岐路に立つキューバ  

アジア経済研究所叢書

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キューバ革命から50年余,ソ連崩壊以来の危機に直面しつつも,一元的な体制を堅持してきた革命政権は,次第に顕在化し始めた社会主義体制の緩みに,いかなる方策をとってきたのか.その動向に世界が注目する,岐路に立つキューバ。キューバ国内外の最新の研究に依拠し,政治・経済・社会・国際関係の面から,体制の抱える現状と課題を,多角的・総合的に分析する。

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■ 岐路に立つキューバ
山岡 加奈子  編
■ 4,840円(本体価格 4,400円)
■ A5判
■ 267pp
■ 2012年2月28日
■ ISBN978-4-00-009977-6

CONTENTS
まえがき
序章 岐路に立つキューバ/山岡加奈子
    はじめに
    第1節 キューバ革命体制
    第2節 キューバ革命体制をめぐる論点
    第3節 経済・社会の動向
    第4節 キューバをめぐる国際関係
    おわりに
第1章 移行期におけるキューバの政治体制 ——ポスト全体主義体制としてのラウル政権——/山岡加奈子・小池康弘
    はじめに
    第1節 分析の枠組み ——全体主義体制、権威主義体制、ポスト全体主義体制——
    第2節 政治的・経済的・社会的多元性と制度
    第3節 イデオロギー
    第4節 リーダーシップとカリスマ
    第5節 ラウル新政権下での多元化への動き ——ポスト全体主義体制へ——
    おわりに
第2章 平行線をたどるキューバ・米国関係 ——一元性をめぐる認識ギャップ——/山岡加奈子
    はじめに
    第1節 分析の枠組み
    第2節 キューバの対米国関係言説
    第3節 キューバ側の主張
    第4節 米国の対キューバ政策と言説
    第5節 両国間の認識ギャップ
    おわりに
第3章 キューバ社会主義体制の維持とALBAの展開/田中 高
    はじめに
    第1節 ALBAの制度とその構造的な問題点
    第2節 キューバ経済を下支えするALBA ——ナショナルなレベル——
    第3節 ソフトパワーとしてのALBA ——リージョナルなレベル——
    第4節 グローバル化と国家主権、非同盟運動、反市場経済 ——グローバルなレベル——
    おわりに
第4章 キューバ社会主義経済の移行問題/狐崎知己
    はじめに
    第1節 マクロ経済の動向
    第2節 キューバ経済の成長モデル
    第3節 改革の展望
    おわりに
第5章 キューバ社会主義福祉国家 ——福祉国家論の視点から——/宇佐見耕一
    はじめに
    第1節 分析枠組みとしての社会主義福祉国家
    第2節 キューバにおける福祉国家レジーム
    第3節 社会主義福祉国家の形成要因
    おわりに
第6章 「人種」なき未来に向かって ——現代キューバにおける反レイシズム闘争の展開——/工藤多香子
    はじめに
    第1節 レイシズムとの闘いのはじまり
    第2節 歴史の痕跡としての黒い肌
    第3節 周縁的な他者としての「ネグロ」
    第4節 「人種」意識の回復
    第5節 1つのキューバというプロジェクト
    第6節 新たに「人種化」されるキューバへの懸念
    おわりに
補論 キューバ党と革命の経済・社会政策指針の概要/狐崎知己・山岡加奈子(訳)

索引