参加型開発の再検討
経済協力シリーズ
No.199
参加型開発の議論では,現地の人々を開発に参加させようと躍起になっているが,大切なのは外部者たるわれわれが「彼ら」の開発過程にどう参加するかである,との視点から「参加型開発」を再検討する。
■ 参加型開発の再検討
■ 佐藤 寛 編
■ 2,750円(本体価格 2,500円)
■ A5判
■ 234pp
■ 2003年3月
■ 品切れ
CONTENTS
はじめに / 佐藤 寛
第1章 参加型開発の「再検討」 / 佐藤 寛
第1節 参加型開発隆盛の背景
第2節 当事者の参加と部外者の参加
第3節 ステレオタイプ化された認識
- パラダイムシフト言説
- 参加は常に良いことか
第4節 すれ違う議論
- 理念と手法
- 「手段としての参加」と「目的としての参加」
第5節 メリットとデメリット
- 参加型開発のメリット
- 参加型開発のデメリット
- 参加型開発と方向性のリスク
第6節 Development概念と自発性
第2章 参加型開発概念再考 / 坂田正三
はじめに
第1節 初期の参加型開発概念
- 農村開発プログラムにおける「参加」
- 国連機関主導による参加型開発概念のメインストリーム化
第2節 1980年代以降の多様な議論
- 多次元分類の登場
- 「住民の視点」の主張
- 「ガバナンス」の強調
第3節 参加型開発概念の限界
- 参加型手法の技術的な問題点
- 概念の前提に対する疑問
おわりに
第3章 「参加型開発」をめぐる手法と理念 / 野田直人
はじめに
第1節 開発の主体と参加型の関係
第2節 参加のレベルと理念
- 住民の労力提供
- 住民との相談
- 住民の主導権
第3節 参加型の理念・手法とツール
第4節 手段と目的
第5節 理想と現実
第6節 参加型手法を使わない参加型
第7節 計算外の参加
結論と提案
第4章 参加型開発とその継続性を保障する条件 / 大内 穂
はじめに
第1節 何が問題か
- 効率性
- コミュニティをベースとする参加
- 操作と動員のための概念
- 社会資本形成
- 継続的参加と自治管理能力
- 社会運動のダイナミズムのなかの参加
- 民衆参加方式の根底にある考え
- 参加の技法
第2節 参加の誘因と形態
- 強制
- 便益
- 自立
第3節 自立的,継続的参加型の事例研究
第4節 参加の継続性を保障する条件
- 組織
- 規範
- 資源
むすび
第5章 女性の参加-水道衛生プロジェクトを例に- / 辻田祐子
はじめに
第1節 水道衛生セクターにおける女性の参加-開発戦略の変遷
第2節 女性の参加-実践上の問題点
- 女性と衛生教育の孤立化
- 女性の負担の増加
- 支払い意志と支払い能力の差
第3節 参加とジェンダーの視点のギャップ
おわりに-今後の課題
第6章 住民参加とNGOの役割-ムンバイ・スラム開発同盟を事例に- / 斎藤千宏
はじめに
第1節 NGOと住民の関係
第2節 スラム開発同盟の事例
スラム再生公社設置まで
スラム再生公社設立以降の動き
第3節 考察
NGOの関与
住民の参加能力形成
むすびにかえて
第7章 戦後日本の生活改善運動と参加型開発 / 水野正己
第1節 課題
第2節 農村開発における参加
第3節 戦後日本の生活改善運動-初期生活改善事業を中心にして
- 生活改善事業の端緒と展開
- 生活改善普及活動の展開
- 初期生活改善事業の成果
第4節 生活改善運動にみる参加
- 生活改良普及員の活動とその効果
- 戦後の生活改善運動にみる参加の特質
第5節 結論
第1節 民際学と参加型研究
第2節 <よそ者>参加と地域開発
第3節 部落差別と<よそ者>参加
第4節 <よそ者>参加の重要性