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温故知新 -アジア経済研究所の歩み-

『アジ研と途上国研究』 -アジ研50周年記念特別企画

表紙 刊行に当たって / アジア経済研究所長 森崎久寿
目次
祝辞 / 通商産業大臣 田中六助
挨拶 / アジア経済研究所会長 篠原三代平
回 想
   思い出すままに / 小林 中
   回想さまざま / 東畑精一
   アジア経済研究所と私 / 小倉武一
   アジ研に望む / 岩佐凱實
   アジ研8年-思い出すまま / 鹿子木昇

I 調査研究史
   1. 総論 / 萩原宜之
       回想 祝意と敬意を / 川野重任
       アジ研の夢 / 渡辺弥栄司
       アジ研誕生こぼれ論 / 山下三郎
   2. 地域研究-調査研究部20年の歩み / 中岡三益
       回想 アジ研回想 -訴査研究部を中心に / 笹本武治
   3. 開発研究 / 長谷山崇彦
   4. 動向分析 / 木村哲三郎
   5. 経済協力調査 / 桜井雅夫
   6. 経済開発分析プロジェクト / 田部昇、鈴木長年
   7. 国際研究交流 / 松谷賢次郎、平島成望

II  統計活動史 / 山崎 茂
   回想 統計こと始め / 大泉悦郎
III  資料活動史 / 中村弘光
   回想 図書資料部をめぐる思い出 / 阪田貞宜

Ⅳ  広報活動史 / 林 一信
資  料
   1. 20年の歩み
   2. 主要ドキュメント—刊行別序文などに拾う—
   3. 成果リスト

東畑精一

 

...20年の歳月の間には漸次に研究が積み重ねられてきたし、自らの研究の成果も現れ出した。殊に海外駐在の研究生活を送ってきたことが、自らのプライドを培うこととなった。外国人との接触は日本人を重厚にした。—このようにして研究員諸君の顔つきは大いに変わり、動作は柔らかく穏やかになってきた。<中略>

研究者個人以外に集団としての研究所についても似たような感じを抱いている。それは研究所自体が集団として甚だよく整備されてきた点である。これは研究所に対する自信を所員に伝えうることとなる。設備は整ってくるし、図書館は充実してくるし、東南アジアの特に統計の蒐集は恐らく世界有数であるし、地図については日本有数の蒐集であろう。<中略>

以上のようにして、創設期、それに続く時期に研究所員となった人々の功績は大きいし、そこには創業者的な喜びがあるはずである。彼らに続く後続者はどうであるか。創設期の所員とは異なって、彼らは初めからすでに整備された研究所に入るのである。顔付きが穏やかになった研究所に入るのであるから、入所早々から研究に没頭し、自らの問題を深く掘り下げていくことができる。当初のものが苦渋の途を歩まざるを得なかったのとは大いに異なる。すでに敷かれた道を歩むことができる。 <中略>

研究者に大切な自信につづいて、研究成果に対する自己批判がある。自らにまた自らの成果に甘えざることである。人々によって異なるが、およそ45歳~50歳ぐらいのころから、批判力がにぶって自分に甘えるようになるものである。<中略>

アジ研の当初の所員は今やこのような年頃になりつつある。そこに新入生の使命があるのであって、自らの生々溌溂たる精神で自らの研究を始める。その成果は恐らくは以前のものとは異なる色彩、着眼点、問題意識を盛ったものとなろう。以前のエリートとは異なる新たなエリートが茲に生まれる。そして新旧エリートが循環することと なり、研究集団が老化しないで常に再生の生命を永続させることができるのである。アジ研は今日20年の歳月を経て、この新しい段階に踏み入ろうとしているのではなかろうか。新たな風貌を予報しながら今後の20年の途が始まるのであろう。 本文を読む

(東畑精一「回想さまざま」(「アジア経済研究所20年のあゆみ」)より抜粋)
  『30年の歩み』のページ