アジア諸国の紛争処理制度
経済協力シリーズ
No.200
裁判所の負担軽減や低廉・迅速な解決の提出のためのADRの整備や伝統的な価値観に依拠した制度の再構築が進むアジア諸国の紛争処理制度について考察する。
CONTENTS
はしがき / 小林昌之/今泉慎也
序論 / 小林昌之/今泉慎也
- 紛争処理制度の多元化
- 紛争処理研究への視座
- アジアにおける紛争処理制度の展開
- 本書の構成
第1章 アジアにおける紛争処理研究の課題と展望 / 和田仁孝
- 紛争処理研究の意義とアプローチ
- グローバリズムとローカリズム
- 法制度分析から機能分析・過程分析へ
- 紛争処理研究の枠組み
- 紛争処理システムの構成
- 文化・認知・紛争
- 政治・経済的階層構造と紛争処理
- 社会関係の構造的特質の影響
おわりに
- 「調停」とプリトライアル・カンファレンス
- シンガポールにおける調停制度の芽生え
- 調停機関の成立
- シンガポール調停センター
- コミュニティ調停センター
- シンガポール裁判所調停モデル
- シンガポール裁判所調停モデルの手続き
- 日本の民事調停との比較
- 裁判所における調停制度についての考察
- シンガポールの調停制度におけるアジア的価値
むすびにかえて
はじめに
- 民事訴訟法改正と紛争処理の迅速化
- 少額訴訟
- 答弁書の提出および出頭の懈怠
- 執行手続
- 訴訟上の和解
- 不良債権処理とADR
- 不良債権処理におけるCDRACの役割
- 不良債権処理における訴訟上の和解
- 不良債権処理における司法裁判所紛争処理室付属調停センターの役割
- TAMCの設立とその影響
おわりに
はじめに
- 外国投資をめぐる商事紛争処理
- 外国投資誘致の環境整備
- 顕著な紛争類型
- 裁判所における紛争処理
- 裁判制度の特徴
- 問題点
- 裁判外紛争処理
- 仲裁
- 調停および交渉
- 紛争処理における弁護士の役割
- 律師
- 律家
- 法律事務所
- 紛争処理の課題
- 市場経済化関連立法
- 司法制度改革
- 執行制度
- 調停の近代化
まとめにかえて
第5章 中国における労働紛争の解決と法 / 小林昌之
はじめに
- 労働紛争解決制度の変遷
- 労働紛争解決制度の概要
- 労働紛争解決のルート
- 受理範囲
- 調停
- 仲裁
- 訴訟
- 集団労働紛争に関する特別規定
- 労働紛争事件の推移
- 労働紛争統計
- 労働紛争事件の特徴
- 現行労働紛争解決制度の若干の問題
- 受理範囲
- 時効
- 労働紛争事件とその他の民事事件の交差
おわりに
はじめに
- 裁判制度の問題
- 訴訟の遅延
- 司法改革での遅延への取組み
- インドにおけるADR
- ヌヤヤ・パンチャーヤト(Nyaya Panchayat)
- ロク・アダラト(Lok Adalat)
- 審判所(Tribunal),委員会(Commission/Agency)
- インドのADR
- 消費者紛争救済機関
- 1986年消費者保護法
- 消費者紛争救済機関
- 消費者委員会における救済
- 消費者紛争救済機関の機能
おわりに
第7章 フィリピンにおけるバランガイ司法制度 / 知花いづみ
はじめに
- バランガイの概要
- バランガイの意義および機能
- バランガイの成立要件
- バランガイ司法制度
- バランガイ司法制度の制度化
- バランガイ司法制度の実施主体
- バランガイ司法制度の手続き
- ナガ市の事例
- ナガ市の概要
- バランガイ司法制度の実際の運用状況 おわりに
はじめに
- イスラーム法の適用問題の背景
- イスラーム法の適用に関する法制の変遷
- 『家族及び相続に関するイスラーム法原則』
- 司法裁判所におけるイスラーム法の適用
- 裁判所
- イスラーム法適用事件
- ダト・ユティタム
- 紛争処理過程におけるダト・ユティタムの役割
- 訴訟手続
- 調停人としてのダト・ユティタム
- 裁判所外の紛争処理とダト・ユティタム
まとめ
はじめに
- マレーシアのイスラーム法制度概観
- ムスリムの家事紛争解決手続
- イスラーム法における夫婦の権利義務関係
- 宗教局での紛争解決過程
- 家事事件カウンセラー
- カディ
- シャリーア裁判所での紛争解決過程
- 合意の形成における言説
おわりに