イデアス(IDEAS)
修了生の声
2023年度 修了生の声(順不同)
2023年度修了生|論文コース
梶原 佐里さん(報道機関)
論文タイトル:“How Can News Media Be Watchdog for MNCs' Corporate Social Irresponsibility in Developing Countries?: Cases from Thailand and Pakistan”
※優秀賞(Excellent Paper)受賞
── 受講を決めた理由は何ですか。
報道機関で主に国際・経済分野の記者職として10年余り従事したのち、経営学(国際ビジネス)の修士課程を修了しましたが、その中で多国籍企業のビジネスとホスト国の経済開発に関心を持ちました。また、学術論文の書き方をさらに学ぶ機会を探しており、プログラムへの参加を決めました。
── 受講後の感想を教えてください。
コースワークでは、貿易理論、開発経済と諸課題、R言語等の幅広い知識を得られました。特に、因果推論に関するグループワークと個別の論文指導は、いずれもアカデミアの第一線で活躍する研究者から、オンライン面談等で丁寧かつ鋭いフィードバックを頂けるという濃密なものでした。論文ゼミでは、多国籍企業の中低所得国での社会的責任(CSR)と報道の役割という、自らの関心に沿ったテーマを設定し執筆することができました。
── 他の研修生とはどのような交流がありましたか。
海外研修生は積極的に自国の状況を共有してくれました。日本滞在時には授業以外でも一緒に時間を過ごし、観光や食事をしながら、経済格差やジェンダー不平等といった様々な課題について、より率直に語り合うことができました。仲間との出会いと学びの機会に、心から感謝しております。
── どのような人にイデアスをおすすめしたいですか。
開発・協力分野で実務経験のある方が大半ですが、どのようなバックグラウンドでも学ぶ意欲のある人は誰でも温かく迎えてくれるのがプログラムの素晴らしいところです。
2023年度修了生|講義コース
阿部 然大さん(AB’z パートナーズ合同会社)|写真右端
ニューヨークでコンサルタントとして働いていた際に、ODAやPPPなどに興味を抱きました。それから10年以上経ち、東京で中小企業の国際化支援に携わり、起業も経験しました。これらの経験から、世界貿易の枠組みや国際協力などの基礎知識の重要性を再認識しました。そこで、2023年度のIDEAS研修プログラムに参加を決意しました。最初は解らない事が多く戸惑いもありましたが、コースを受講するうちに徐々に理解を深めることができました。国や経済の豊かさを評価・理解するために採用されている各指標への理解やその歴史も学び、これらアプローチの進化を感じ取る事が出来たことが、個人的に大きな収穫でした。人の歩みと捉えるとこれらのコンセプトがより身近に感じました。また、特に研修へ参加していた海外の行政官達との議論やアイデア交換は刺激的で、視野を広げる機会となりました。その彼らが来日した1ヶ月間の日本滞在を共に経験したことから、広い世界に対する多くの気づきと学びを得ると同時に、日本に対する理解度も深まりました。そして、この研修を通じて築いた貴重な友情は今後も大切に育んでいきたいと思います。
2023年度修了生|講義コース
Sanya Duaさん
(Indian Council for Research on International Economic Relations)
The diverse cohort of participants from 14 countries and fellows from Japan enriched the learning experience and provided ample networking opportunities, so much so that I am still in constant touch with some of the fellows. The program gives a peer-to-peer learning platform which is meaningful, allowing for discussions on economic and trade issues faced by developing countries and learning outcomes of a developed country like Japan. Coming from a trade and development economic research background, completing this program is like an upward learning curve, providing a clear direction for my future career goals. The focus on topics like Causal Inference in research and international trade, especially in the Asia-Pacific region, was extremely beneficial.
The intensive report writing and group presentations were interesting. The faculty's feedback was good, enhancing my understanding and skills. The bonds formed with fellow participants are cherished, and the exposure to different cultures was enriching. The supportive Japanese fellows made the rigorous lectures enjoyable and even organized outings to explore Tokyo on the weekends. Knowing about the Japanese culture was truly the icing on the cake. This experience personally enriched my daily life, influencing my conduct both at work and within society.
2023年度修了生|講義コース
K.K. Sandun Sameeraさん
(Department of Commerce, Sri Lanka)
The course teaches the participants how to come up with well-informed policy decisions relying on real data and research rather than making decisions based on popular sentiments. I really enjoyed learning concepts such causal inference, identifying and establishing correlations which were applied during our group assignment to refute arguments on economic policies.
Furthermore, I also found the classroom atmosphere during this course was very conducive for advanced learning. The teachings were delivered by leading international and Japanese professors who are well accomplished in their respective subject areas. Apart from the quality of the lecture panel, what make this course a truly international experience is due to the diversity of the group of participants. Each and every participant had their own views based on their country specific experiences and engagements in their respective duties. Participants were free to express themselves at any time and the lecturers promoted active dialog during the lessons. It allowed us to share more experiences and consider the same development issues facing our countries in multiple perspective. During the course of the programme, participants got a wonderful opportunity to get to know other fellows very closely and it led to formation of very strong bonds between us which we carry forward even after the expiry of the course.
