1．2021年の回顧

2021年、人民銀行は党中央・国務院の政策決定・手配を断固貫徹実施し、新発展理念を完全・正確・全面的に貫徹し、穏健な金融政策の実施を堅持し、企業の困難緩和を全力で支援し、グリーン発展を刷新・推進し、金融リスクを有効に防止・コントロールし、金融の改革開放を引き続き深化させ、各政策で良好な成績を収めた。

（1）穏健な金融政策は、柔軟・精確、合理的・適度であった

多様な金融政策手段を総合運用し、流動性総量の合理的充足、長中短期の需給バランスを維持し、2回預金準備率を引き下げ、長期資金を約2.2兆元解放した。

1年物貸出プライムレートを5ベーシスポイント引き下げ、「三農」、小型・零細企業支援貸出金利を0.25ポイント引き下げ、M2と社会資金調達規模の伸びを名目成長率と基本的に釣り合わせた。

人民元レートは、複雑な環境下で、合理的な均衡水準での基本的安定を維持した。

（2）実体経済への金融サービスの質・効率を一層高めた

小型・零細企業支援再貸出を3000億元増額し、2つの直接到達金融政策手段を引き続き実施し、かつ適切に期限を延長した。

2021年11月末、小型・零細企業支援向けインクルーシブファイナンス残高は18.9兆元、前年同期比26.4％増である。

炭素排出削減支援手段を創設し、石炭クリーン・高効率利用特別再貸出を設けた。

製造業向け貸出政策への指導・監督審査を強化した。11月末、製造業向け中長期貸出残高は前年同期比33.8％増である。

重点分野・国家重大地域発展戦略への金融支援を一層強化し、再貸出を2000億元増やし、地域の協調発展を支援した。

（3）金融リスクの防止・解消で新たな成果を収めた

重点グループ、大型企業のリスク処理を適切に推進した。既存のハイリスク機関の圧縮継続を推進し、ハイリスク機関の数は顕著に減少した。

反独占・資本の無秩序な拡張の防止を断固推進し、各種金融業務を監督管理に全面的に組み入れた。

国内のシステム上重要な銀行のリストを正式に公表し、付加監督管理規程を実施に移した。法に基づき、金融持ち株会社の設立申請を受理した。世界のシステム上重要な銀行の総損失吸収能力管理弁法を制定した。

金融リスクは総体として収斂し、市場化・法治化したリスク処理を堅持し、市場の予想の安定性を増強した。

（4）金融国際協力と対外開放を積極的に推進した

グリーン金融の国際協力を秩序立てて展開した。「G20持続可能な金融ロードマップ」の完成を牽引した。中欧グリーン分類基準の同一化を推進し、段階的な進展を得た。

多国間の危機の防止・救済と債務協調に積極的に参加した。RCEPの発効・実施に全面参加した。

（5）金融改革で新たな進展を得た

金融安定発展委員会弁公室の職責を確実に履行した。預金保険の早期是正対策の成果は顕著であった。

「クロスボーダー理財商品相互取引」テスト、債券の「中国・香港相互取引」を実施し、世界三大債券旗艦指数に全部中国債券を組み入れた。クロスボーダー人民元使用政策が引き続き最適化された。外為重点分野改革が一層深化された。外貨準備資産の安全と規模の総体としての安定を維持した。

（6）金融サービスと金融管理水準が不断に高まった

金融業の立法の統一・協調が一層増強された。金融業総合統計の成果は顕著であった。第14次5カ年金融発展計画編成作業を順序立てて推進した。

小型・零細企業、個人工商事業者決済サービスは顕著に改善された。冬季オリンピック決済サービス環境の建設が急速に推進された。新世代情報インフラ建設はブレークスルーを得た。デジタル人民元研究開発進展白書を公表した。省を跨ぐ異なる土地での電子納税、行郵税の電子国庫納付等が深く推進された。

「情報収集管理弁法」を打ち出した。金融機関の反マネーロンダリング・反テロ融資監督管理弁法を打ち出した。金融消費者権益保護実施弁法を深く貫徹した。参事、内部会計検査・監督、バックオフィス保障、安全保衛、集中調達、離退職幹部へのサービス等の施策水準が不断に向上した。所属企業・公益事業体の改革が積極的に深化された。

2．2022年の金融政策

2022年、人民銀行系統組織は、習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想を導きとし、第19回党大会、党19期各全会と中央経済工作会議精神を全面貫徹し、安定の中で前進を求めるという政策の総基調を堅持し、新発展理念を完全・正確・全面的に貫徹し、新たな発展の枠組を早急に構築し、金融の改革開放を全面深化させ、イノベーション駆動による発展を堅持し、質の高い発展を推進しなければならない。

