イデアス
(IDEAS)

イデアス(IDEAS)研修プログラムは、グローバル化のための自由で公正なルール作りを推進する専門家の能力開発に力点を置いた研修プログラムです。国際貿易・投資・金融にかかわる最新の諸問題や政策形成について、4.5カ月間程度、アジア・アフリカ諸国の若手官僚とともに理論、実践面から英語で学びます。

 

 

 

旧アジア経済研究所開発スクール(旧IDEAS)について<1990年~2018年>

開発スクール修了生からのメッセージ 

山本 朝子


開発スクール第17期生(2011年度版パンフレットより)
国際協力機構 
地球環境部ジュニア専門員

スマトラゾウと農家の悲惨な争いを解消したい!」と、進学したイデアスでした。その支援体制も幸いし、第一志望の大学院に合格しました。先生達に伝授頂いた経済、統計、論文の書き方などが役立ち、保全生物学理学修士を取得しました。同期や多くのイデアス卒業生は、就職先でも良き相談相手です。イデアス留学生とは喜怒哀楽の日々でしたが、これからその同郷の人々と、生物多様性保全に資する活動を開始予定で、楽しみです。


帯刀 豊


開発スクール第10期生(2011年度版パンフレットより)
内閣府国際平和協力本部事務局
プログラム・アドバイザー

IDEASは私のキャリア形成において、大きなターニング・ポイントの位置を占めています。IDEAS入学前、私は銀行の国際金融部門で主に国境を越えたお金の動きを追っていました。しかし出向先の外務省で、途上国での開発問題に携わるにおよび、お金から人に、仕事の視点を移していきたいと考えるようになりました。IDEASはそうした私に、まず金融で得た知識、例えば経済指標の見方や経済政策が為替や金利に与える影響を、統計学やマクロ・ミクロ経済理論でしっかりと基礎づける機会を与えてくれました。また、地域研究や開発学の、臨場感ある、現場の人の匂いが強く感じられる講義に出席するなか、私はついに色のないお金を離れ、顔のある人、ひとりひとりの国境を越えた動き、即ち難民のために仕事をしようと思い立つに至りました。

私は現在、紛争(後)地域での平和構築や難民保護に従事していますが、IDEASで得た学問的基礎、人に着目する視点、何より志を同じくする仲間たちは、今も仕事に活かされ、日々の励みになっています。IDEASがなければ、今の私はなかったと言っても過言ではないでしょう。


長尾俊介

開発スクール第16期生(2010年度版パンフレットより)
(Community Manager, Global Leadership Fellow, Forum of Young Global Leaders, World Economic Forum)

私は現在ジュネーブにある世界経済フォーラム(WEF)の事務局で働いています。仕事はYoung Global Leadersと呼ばれる、様々な業界で活躍している40歳以下の人材をダボス会議をはじめとするWEFの活動に巻き込んでいくことです。

大学の頃から開発途上国、特にサハラ以南のアフリカ諸国の中小企業支援に興味があった私は、大学卒業後3年間まず金融の仕組みを理解するために米系投資銀行で働きました。その後IDEASで就学したのですが、私にとっては開発学を勉強するのはこの時が初めてでした。統計学、マクロ・ミクロ経済理論などの知識に加えて、地域研究、特定課題の集中講義などを通して開発学で最も大事な基礎力を身につけました。

また、将来一緒に仕事をすることになるかも知れない大勢の仲間(同期の9人の日本人研修生と15人の外国人研修生)にめぐり合うことができました。

IDEAS修了後は、中小企業支援に携わるのに必要な実践的な知識を学ぶためMBAを取得し、その後中小企業に関しての理解を深めるために実際に自分で起業(パリで1年間、魚屋)をしました。その後、仕事をする上でのネットワークを広げるために現在勤めている世界経済フォーラムに転職しました。今でも様々な局面でIDEASのネットワークにお世話になっています。私にとってIDEASは、学び舎であり、訓練の場であり、大事な仲間と知り合う経験を与えてくれた貴重な機会です。


片山 典子

開発スクール第17期生(2010年度パンフレットより)
国際協力機構

 IDEASの最大の魅力は卒業後も続く先生と歴代の修了生との繋がりです。IDEAS在籍中から次々に生じる素朴な疑問を含め、長期にわたるキャリアについて共に考えてくださるネットワークは何にも代えがたい財産であると身をもって感じています。もちろん、IDEASの講義を通じて、今までの自分の考えや知識についてパズルの一切れをあてはめていくように、開発に係る事象を整理することができるようになったと思っています。それでも残る疑問点や新たな考えについては、先生や世界各地で活躍されているIDEASの先輩方がいつも答えてくださることは非常に有難かったです。IDEAS入学前は青年海外協力隊から帰ってきたものの、開発の仕事への熱意や現場で感じた問題意識をどうすればよいのか分かりませんでした。IDEASでの先生・先輩方の励ましのおかげで、日本政府・世界銀行奨学金を得ることができ、コーネル大学で世界中から集まる個性豊かな学生と共に学ぶことで益々視野が広がっていくのを感じました。世界銀行コンサルタントを経て、現在はJICAのジュニア専門員として、地域振興分野のODAプロジェクトを担当しています。実務と理想のギャップに悩みながらも、IDEASで得た自分を信じることを忘れずに、開発の現場で日本の経験をどのように活かせるのか模索していきたいと思います。