お知らせ・記者発表

第37回「発展途上国研究奨励賞」受賞作品決定について

2016年6月9日

発展途上国研究奨励賞 」は、途上国に関する社会科学およびその周辺分野の調査研究水準の向上と研究奨励に資することを目的として、昭和55(1980)年度に創設したもので、今回は第37回目となります。

ジェトロ・アジア経済研究所は、平成27年1月~12月の1年間に公刊された図書、論文など発展途上国の経済、社会などの諸問題を調査、分析した著作31点の中から次の1点を選定しました。31点は大学や出版社等から推薦されたもので、長澤栄治東京大学教授を委員長とする選考委員会が選考しました。

記者発表

表彰式は、7月1日(金曜)午後2時より、ジェトロ・アジア経済研究所にて開催され、
受賞者による講演(約30分)が行われます。詳しくは こちら をご覧ください。

現代ラオスの中央地方関係—県知事制を通じたラオス人民革命党の地方支配 』 (京都大学学術出版会)
著者 瀬戸 裕之  名古屋大学大学院法学研究科 特任講師
(著者の所属・肩書きは書籍刊行時のものを表示しています)

本書は、ラオスにおける県知事制に焦点を当てる形で、ラオス人民革命党の地方支配のメカニズムを詳細に分析・解明した労作である。
民主集中制を採用する社会主義国家において、中央地方関係は大きな経済問題であり政治問題である。本書は、ラオスの中央地方関係の変遷について、いわば時系列的な縦軸と分野別の横軸の双方に意を払い、丁寧な分析を行ってそのダイナミズムを明らかにすることに成功している。他の社会主義国の研究にとっても大変参考になる内容となっている。

特徴的なのは、可能な限りで細かく収集されたデータの豊富さである。公的な出版物が欠如している状況の下で、ヒアリングを繰り返し、実状に迫った粘り強さは高く評価されるべきであろう。議論も丁寧で、じっくり時間を掛けて仕上げた成熟感が感じられる。



担当部課
ジェトロ・アジア経済研究所 研究支援部 成果普及課
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