（1）穏健な金融政策は柔軟・適度でなければならない

多様な金融政策手段を総合運用し、流動性の合理的充足を維持し、貸出総量の伸びの安定性を増強し、実体経済への支援を強化し、マネーサプライ・社会資金調達規模を名目成長率と基本的に釣り合うよう維持する¹。

市場化した健全な金利形成・伝達メカニズムを整備し、企業の総合資金調達コストの安定の中での引下げ、金融系統組織の引き続き実体経済への利潤移譲を推進する。

人民元レートの弾力性を増強し、人民元レートの合理的均衡水準での基本的安定を維持する。

（2）重点分野への金融支援を精確に強化する

小型・零細企業向けインクルーシブファイナンス支援手段、小型・零細企業向け無担保インクルーシブファイナンス支援計画の接続・転換をしっかり実施する。

科学技術イノベーション体系を引き続き整備する。

炭素排出ピークアウト・カーボンニュートラルを正確に認識・把握し、グリーン金融政策の全体としての協調、秩序立った推進を強化する。

農村振興への金融サービス能力・水準を引き続き高める。

（3）マクロプルーデンス政策の一層健全な枠組みとガバナンスメカニズムを整備する

システミックリスクのモニタリング・評価の枠組を整備し、マクロプルーデンス・ストレステストを展開する。金融持ち株会社の審査・許認可を穏当に秩序立てて推進し、引き続き監督管理を展開する。システム上重要な銀行への付加監督管理を実施する。

（4）金融リスクの防止・解消を堅持・推進する

引き続き「大局の安定、統一・協調、施策の分類、精確な爆弾処理」の方針に基づき、重点機関のリスク処理・解消を穏当に秩序立てて推進し、リスク処理における預金保険制度と業種保障基金の役割を発揮させる。

規範化と発展を併せ重視することを堅持し、法に基づき資本とプラットフォーム企業への監督管理を強化し、ヘッドネットワーク金融プラットフォームの整頓・改善を引き続きしっかり行う。

不動産金融のプルーデンス管理制度を穏当にしっかり実施し、住宅購入者の合理的な住宅ニーズを更にしっかり満足させ、不動産業の良性循環と健全な発展を促進する。

（5）国際金融協力を引き続き深化させる

グリーン金融の国際協力を主動的に推進する。多国間債務協調メカニズムを引き続きしっかり利用し、低所得国家の債務問題に適切に対応する。

引き続き金融業の秩序立った開放を推進し、ネガティブリストを基礎とした更にハイレベルの金融開放の形成を推進し、資本項目の兌換化を秩序立てて推進する。

（6）金融改革を不断に深化させる

金融インフラ監督管理弁法を打ち出して推進する。債券市場の改革開放を着実に推進する。

マネー・株式・金・デリバティブ商品等の市場管理制度を一層整備する。預金保険制度をしっかり実施する。

関係部門と地方政府が土地の事情に応じて施策を講じ、農村信用社改革を分類して推進することを支援する。人民元の国際化水準を着実に高める。香港人民元オフショアセンター建設への支援の程度を強化し、人民元オフショア市場の健全な発展を推進する。

（7）外貨管理・サービスを一層最適化する

貿易の円滑化テストの拡大・質向上を推進する。クロスボーダー貿易・投資のハイレベルの開放テストを展開する。外債登記管理改革を推進する。外貨準備の多元化運用を高める。

（8）金融のサービス・管理水準を全面的に高める

金融の法律・法規体系建設を統一的に推進する。第14次5カ年金融発展計画の編成を質高く完成する。地域金融改革テストを引き続き推進する。金融業総合統計のモニタリング・分析を引き続き強化する。

クロスボーダー賭博・電信ネットワーク詐欺・違法決済活動を引き続き取り締まる。フィンテックの応用・管理を強化する。デジタル人民元の研究開発テストを穏当に秩序立てて推進する。

社会民生への国庫の更にしっかりとしたサポートを推進する。「情報収集業務管理弁法」を実施する。動産担保融資の統一登記・公示システムと売掛金担保融資サービスプラットフォームの応用を推進する。

