トルコ

他社で出版した研究成果

ミネルヴァ書房

日本における中東政治研究の最新の知見をあつめたシリーズの第1巻。政治研究で例外視される中東地域の分析において、政治学と地域研究を組み合わせ、その構造的変動を解明することを目指す本シリーズは、今後の中東地域内力学および国際関係を見通す視座も提供する。第1巻は、「中心・周辺」の力関係を軸に分析する、トルコを知るための必読書。

■ トルコ
■ 中村 覚 監修、間 寧 編著
■ 4,180円(本体価格 3,800円)
■ 256pp
■ 2019年6月
■ ISBN978-462-30-8519-4

Contents

巻頭言 「関わりのある他者」中東に関する地域研究と政治学の協調と融合へ

序章 トルコ政治の枠組み転換/間 寧
  1 トルコ政治の2000年代の枠組み転換
  2 中心・周辺」枠組み
  3 「周辺」強化の要因
  4 各章の概観

第1章 日本・トルコ関係――皇室・政府・市民の「三層外交」――/大曲 祐子
  1 「親日国」トルコというイメージと実体
  2 黎明期から関係の実質化まで
  3 冷戦後の戦略的パートナーシップと市民の関係強化
  4 皇室、政府、市民の「三層外交」
  5 過去・現在、そして未来へ

第2章 多文化主義――公正発展党のアレヴィー政策の事例から――/柿崎 正樹
  1 トルコ社会の多様性とアレヴィー
  2 欧米とトルコにおける多文化主義
  3 トルコ政治史におけるアレヴィー
  4 公正発展党によるアレヴィー政策
  5 今後の見通し

第3章 市民社会──世俗・宗教軸と対政権軸──/幸加木 文
  1 政治と市民社会をめぐる問題
  2 市民社会に関する論点と関心
  3 市民社会の政治的位置づけと経緯
  4 公正発展党政権期における市民社会組織の諸相
  5 二元論を超えて

第4章 政治体制──経済、宗教、政権支持──/間 寧
  1 一党優位制の台頭から定着へ
  2 一党優位制下の投票行動
  3 研究設計
  4 分析結果
  5 価値観戦略の限界

第5章 政党制──10パーセント阻止条項への有権者と政党の戦略──/荒井 康一
  1 トルコの政党制に関する研究
  2 阻止条項と戦略投票の理論
  3 トルコにおける阻止条項と多党化
  4 トルコにおける戦略投票の実態
  5 阻止条項と政党の戦略変化
  6 高い阻止条項と政党制

第6章 地方行政──分権化から再権威主義化へ──/山口 整
  1 地方行政の再権威主義化──ケマリスト体制から公正発展党政権へ
  2 地方行政の矛盾と分析の視角
  3 AKP政権による地方分権化のアジェンダ化
  4 地方分権化の後退
  5 トルコ地方行政はどこへ行くのか

第7章 外交──米国中東政策の「請負」理論とその検証――/今井 宏平
  1 国際秩序安定化政策としてのオフショア・バランシング
  2 オフショア・バランシングの理論的考察
  3 中東におけるオフショア・バランシング
  4 事例研究──オバマ政権下での公正発展党の域内外交──
  5 評価──オバマ政権下でトルコは責任請負国だったのか──
  6 オフショア・バランシングの課題

第8章 国内治安──クルド問題における和平の試みと失敗──/岩坂 将充
  1 クルド問題「解決」の試み
  2 PKKとトルコ
  3 軍事的アプローチから政治的アプローチへ
  4 AKP政権と「解決プロセス」
  5 遠のくクルド問題「解決」

第9章 政治と経済──経済自由化と社会的保護──/間 寧
  1 経済自由化政策の貧困層への影響
  2 AKP政権下での成長と分配
  3 貧困層の相対的厚生
  4 経済自由化の現実主義

終章 「周辺」強化の定着過程/間 寧
  1 「周辺」強化がもたらしたもの
  2 政治制度
  3 社会的多様性
  4 国内治安と国際関係

あとがき
索引