調査研究
研究会一覧2025年度
グローバルな船員労働市場における船員の権利保護:フィリピン人女性船員の事例を中心に
概要
本研究は、急速なグローバル化が進展する海運業界において、フィリピン人女性船員の就業に関する課題を探求する予備的研究である。海運業界は従来、男性主導の産業とされてきたが、船員確保という喫緊の課題に直面する中で、近年、女性の積極的な登用を推進している。しかしながら、女性の参入に際しては、制度的、社会的、文化的な諸課題が依然として存在している。本研究では、2021年に世界最大の船員供給国となり(BIMCO 2021)、日本商船隊で働く外国人船員の72%を占める(日本船主協会 2024)フィリピン人に着目し、フィリピン人女性船員の養成過程および就業過程における主要な課題は何かという点に焦点を当て、外航商船に就労する女性船員が直面する諸課題を体系的に分析する。具体的には、同分野における先行研究のレビュー、労働環境における課題の特定、女性の労働参加に対する構造的な障壁の解明を試みる。この研究の意義は、少子高齢化が進展する日本の海運業界にも及ぶ。日本商船隊は外国人船員、とくに、フィリピン人船員への依存度が高く、フィリピン人女性船員の置かれた状況を明らかにすることは、日本海運業界における女性活躍推進策の検討に貢献することが期待される。
期間
2025年4月~2026年3月
研究会メンバー
※所属は研究会発足時のものです。
予定する研究成果
- 基礎理論研究会成果報告書