特定非金融業の反マネーロンダリングを推進する。インクルーシブファイナンスの質の高い発展実施意見を実施・推進する。
　

（参考）人民銀行貨幣政策執行委員会2021年第4四半期例会（2021年12月24日）

2021年に入り、わが国は疫病防御と経済社会発展政策を統一的に推進し、マクロ政策を有効に実施し、経済発展と疫病防御は世界のリード役の地位を維持した。

穏健な金融政策は連続性・安定性・持続可能性を維持し、市場の予想を科学的に管理し、実体経済へのサポートに努力し、金融リスクを有効に防止・コントロールした。

貸出プライムレート改革のボーナス効果が引き続き発揮され、金融政策の伝達効率が増強され、貸出金利は安定の中で低下し、人民元レートの予想は平穏で、双方向への弾力性が増強され、マクロ経済の安定器としての機能を発揮した。

現在、世界の疫病はなお引き続き変化し、外部環境は更に複雑・峻厳・不確定傾向にあり、国内経済は需要の収縮・供給のダメージ・予想の弱気化の三重の圧力に直面している。

「穏」（安定・穏健）の字を第一とし、安定の中で前進を求め、クロスシクリカル（周期を跨ぐ）な調節を強化し、カウンターシクリカルな調節と結びつけ、今年・来年の2年間のマクロ政策を統一的にしっかりリンクさせ、経済の質の高い発展を支援しなければならない。

穏健な金融政策は柔軟・適度にし、展望性・精確性・自主性を増強し、金融政策手段の総量・構造の二重の機能をしっかり発揮させ、更に主動的に結果を出し、実体経済への支援を強化し、流動性の合理的充足を維持し、貸出総量の伸びの安定性を増強し、マネーサプライと社会資金調達規模の伸びを名目成長率と基本的に釣り合わせることを維持し²、マクロレバレッジ率の基本的安定を維持し³、経済発展の強靭性を増強し、マクロ経済の大基盤を安定させなければならない。

構造的金融政策手段は積極的に「加法」をしっかり行い、精確に力を発揮し、2つの実体経済に直接到達する金融政策手段を、小型・零細企業、個人工商事業者を包摂的に支援する市場化された政策手段に転換し、炭素排出削減支援手段と石炭クリーン・高効率利用支援特別再貸出をしっかり実施し、施策を総合して地域の協調発展を支援し、小型・零細企業、科学技術イノベーション、グリーン発展への支援を金融機関が増やすよう誘導しなければならない。

金融サプライサイド構造改革を深化させ、大銀行がサービスの重心を下方に移転するよう誘導し、中小銀行が主たる職責・本業に焦点を絞ることを推進し、銀行の資本補充を支援し、金融市場の活力・強靭性を増強し、高度な適応性・競争力・包摂性を備えた健全な現代金融システムを整備する。

市場化した金利の形成・伝達メカニズムを整備し、中央銀行の政策金利体系を最適化し、預金金利の監督管理を強化し、貸出プライムレート改革の効果を発揮させ、企業の総合資金調達コスト低下を推進する。

為替レートの市場化改革を深化させ、人民元レートの弾力性を増強し、企業と金融機関が「リスク中立性」の理念を堅持するよう誘導し、予想の管理を強化し、内部の均衡と外部の均衡のバランスをしっかり把握し、人民元レートの合理的水準での基本的安定を維持する。

実体経済を金融が有効に支援する体制メカニズムを構築し、イノベーションへの金融支援体系を整備し、金融機関が製造業向け中長期貸出を増やすよう誘導し、民営企業への金融支援を経済社会の発展に対する民営企業の貢献に適応させるよう努力し、炭素ピークアウト・カーボンニュートラルの実現促進を目標としてグリーン金融システムを整備する。

住宅消費者の合法権益を擁護し、住宅購入者の合理的な住宅ニーズを更にしっかり満足させ、不動産市場の健全な発展と良性の循環を促進する。

金融のハイレベル・双方向の開放を推進し、開放条件下の経済金融管理能力とリスク防止・コントロール能力を高める。

習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想を導きとし、第19回党大会と党19期各全会、中央経済工作会議と「政府活動報告」精神を真剣に貫徹実施し、党中央・国務院の政策決定・手配に基づき、安定の中で前進を求めるという政策の総基調を堅持し、新発展理念を完全・正確・全面的に貫徹し、新たな発展の枠組を早急に構築しなければならない。

サプライサイド構造改革を主線とすることを堅持し、内需拡大戦略をしっかり堅持し、「6つの安定」（雇用・金融・対外貿易・外資・投資・予想を安定させる）、「6つの保障」（庶民の雇用、基本民生、市場主体、食糧・エネルギーの安全、産業チェーン・サプライチェーンの安定、末端の運営を保障）政策を引き続きしっかり実施し、金融と財政・産業・監督管理政策の間の協調を強化し、実体経済への金融支援とリスク防止を統一し、経済運営を合理的区間に維持し、経済の質の高い発展を推進し、第20回党大会の勝利の開催を迎える。