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戦略的貿易政策モデルにおける高級車と大衆車の競争

調査研究報告書

吉野 久生 著

2016年3月発行

Eaton and Grossman(1986)においては、国際供給複占の第三国貿易モデルを用いてクールノー型競争の場合、自国の社会的厚生最大化のためには補助金が望ましく、ベルトラン型競争の場合には輸出税が望ましいという結論を得ている。

その後の研究において、このモデルは拡張され、自国企業と外国企業とがまず価格について競争して価格の決定を行い、次に品質についての競争を行って品質の決定を行うという構造を持つモデルが提示されている。そこでは、ベルトラン型競争の下で社会的厚生最大化のために輸出補助金が望ましい場合もあるし、輸出税が望ましい場合もあるとされている。

本稿では、この先行研究にもとづき分析の対象を高級車製造企業と大衆車製造企業の競争とする。高級車の場合には利潤最大化のために、価格と品質の双方が操作され、R&D投資も行われる。ここで、高級車の価格と品質は影響しあいながら、大衆車の価格と競争することが意図されている。また大衆車の場合には、大量生産による生産費用の節約と価格の抑制が重視されていて、品質は操作されないものとしている。高級車を生産する自国の社会的厚生最大化のためには、ベルトラン型競争の下で、輸出補助金が望ましい場合もあるし、輸出税が望ましい場合もあるという結論が得られた。