90年代中国地域開発の視角－内陸・沿海関係の力学
アジアの経済圏シリーズ
5
税制改革による中央財政の強化や、市場の徹底による沿海から内陸への生産要素の移転促進など、1990年代の中国が抱える地域開発戦略の課題を多角的に分析。
■ 90年代中国地域開発の視角－内陸・沿海関係の力学
■ 丸山 伸郎 編
■ B5判
■ 421pp
■ 1994年
■ ISBN4-258-23005-1
CONTENTS
表紙・目次
まえがき / 丸山 伸郎
第1部 改革・開放政策下の地域社会経済の構造変化
第1章 市場経済化と地域経済変動 / 丸山 伸郎
はじめに
第1節 1980年代改革政策のレビュー
1.漸進主義路線
2.「放権譲利」の限界
第2節 地域政策のレビュー
1.不均衡発展戦略の評価
内陸への財政投入
2.不均衡発展戦略と産業構造変動
国営セクターの役割/地域産業構造転換
第3節 1990年代の地域開発政策の方向
分税制の影響/企業税制改革と機会の均等/国営企業改革/農業改革と「造血政策」
第2章 開放体制と地域開発 / 馬 成三
はじめに
第1節 対外開放の成果
1.対外貿易と対外借款
対外貿易の発展/対外借款の拡大
2.直接投資導入
第三の高揚期/投資構造の変化
3.立ち遅れた内陸開放
少ない内陸の外資導入/地域舎兄政策
第2節 経済発展と地域開発への寄与
1.対外貿易と対外借款の役割
貿易の役割/対外借款の役割
2.直接投資の役割
産業発展への促進/輸出の重要な担い手
3.地域間のアンバランス
沿海地域に集中する外資のインパクト/突出する広東省
第3節 新しい局面をむかえる対外開放体制
1.開放地域の拡大
開放中心の多様化/内陸開放の促進
2.外国直接投資政策の調整
インフラ分野への投資の奨励/国内市場の開放
3.GATT復帰への対応
改革を促すGATT復帰
第3章 地域経済発展と労働力移動－発達地域と未発達地域の比較 / 加藤 弘之
はじめに
第1節 産業間での労働力移動
1.拡大する地域間格差
東・中・西部区分による地域格差/省別一人当たり国民所得の変化/上位五省と下位五省
2.就業構造の変化
3.非農業部門の雇用吸収力
労働力移動指標/労働力移動指標の地域比較
第2節 地域を越えた労働力移動
1.地域を越えた労働力移動の出現
労働力移動の背景/「盲流」の出現/労働力移動の三つの流れ
2.労働力移動のチリ的・空間的流れ
「暫住人口」の増大/省を超えた労働力移動/省内部での労働力移動/広東省・四川省の事例
3.出稼ぎ者にみられる個別的特徴
性別/年齢/学歴/就業先
第3節 労働力移動の要因
1.過剰労働力の圧力
低下傾向にある土地・労働力比率/過剰労働力の規模
2.地元での就業機会の少なさ
非農業部門の雇用吸収力の地域格差/都市化水準の地域格差
3.都市－農村間の所得格差
農民－非農民間の消費レベルの格差/地域間での消費レベルの格差
4.出稼ぎの主観的動機
第4節 労働力移出政策をめぐる問題
1.「就地転移」の必要制と可能性
地元での就業機会増加の必要性/中西部地域の郷鎮企業発展の限界
2.労働力移出の意義と問題点
労働力移出の意義/労働力移出の問題点
3.立ち遅れた政策的対応
労働力移動の「盲国性」の原因/政府の政策的対応
まとめ
第4章 地域開発と都市化の進展 / 沢田 ゆかり
はじめ
第1節 計画経済期の都市開発
1.初期の都市政策の背景
2.都市の急成長
3.都市化抑制への転換
第2節 市場経済化の都市化
1.経済改革と都市人口の増大
経済改革の進展/農民の都市への流入/流動人口の果たした役割
2.社会資本整備の変化
企業による住宅建設/土地の有償化と使用税の導入/土地使用権の売買/見えない土地使用料/貯蓄の利用
3.農村の都市化
農村の産業構造の転換/郷鎮企業の役割/農地の優勝譲渡
おわりに－都市の分布と問題点
第2部 内陸開発の課題
第1章 西部地域の開発と発展 / 中国社会科学院経済研究所中国西部開発研究グループ
はじめに
第1節 経済改革開始以前の西部地域の開発
1.西部地域の開発過程
第1時五カ年計画期（1953－57年）－1960年代中期/三線建設期（1966-70年代中期）/1970年代中期以降
2.改革期以前の西部地域開発の特徴とその評価
改革以前の開発の功罪/弱い波及効果/国営部門主体の開発
第2節 改革・開放時期の西部地域の開発
1.1980年代の西部経済発展の概観
国民所得生産額の推移/国民所得支出額格差の拡大/産業構造調整の遅れ
2.市場経済の下での西部地域の発展とその問題点
地域間格差拡大の背景・要因/所有制構造の調整と国営企業の改革/所有精度の調整/国営企業の効率の向上/国営企業改革の問題点/三線工業の調整問題/郷鎮企業の発展と問題点/財政体制の調整/財政収支状況/西部地域に対する投資の推移/1980年代の西部地域投資重点の調整/貧困地区の開発/対外開放の進展/改革下の西部開発の諸側面
