グローバル・バリューチェーンの地政学

他社で出版した研究成果

日本経済新聞出版

複雑に張りめぐらされた国際分業ネットワークを、付加価値という視点から読み解くグローバル・バリューチェーン分析。OECD国際産業連関表など最新のデータをもとに、米中対立を中心とする近年の経済対立、経済安全保障問題を見通す。
たとえば、シャツの生産において、ミラノのデザイナーがデザインを手がけ、それをもとにロンドンの職人が型紙を起こし、最後にダッカの工場で大量生産されるなど、生産工程は細かく切り分けられ、各工程は、その業務が最も効率よく行われている国へと移転されるようになった。
輸送技術や情報通信技術の進歩、そして自由貿易を支える様々な制度の発展により生産システムは大きな変容を遂げている。
このような国境を越えた生産分業についてその構造に目を向けると、資産や雇用機会、テクノロジーといった「経済的価値」の分配をめぐる国際的なパワーゲームが見えてくる。生産分業の構造は企業の力関係を反映しており、究極的にはこの力関係こそが、ゲームにおける価値配分の大きさと方向性を決めるからだ。グローバル・バリューチェーンの価値ネットワークの誕生は、安全保障の考え方に少なからず影響を及ぼしている。国際経済ネットワークの「かたち」と国家間のパワーバランスを、本書では読み解いていく。

グローバル・バリューチェーンの地政学

■ グローバル・バリューチェーンの地政学
猪俣 哲史
■ 2,640円(本体価格 2,400円)
■ 204pp
■ 2023年7月
■ ISBN978-4-2961-1439-9

Contents

第1章 地政学への接近
第2章 チョークポイントはどこにあるか
第3章 中国の驕り、米国の恐怖
第4章 米中デカップリングのゆくえ
第5章 戦術から戦略へ
第6章 GVCによる経済安全保障