出版物
eBook
ラテンアメリカ経済入門
著者/編者
清水 達也 編
出版年月
2024年1月
ISBNコード
978-4-258-04659-1
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内容紹介
内容紹介
本書は大学の「ラテンアメリカ経済論」の講義の教科書として作成しました。ラテンアメリカに興味があり,そこに住む人々の生活や世界との結びつきについて関心のある日本の大学生を主な読者に想定しています。経済学の考え方を用いて説明することでラテンアメリカ地域についての理解が深まるように努めました。
本書の特徴は3つあります。1つ目は既存の教科書の内容を更新し,最近の研究成果を取り入れたことです。同時に,途上国の経済発展に注目する開発経済学の最新の知見も紹介しています。2つ目は学生の関心に沿った構成にしたことです。学生が興味や疑問をもちそうな現代の課題から取り上げ,それを理解する手がかりを示しました。学生が自らの考えを説得的に説明できるよう手助けをします。3つ目は新しい媒体や技術の活用です。本書はオープンアクセスの電子書籍としてアジア経済研究所のウェブサイトで公開しており,どなたでも無料で閲覧できます。
目次
まえがき
第Ⅰ部 現代の課題
第1章 <イントロダクション> 「ラテンアメリカ」とはどんなところか
筆者:谷 洋之
第2章 <貧困と格差> 人々の生活は改善しているのか
筆者:久松 佳彰
第3章 <保健と教育> 質の高い保健と教育を提供できるか
筆者:久松 佳彰
第4章 <インフォーマル> どうしてインフォーマル経済はなくならないのか
筆者:浜口 伸明
第5章 <人の移動> なぜ人々は国境を越えて移動するのか
筆者:谷 洋之
第6章 <開発と環境> どうして資源開発と環境保全は対立するのか
筆者:清水 達也
第7章 <国際開発>どんなアクターが社会的課題を解決しているか
筆者:久松 佳彰
第Ⅱ部 経済の仕組み
第8章 <貿易> 国を豊かにするが格差も生み出す
筆者:浜口 伸明
第9章 <一次産品> 経済発展における一次産品の役割
筆者:清水 達也
第10章 <工業化> 工業を基盤とした経済発展を目指して
筆者:清水 達也
第11章 <経済成長> 成長を続ける国と停滞する国の違いとは
筆者:北野 浩一
第12章 <対外債務問題> 「失われた10年」の教訓
筆者:北野 浩一
第13章 <インフレーション> 値段がひと月で2倍になる?
筆者:北野 浩一
第Ⅲ部 経済の成り立ち
第14章 <経済史> 経済発展とは何かを経済史から考える
筆者:谷 洋之
第15章 <新自由主義> 個人の自由と国家の役割をめぐる論争
筆者:浜口 伸明
用語解説
まえがき
まえがき
本書は大学の「ラテンアメリカ経済論」の講義の教科書として作成しました。ラテンアメリカに興味があり、そこに住む人々の生活や世界との結びつきについて関心のある日本の大学生をおもな読者に想定しています。経済学の考え方を用いて説明することでラテンアメリカ地域についての理解が深まるように努めました。
本書の特徴は3つあります。1つ目は既存の教科書の内容を更新し、最近の研究成果を取り入れたことです。ラテンアメリカは2000年代半ばからの約10年間に資源ブームを経験し、多くの国々が経済成長を遂げました。しかしその経済成長は続かず、さらにコロナ禍によってマイナス成長に陥りました。本書ではそうした最近の経済状況までをカバーしました。同時に、途上国の経済発展に注目する開発経済学の最新の知見も紹介しています。2つ目は学生の関心に沿った構成にしたことです。学生が興味や疑問をもちそうな現代の課題から取り上げ、それを理解する手がかりを示しました。学生が自らの考えを説得的に説明できるよう手助けをします。3つ目は新しい媒体や技術の活用です。本書はオープンアクセスの電子書籍としてアジア経済研究所のウェブサイトで公開しており、どなたでも無料で閲覧できます。また、本文中の情報の出所や文献にはリンクをつけており、そこから簡単にインターネット上の情報やデータベースを参照できます。
本書はアジア経済研究所において2021~22年度に実施した「現代ラテンアメリカ経済に関するテキストと教材の作成」研究会の成果です。本書の草稿をラテン・アメリカ政経学会の2021年と2022年の全国大会で報告し、竹下幸治郎会員、咲川可央子会員、村上善道会員、藤井嘉祥会員をはじめ、参加者からコメントをいただきました。また、第1章の地図の作成では谷栞理氏、本書の編集にあたってはアジア経済研究所学術情報センターの池上健慈氏の力をお借りしました。協力いただいた方々に執筆者を代表して御礼を申し上げます。
この教科書を通じて、より多くの人が現代のラテンアメリカ経済に対して興味をもち、理解を深めることを望みます。
2023年12月 編者 清水達也