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調査研究

研究会一覧2025年度

台湾・香港問題が米中関係に与えた影響

概要

本研究は台湾と香港をめぐる米中の駆け引きに着目し、従来の制御された「米中対立」が続いた要因と、近年になって「米中冷戦」と言われるほど対立が激化した要因を明らかにする。

1989年の天安門事件後も、アメリカは中国の民主化を促すために、米中の経済交流を拡大する「関与政策」を行った。しかし、2018年10月にアメリカのペンス副大統領が「関与政策」の失敗を認めた後、対立が激化した。その要因は、米中の経済力や軍事力のバランスの変化であるとの見方が多いが、中国の経済発展や軍備の近代化は1980年代から続いてきた趨勢である。今日のアメリカでは、経済的利益を過度に重視し、対中政策を誤ったとの見方もある。

実際のところ、1990年代の米中間には香港返還(1997年)を円滑に行うという共通目標があった。また、中国には台湾を味方につけ、アメリカの影響力を西太平洋地域から排除する狙いもあった。台湾の馬英九政権(2008~16年)が海洋問題で中国よりの姿勢を見せるまで、アメリカは中国の真意に気づかなかった。

アメリカの政策転換はアフガニスタンやイラクにおける「対テロ戦争」(2001~21年)に妨げられ、海洋戦略上の要衝である運河のあるパナマをめぐる中台の外交戦(2017年6月)まで先延ばしにされた。そして、2019年の香港における反政府デモの発生と過激化は、中国とアメリカおよび台湾の蔡英文政権(2016~24年)の相互不信を促し、米中対立の激化を決定づけた。

期間

2025年4月~2027年3月

研究会メンバー
役割 メンバー
[ 主査 ] 竹内 孝之

※所属は研究会発足時のものです。

予定する研究成果
  • 和文外部出版単行書