主義体制における政策過程研究への理論的貢献につなげるため、問題設定と分析課題を検討する準備的・予備的研究として位置付けられる。

期間

2026年4月~2027年3月

研究会メンバー
役割 メンバー
[ 主査 ] 石黒 大岳
[ 委員 ] 土屋 一樹
[ 委員 ] 齋藤 純

※所属は研究会発足時のものです。

予定する研究成果
  • 基礎理論研究会成果報告書