リサイクルと世界経済――貿易と環境保護は両立できるか――

他社で出版した研究成果

中公新書

古紙やペットボトルなどの分別収集のイメージが強いリサイクル。だが、回収された使用済み製品は国内で再使用・再生利用されるだけではない。中古車や鉄スクラップなどは今や日本の主力輸出品である。一方、国際的なリサイクルは急速に拡大し、各国による再生資源の獲得競争や、環境汚染を生む有害廃棄物の輸出など、多くの問題も起こっている。20世紀末から急拡大している知られざる現状と、問題点を明らかにする。

■ リサイクルと世界経済――貿易と環境保護は両立できるか――
小島 道一 
■ 902円(本体価格 820円)
■ 新書判
■ 224pp
■ 2018年5月
■ ISBN978-4-12-102489-3

Contents

はじめに

第1章 国境を越えてリユースされる中古品

1 家電製品――低所得者層の生活を豊かに
2 自動車・自動車部品――信頼される日本の中古車
3 農業機械・建設機械・工作機械――生産能力を上げる
4 タイヤ――中古タイヤと更生タイヤ
5 再製造による国際リユース
6 中古品が国際貿易される理由
コラム①リサイクルとリユース
コラム②輸出され戻ってくるコミック本

第2章 国境を越えてリサイクルされる再生資源

1 廃プラスチック――世界中から中国へ、中国から世界へ
2 古紙――評価される日本の品質管理
3 鉄スクラップ――輸入国から輸出国へ
4 石炭灰――供給過剰の東アジア
5 貴金属スクラップ
6 再生資源貿易の背景
コラム③貿易統計

第3章 中古品や再生資源の越境移動にともなう問題

1 安全性や衛生上の問題
2 製造業の発展を阻害する可能性
3 廃棄物の増大
4 再生資源のリサイクルにともなう環境汚染
5 さまざまな輸入規制
コラム④輸出・輸入ができないことによる弊害

第4章 国際リサイクルに関する国際ルール

1 貿易規制に関するルール――GATT
2 有害廃棄物の越境移動に関する規制
3 船舶リサイクルに関する香港条約
4 国際的な貿易ルールと環境ルール
コラム⑤プロボコアラ号事件 船舶で発生する有害廃棄物

第5章 適切な国際リサイクルに向けて――日本の取り組みを中心に

1 日本で国際リサイクルが注目されるようになった背景
2 3Rの国際展開と貿易障壁の低減
3 国際秩序への貢献
4 より望ましい国際リサイクルに向けて
コラム⑥持続可能な開発目標と国際リサイクル

終章 国際リサイクルの将来展望

あとがき
略年表
参考文献