2021年度 修了生の声(論文執筆コース/順不同)
目崎 銀兵さん
(銀行)
私は日系の銀行にてプロジェクトファイナンス業務に従事しておりますが、自らの仕事の中低所得国への影響をアカデミックな立場から分析してみたいと日々感じていたところ、本プログラムへ参加の機会を頂戴しました。
日本を代表するアジ研の先生や国際機関所属の講師陣より貿易理論・開発経済・教育・R言語をはじめとする幅広い講義を通して中低所得国の開発に関連した体系的な知識を習得できたことは勿論、グループワークでの政策立案や、アジ研の先生による個別論文指導など、ハードな内容ではありましたが、非常に濃厚で充実した4ヶ月間でした。
特に、グループワークで取り組んだカザフスタンでの再生可能エネルギー推進の政策提案は、日々の仕事を経済活動として客観視するとても良い経験となりました。ゼミにおいては、従前より関心のあったチリのマクロ経済指標と国民の実感とのギャップの要因分析をテーマに論文執筆させて頂きました。自らの関心のあるテーマを納得いくまで掘り下げ、エキスパートの先生方から貴重な知識・アドバイスを頂き、世界各国の優秀な仲間からコメントを頂戴できるまたとない機会を頂き、大変感謝しております。
<論文タイトル> ‟Analysis of the paradox between the macroeconomic achievement and people’s discontent in Chile“
Y.M.さん
(国際機関)
国連で20年ほど社会開発の実務に従事してきましたが、近い将来博士課程に挑戦したいという思いと、サバティカルを取得した機会に、以前から蓄積していた多文化共生と教育に関する考えを論文にまとめたいという気持ちがありました。しかし、研究からは長く遠ざかっていたので、論文の書き方を学ぶ機会を物色していたところ、アジ研の論文コースが目に留まりました。正直コースを始める前は、たった数か月で本当に論文指導をしていただけるのか、また、アジ研といえば、(私の勉強不足ですが)マクロ経済系研究のイメージがあったので、自分の研究したい分野と相性が合うのか若干不安はありました。でも、実際コースが始まると、そういった不安は払拭されました。アジ研の先生方は研究者としてのみではなく、論文指導の面でも一流です。また、論文執筆のみではなく、様々な講義を通じて、これまで仕事で得てきた知見を確認したり、他の分野についても広く体系的に学ぶことができました。今振り返って、一言でスクールでの感想について申し上げるなら、この先の人生で長く心に残る学びの経験であったと思います。ありがとうございました。
<論文タイトル>非公開
K.M.さん
(独立行政法人)
イデアス研修プログラムの講師陣は、開発実務またはアカデミアの最前線で活躍する方々であり、少ないコマ数の中で担当セクターの最重要課題、そして面白さを伝えようとよく練られた講義を展開してくださり、社会経済開発の諸課題を短期間に俯瞰することができるようになりました。仕事や学業を続けながらこなすには厳しい局面もありましたが事務局からは様々な案内のメールも頻繁に届き、オンラインプラットフォームの掲示板では気軽に教官や他の受講生とやりとりができるなど、手厚いサポートを受けながら、モチベーション高く4.5ヶ月の研修プログラムを乗り切ることができました。また、グループワークや論文執筆における担当教官とのセッションを通じて、他の受講生や講師と活発なディスカッションを交わすことができ、共に学んでいる心強さを感じられました。
最終論文のテーマは各自が自由に設定でき、私自身は初の海外赴任直後に研修を開始しこともあり、赴任先であるジブチの外国軍基地誘致が現地の社会開発に与える影響について考察をしました。普段実務ではなかなかやり取りのできないアカデミアの最先端の先生から鋭い示唆をいただきながら執筆を進められ、非常に深い学びの機会となりました。
私自身は昨年自分がした選択に全く悔いがなく、期待以上のものを得られたと実感してい ます。もし、イデアス研修プログラムへの応募を迷われている方がいらっしゃいましたら 是非応募してみることを強くお勧めします!
<論文タイトル>‟Competition of Foreign Bases and the Survival Strategies of Djibouti“
SHI Yunさん
(東京外国語大学
大学院生)
学内説明会でイデアスに関する色々なお話を聞いており、国際開発に関心があるため、本プログラムに参加しました。イデアスプログラムを通じて、実際に国際協力機関で活躍された、または活躍されている研究者の方々の講義を受けることで、教育、水・環境及び難民といった幅広いSDGsの課題に触れることができ、各発展途上国の開発に取り組んでいた経験と研究成果を聞かせていただくところが学校内の授業でもできる機会が数少ない貴重な体験であったと感じています。また、日本国内外の研修生の方々とのグループワークを通じて、多様な考えや価値観に触れることで、別の視点で物事を捉えることがで きるところも貴重な経験だと思いました。
ゼミでは、自分の修士論文に関連のある「インフラ建設プロジェクトを中心とした中国の対ナイジェリアの資金援助」をテーマとし、中国から提供した大量の融資はナイジェリアの経済に負担をかけるかどうかについて検討しました。データ収集を進める際に、指導先生から債務のデータと報告書などの参考文献を送ってくれたので、大変助かりました。また、本プログラムの論文のみならず、私の修論にも色々なアドバイスをいただいたため、今でも感謝の気持ちでいっぱいになります。学生の私にとって、学校の授業だけでなく、多岐にわたる知識を勉強することができ、自分の修論の執筆にも役立てる点がイデアスプログラムの一番の素晴らしさだと思います。