2005年国際産業連関表の作成と利用 Compilation and Use of the 2005 International Input-Output Tables

調査研究報告書

猪俣哲史 桑森啓  編

2010年3月発行

第Ⅰ部 分 析
第1章  
経済学の展開と国際産業連関分析 / 佐藤創
第2章  
国際産業連関分析から見た世界経済危機 / 猪俣哲史・内田陽子・孟渤
第3章  
アジア国際産業連関表は、各国各産業の生産構造において関税・輸入商品税を投入要素として明示的にしている。2000年アジア国際産業連関表を用いて、特定(複数)国の関税・輸入商品税の除去がどの程度生産コスト低減に波及するかを、これまで例のなかった国際表による価格モデルによって、中国、日本およびアセアンの組み合わせ(FTA)による効果を検討した。その結果、これまで他の分析から言われている日・中・アセアンFTA が最も効果があるということが、価格モデルからも示されることが判明した。

第Ⅱ部 作 成
第4章  
国際産業連関表利用のための情報システム / 佐野敬夫
第5章  
本章の目的は商品分類がHS の2007 年度改訂版(HS2007)を基礎とする年別あるいは月別の貿易データを国際産業連関表の76部門分類(io76)および同26 部門分類(io26)へ変換するための方法を示し、この方法にしたがって変換した貿易データが正しく変換されているかどうかを確認することである。HS2007とio76の対応関係コード表が存在していればそれを利用することで貿易データの両者の変換は可能となるが、その対応関係コード表は存在しない。そのためにHS2007とio76の対応関係コード表を作成することが必要である。この対応関係コード表の作成は既存の対応関係コード表を連結することにより分類間の対応を作成することにより行う。

第6章  
取引額表においてすべての要素は知られておらず、行および列の合計がベクトルとして既知であるとき、適当な行列を初期値にすることにより取引額の要素を推計することができる。比例反復法あるいはRAS 法は、繰り返し計算によって解を求めるそのような推計方法である。本章は正数を要素とする行列X (0) に対して任意の正数を要素とするベクトルa とb、D(a) をa を要素とする対角行列とするとき、初期値をX (0) と(0) ( ) (0) ( )X1 = D a X D b としたRAS 法による解は一致することを示す。RAS 法の解はその初期値においてD(a) とD(b) に対して無関係である。

第7章  
国際産業連関表における国際運賃・保険料率の推計 / 桑森 啓