調査研究

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在日外国人コミュニティのCOVID-19感染拡大に備えるための情報ネットワーク調査(2020_2_60_004)

概要

本研究は国立国際医療研究センター(NCGM)が2020年8月より開始した「在日外国人コミュニティのCOVID-19感染拡大に備えるための情報ネットワーク強化」事業*と連携し、近年増加しつつある日本におけるベトナム人、ミャンマー人、ネパール人コミュニティを対象としてこれら各コミュニティにおける情報伝達、情報提供、困りごと相談などの「情報の流れ」の現状を調査・分析し、三国の在日コミュニティに適切に保健・衛生・生活関連情報が届くための提言をしていくことを目的とする。

これまで行ってきた予備調査**からは、日本国内における各国コミュニティはさらに複数のサブコミュニティに分かれており、サブコミュニティ間の情報の流れは必ずしも円滑でないことがわかっており、これゆえ日本政府・各地の自治体が公的なホームページ等でベトナム語・ミャンマー語・ネパール語等の情報発信をしても適切に情報が行き渡らない一因となっている。

そこで、本調査ではアジア経済研究所の研究蓄積、人的ネットワークを活用し、①上記三カ国出身者が日本でサブコミュニティを形成する理由を、それぞれの出身国の政治・経済・社会・文化状況との関連において整理し、②これらサブコミュニティに適切に保健・衛生・生活関連情報が届くためには、どのような取り組みが必要なのか、を提言する。これは、今後懸念されるCOVID-19感染の第二波、第三波の拡大抑止のために不可欠な調査であり、当研究所の社会的貢献としても意義深い。

なお、本研究会とNCGM国際医療協力局などが協力して「みんなの外国人ネットワーク(MINNA)」を組織し、「やさしい日本語」を用いた在日外国人に対する生活情報の発信、在日外国人の周囲にいる日本人への啓発情報の発信を行っている。 詳しくは http://sdg-mig.org/ 参照。

また、東南アジア各国とつないで、各国のコロナ対策と日本の支援をテーマとするウェビナー開催も計画されており、このウェビナーにアジ研の研究ネットワークを活用した貢献も可能である(ERIAのRIN加盟機関からの登壇など)。

*NCGMの研究「在日外国人コミュニティーにおけるCOVID-19対策支援のための情報ネットワーク強化」は当面2020年度末まで、外国人コミュニティにおいてボランティアを育成し、保健・医療情報のスムースな流れをつくるアクションリサーチまでを含んでいるが、アジ研はその前提となる情報ネットワークの分析部分を担当する。

** 2019年度後半から佐藤はNCGM国際協力局の研究者と協力しながら、三カ国の日本国内コミュニティに関する聞き取り調査を実施してきた。

期間

2020年9月~2022年3月

研究会メンバー
                                       
[ 主査 ] 佐藤 寛
[ 委員 ] 中村 まり
[ 委員 ] 田中 雅子(上智大学)
[ 委員 ] 加藤 丈太郎(早稲田大学)
[ 委員 ] 髙橋 昭雄(東京大学東洋文化研究所)
[ 委員 ] 新居 みどり(NPO法人国際活動市民中心(CINGA))
[ 委員 ] 崔洙連(チェスウヨン)(NPO法人移住者と連帯する全国ネットワーク)
[ 委員 ] 深井 啓

この他に外国人が集住している地方で外国人支援をしているキーパーソン5-6名を委員とし迎え、現地の実情を報告していただく。あわせて各地のジェトロ貿易情報センターにも適宜情報共有を行う。

研究成果
  • セミナー・講演会等
  • ポリシーブリーフ