第3節 1990年代西部地域経済発展の展望
1.現在の状況
依然強い東部の優位性
2.1990年代中・工期の中部・西部地域経済発展の展望
中部地域の発展展望/西部開発の困難
3.西部地域経済発展の潜在優位とチャンス
西部地域の開発チャンス
4.1990年代における西部地域の開発戦略
開発戦略の選択/二重構造の転換/適正成長維持のための改革の方向
第2章 西部地域農村経済発展の現状と展望 / 賀 暁東
はじめに
第1節 西部地域の農村経済発展
1.改革・開放期以前（1949-78年）の開発
2.改革・開放期（1979-91年）の開発
3.経済成長と産業構造変化の動因
第2節 農村経済発展の地域間格差
1.地域間所得格差
2.西部地域の都市・農村間格差
3.消費・貯蓄の地域格差
消費の地域格差/貯蓄の地域格差
4.経済組織発達度の地域格差
5.経済効率の地域格差
6.産業構造と郷鎮企業の発展水準の地域格差
第3節 西部地域農村発展問題の分析
1.自然地理要因と社会経済要因
自然地理要因/社会経済要因
2.貧困化と低貯蓄率の主要因
3.西部地域の人口問題
深刻な人口圧力/人口増加の経済的影響
第4節 西部農村地域の社会経済発展の展望
1.発展の潜在力
農業資源/鉱工業資源
2.経済構造の転換と郷鎮企業の発展趨勢
3.中央政府の地域開発政策の調整とその評価
4.西部農村地域の余剰労働力の移動問題
余剰労働力規模の予測/農村余剰労働力の産業間・地域間移動の推移/農村余剰労働力移動の制約要因/余剰労働力移転の展望
第3章 陜西省の工業化－概観と評価 / 今井 健一
はじめに
第1節 陜西の経済的概観
1.開発の初期条件
人口密度の高さ/工業化の初期条件
2.低い所得水準
全国水準との格差/1949年以降の推移
3.経済構造の特異性
二重構造/限界的な農業部門/国営大・中規模企業中心の鉱工業部門
4.成長率格差の要因
部門別成長格差のパターン/農村工業化の格差
第2節 計画経済期（1949-70年代末）の工業化過程
1.第一次五カ年計画期－調整期（1953-65年）
急速な重工業化/都市人口の急増/農村綿工業の抑圧
2.三線建設期（1966－70年代末）
重工業建設の再開/構造問題の深刻化/食糧需要の拡大と農業のボトルネック化/農村経済構造転換の遅れ/都市部門の低い労働吸収力/消費財部門の発達の遅れ
第3節 経済改革期（1970年代末－）
地域開発政策の転換/構造的不均衡の制約要因化/国営部門の成長とその限界/資金不足の深刻化/対外開放
第4節 開発過程の評価と展望
計画経済期－農業生産向上の遅れ/経済改革期－依然残る構造問題/国営企業改革の困難/今後の展望
第4章 西部少数民族地域の開発戦略試論 / 栗林 純夫
はじめに
第1節 多民族国家としての中国
第2節 民族性s買うと民族自治地方
1.民族政策の変遷
2.民族自治地方の概念
3.民族自治地方の概況
第3節 少数民族居住地域の経済パフォーマンス
1.内モンゴル自治区
2.新疆ウイグル自治区
3.青海省
4.雲南省
5.広西チワン族自治区
第4章 西部辺境地帯の経済開発戦略
1.青海省の産業構造と重点産業
スカイライン・マップ分析/影響力係数と感応度係数/技術移転の効果
2.新疆ウイグル自治区の開発戦略
おわりに
第5章 内陸経済発展における辺境貿易の役割 / 服部 健治
はじめに
第1節 辺境貿易の概念
1.辺境貿易の定義
2.辺境貿易の形態
3.辺境貿易の範囲
第2節 辺境貿易の経緯
1.改革・開放政策以前の辺境貿易
2.改革・開放時代の辺境貿易
3.「三沿政策」における辺境開放政策
第3節 辺境貿易の実態
1.黒龍江省とロシアの辺境貿易
2.吉林省の辺境貿易
3.内モンゴル自治区の辺境貿易
4.新疆ウイグル自治区の辺境貿易
5.雲南省の辺境貿易
6.広西チワン族自治区の辺境貿易
第4節 対外貿易における辺境貿易の位置
1.辺境貿易の経済的効果
2.辺境貿易の問題点
第5節 内陸経済発展における辺境貿易の位置
1.四川省と辺境貿易
2.省間の経済協力
3.内陸経済と辺境貿易の連携
4.内陸経済発展に対する辺境貿易の役割
第6章 内陸地域の資源開発とインフラ整備－西南・西北の資源・産業の現状と今後の開発の方向 / 中嶋 誠一
はじめに
第1節 西南・西北の資源分布と開発状況
1.西南
2.西北
第2節 エネルギー資源と需給
1.西南
2.西北
第3節 西南・西北の輸送事情
1.西南
2.西北の交通事情と今後の方向
第4節 西南・西北の産業開発の現状と今後の方向
1.西南
2.西北
3.西部開発の方向