アジ研の50年と途上国研究 -『アジア経済』特別連載-
『アジ研と途上国研究』-アジ研50周年記念特別企画-
アジア経済研究所所長 白石 隆
アジア経済研究所が設立されてちょうど50年になる。まことに喜ばしいことである。本号から12回にわたって、これを記念して研究所の回顧とこれからの展望に関する連載をおこなっていきたい。アジア経済研究所はこの50年、日本のアジア研究、発展途上国研究、開発研究に大きな役割を果たしてきた。それは「アジ研」の研究者で、いま、あるいはかつて、日本の大学で地域研究、発展途上国研究、開発研究等の分野で大きな貢献をした人たちの多いこと、「アジ研」の研究成果がそうした分野における日本の重要な知的財産となっていること、「アジ研」の図書館がアジア研究その他の分野において、アジアではもちろん、世界的にもトップ・クラスの図書館となっていること、アジア動向年報、アジア産業連関表、東アジア経済統合シミュレーション研究等が研究者、実務家に基盤的研究成果を提供していることなどを考えても明らかだろう。

- (『 アジア経済』2010年4月号:「アジア経済研究所創立50周年をむかえて」(759KB))
特別連載 アジ研の50年と途上国研究 連載にあたって
アジア経済研究所は約1年半の財団法人時代を経て、1960年7月1日、特殊法人として設立された。1998年の日本貿易振興会(現日本貿易振興機構)との統合を経て、2010年7月1日に設立50周年を迎える。研究所誕生から半世紀という節目にあたって、研究所がこれまで歩んできた道程を振り返り、現在、自らがどこに立っているのかを見定め、これから進むべき方向を考えてみようという声が現れ、有志が集うことになった。2009年の初めから有志のタスクフォースを結成して、どのような活動をおこなうのかについて議論をはじめ、アイデアを出し合い、実現の可能性を検討した。そのひとつとして、研究所の発展に大きな貢献をされてきた先達からお話をうかがい、記録として残そうという企画がまとまった。それが本号からはじまるインタビューの連載である。2009年5月にタスクフォースから本誌編集委員会に提案して了承を得、正式に活動をスタートした。 連載は2011年3月まで12回を予定している。
- (『 アジア経済』2010年4月号 :「特別連載 アジ研の50年と途上国研究 連載にあたって」(755KB))
第1回 ジグザグの中国研究

小島 麗逸 氏

末廣 昭 氏

細野 昭雄 氏
第4回 アジ研のアフリカ研究創成期

吉田 昌夫 氏、原口 武彦 氏、林 晃史 氏、島田 周平 氏

山口 博一 氏、平島 成望 氏
第6回 インドから中東、中央アジアへ

清水 学 氏
第7回 動向分析事業の歩み

木村 哲三郎 氏、竹下 秀邦 氏、浜 勝彦 氏、福島 光丘 氏

長田 博 氏
第9回 地域研究への経済学的アプローチ

今岡 日出紀 氏

松本 脩作 氏

北村 かよ子 氏、小池 洋一 氏
北村 かよ子 氏は1966年に入所し1999年に退職するまで、一貫して経済協力調査室において直接投資に関わる情報収集と調査、産業研究に従事された。小池洋一氏は1971年に入所し、北村氏らとともに産業・企業研究を立ち上げられた。また、小池氏はブラジルを主な研究対象としているが、日本・東アジアにも深い関心を寄せ、多面的な経済発展研究を行われている。両氏の回想からは、アジアの急速な経済発展と、新設部署に配属された研究者たちの問題関心の深まりとともに、経済協力調査室における直接投資研究の内容が多様化したことがわかる。そして、このなかからアジアの産業・企業研究、日本と東アジアの経済リンケージに関する実証研究の流れが生まれてきた様子が活き活きと伝わってくる。 (1.0MB)