ココア共和国の近代 ――コートジボワールの結社史と統合的革命――

アフリカにはまれな「安定と発展の代名詞」と謳われたこの国が突如として不安定化の道をたどり,内戦にまで至ったのはなぜか。世界最大のココア生産国の1世紀にわたる政治史からこの問に迫る,本邦初のコートジボワール通史の試み。

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■ ココア共和国の近代 ——コートジボワールの結社史と統合的革命——
佐藤 章  著
■ 4,840円(本体価格 4,400円)
■ A5判
■ 356pp
■ 2015年3月
■ ISBN978-4-258-04615-7

CONTENTS

はじめに
第1節 ココア共和国
第2節 結社史という方法論
第3節 長期の視点に立った政治史の意義
第4節 本研究の構成

          第1部 危機の歴史的背景

はじめに
第1節 南部森林地帯と人口移動
第2節 ヨーロッパ人との接触
第3節 植民地化
第4節 植民地期の社会経済変容
まとめ

はじめに
第1節 SAAの政治的役割と社会経済的背景――先行研究の整理
第2節 SAAの登場――植民地という文脈における意義
第3節 SAAの組織面での特質
結論

はじめに
第1節 植民地期の社会経済変容のなかのPDCI
第2節 植民地期の選挙におけるPDCIの支持率の分析
第3節 地域独自の政治的組織化の背景――2地域の実例から
第4節 植民地期の農業政策とPDCIの「脱プランター化」
むすび

はじめに
第1節 個人支配体制としてのウフェ支配
第2節 ウフェの統治を支えた条件
第3節 一党制下におけるPDCIの特質
第4節 ウフェと統合的革命
むすびに代えて――翳りゆく一党支配

          第2部 危機の展開とその意味

はじめに
第1節 民主化とウフェ後継争いの激化
第2節 ポスト・ウフェ時代――後継争いから与野党対立へ
第3節 過剰代表による一党優位性の確立――PDCIの「圧勝」の実態
第4節 「恵まれた階層内でのゲーム」――野党の両義性
むすび

はじめに
第1節 「軍服のサンタクロース」のクーデタ
第2節 軍の変質――1990年代に進行した変化の底流
第3節 軍事政権がもたらした局面転換
第4節 多極的な対立構図の到来――民政移管選挙の分析
むすび

はじめに
第1節 内戦前史
第2節 内戦とマルクーシ合意
第3節 憲法と和平合意のはざま
第4節 抵抗戦術の手段・資源・実態
第5節 3者鼎立状態
第6節 技術的不備と政党間対立――有権者登録の難航
第7節 新内戦
むすび

はじめに
第1節 コートジボワールにおける差別的・排除的実践
第2節 コートジボワール史における中間集団
第3節 メタ・ナショナリズム
結論

結論にあたって
第1節 ワタラ政権の現状と展望
第2節 アフリカ政治研究としての本研究の意義
第3節 コートジボワールにおける「近代」とは何か
むすびとして――本研究の意義とアフリカ研究の未来