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ラオス人民革命党第11回大会転換期を迎える国家建設

一般書

CC BY-ND

ラオス人民革命党第11回大会――転換期を迎える国家建設――

著者/編者

出版年月

2021年11月

ISBNコード

978-4-258-30035-8

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内容紹介

内容紹介

ラオスは転換期を迎えている。2000年代に入り順調だった経済成長は下降線を辿り始め、政治では次世代への権力継承が差し迫っていた。社会では革命闘争を知らない若年層が人口の多くを占めるようになり、彼らに起因する薬物等の問題も増加した。また、中国への経済的依存が深まり、対外関係のバランスの立て直しも急務となった。本書は、2021年1月の第11回党大会で提示された国家建設路線を分析し、ラオスの「今」と「今後」を理解するための視点を提示する。

目次

序章 第11回党大会を取り巻く環境

著者 : 山田 紀彦

第1章 新たな国家建設方針と世代交代を果たした新指導部

著者 : 山田 紀彦

第2章 第9次5カ年計画の方向性――持続的発展への転換――

第3章 社会開発戦略と人材開発――国民による主体的な貧困

解決――

著者 : 矢野 順子

第4章 外交の現状と課題――対中関係緊密化時代のバランス

戦略――

第5章 第9期国民議会選挙と第2期県・首都人民議会選挙

著者 : 山田 紀彦

はじめに

はじめに

現在、ラオスは転換期を迎えている。2000年代に入り順調に成長を遂げてきた経済は、2014年頃から下降線を辿り始めた。社会では、経済成長時代に生まれた若年層が人口の多くを占めるようになった。10代や20代の若者は革命闘争における人民革命党の指導を知らず、これまでの世代とは異なる価値観をもっている。また政府は、薬物の蔓延や飲酒運転による交通事故などの社会問題の多くに若者が関与しているとみている。世代交代は政治においても重要課題であり、革命闘争世代から戦闘経験のない世代への権力継承も差し迫っていた。外交では中国依存が深まる一方で、歴史的に関係の深いベトナムを筆頭に、対外関係のバランスの立て直しが急務である。ラオスの経済開発はもはや中国資金なしには考えられない。しかし、過度の中国依存には党内からも懸念が示されている。 
このように国家建設が岐路に差し掛かるなか、2021年1月13日から15日までラオス人民革命党第11回全国代表者大会(党大会)が開催された。そこで編者は、ラオス理解に資する的確な情報を発信しようと機動研究事業「ラオス人民革命党第11回党大会と新指導部の誕生」研究会を組織した。党大会は5年ごとに開催され、党指導部の人事異動、過去5年間の国家建設の総括、そして、新たな5カ年方針の提示が行われるもっとも重要な政治イベントである。したがって党大会の内容をみれば、ラオスが抱える問題点や今後の国家建設のあり方を理解できる。党大会に関する研究会を組織するのは、2011年の第9回と2016年の第10回に続いて3回目である。今回は過去2回に取り上げた政治、経済、教育・人材開発だけでなく、外交についても分析を行った。本書を通じて、ラオスの「今」と「今後」を理解するための有用な視点を提供できれば幸いである。
本書の刊行にあたっては、新型コロナウイルス感染症の拡大によりラオスでの現地調査が行えず、現地の知人や協力者を通じて必要な資料を収集し、執筆者によってはオンラインで聞き取りを行った。ご協力いただいた方々には心からお礼を申し上げたい。かつてのラオスは通信事情が悪く、現地に行かなければ必要な情報を入手することができなかった。また現地に行ったとしても、党や政府の公文書を手に入れることは難しかった。しかし現在は、インターネット上での公文書の公開が進み、ソーシャルネットワーキングサービスを通じて容易に情報収集を行えるようになった。とはいえ研究者にとって現地調査が重要であることに変わりはない。また、2人の匿名の査読者からは大変有益なコメントをいただいた。さらに、研究会の運営や編集・出版作業では、研究推進課や成果出版課の方々にご尽力いただいた。この場を借りてお礼申し上げたい。

編者
2021年11月