調査研究
研究会一覧2025年度
分極化と非動員化:エジプトにおける抗議運動の分裂
概要
この研究プロジェクトは、ムバラクおよびシーシー政権が抗議運動を抑圧し、権力を強化するために用いた複雑な戦略を批判的に分析し、特に2011年のムバラク失脚後と2013年のクーデターでモルシー大統領が追放された時期に焦点を当てます。公然とした国家の弾圧が大衆動員を抑制する主要な手段であった一方で、本研究では、政権が微妙でありながらも強力な統制メカニズムとしてコオプテーション (反体制勢力の取り込み)と正統化(レジティメーション)を活用した点に注目します。特定の反対派グループを選択的に弾圧し、抗議運動内の派閥を取り込むことで、政権はこれらの運動の内部結束を効果的に分断しました。この戦略的な分裂は対立を深め、反対派グループを国家の弾圧に対してより脆弱にし、持続的な動員能力を低下させました。こうした分裂は、権威主義統治の副産物ではなく、反対勢力を内部から不安定化させ、統一的な反体制運動の台頭を阻止するための計画的な取り組みだったのです。本プロジェクトは、エジプトの支配エリートが権威主義的支配を維持しつつ、正当性を装うために用いた巧妙で意図的な戦術を明らかにすることを目指しています。これにより、権威主義政権が社会運動にどのように適応し、操作するかについてのより深い理解を提供し、その結果、動員の可能性がどのように弱められるかを示そうとしています。
期間
2025年4月~2027年3月
研究会メンバー
| 役割 | メンバー |
|---|---|
| [ 主査 ] | ダルウィッシュ ホサム |
※所属は研究会発足時のものです。
予定する研究成果
- 英文単行書