人民銀行第3四半期貨幣政策執行報告
中国経済レポート
新領域研究センター 田中 修
2020年12月3日
(1)物価
本稿では、11月26日に公表された「人民銀行2020年第3四半期(7-9月期)貨幣政策執行報告」の概要を紹介する。なお、前報告から変化したポイントは太字で示している。
1.マクロ経済の展望
1.1 概況
2020年に入り、新型コロナ肺炎疫病はわが国経済社会に深刻な衝撃をもたらした。党中央の堅固な指導の下、全国が上下心を一つに協力し、疫病防御と経済社会発展政策の統一で重大な戦略的成果を得た。経済成長は予想より好く、需給関係は徐々に改善され、市場の活力・動力は増強され、1-9月期の経済成長はマイナスからプラスとなり、7-9月期の前年同期比経済成長率は4.9%となり、年間の経済のプラス成長の実現はほぼ確実となっている。中長期的に見れば、わが国経済は安定の中で好転しており、長期に好い方に向かい、質の高い発展をとげるというファンダメンタルズに変わりはない1。
1.2 経済の現状
現在、わが国は既に質の高い発展の段階に転換しており、引き続き発展は多くの方面の優位性と条件を備えている2。
わが国の疫病防御と経済の回復は、いずれも世界の前列を歩んでおり、供給は基本的に回復し、需要は急速に改善し、雇用・民生はかなり好く保障され、市場の予想は総体として安定し、IMFの予想では、わが国は今年主要経済体の中で唯一プラス成長の国家である。
現在及び今後一時期、わが国の発展は依然として重要な戦略的チャンスの時期にあり、経済の潜在力は十分で、強靭性が大であり、活力が強く、挽回の余地は大きい。
サプライサイド構造改革は深く推進され、イノベーション駆動による発展戦略と内需拡大戦略の実施に力が入り、一連の新産業・新業態・新動力エネルギーが形成され急速に発展しており、経済が長期に好い方へ向かうことを維持する多方面の優位性・条件に変わりはない。
実体経済とりわけ小型・零細企業、民営企業への金融サービスの程度は不断に強化されている。穏当・果断に金融リスクを防止・コントロールし、金融システムは総体として健全であり、各種のリスクを解消する能力を備えている。人民元レートは、合理的均衡水準で基本的安定を維持し、外貨準備は3兆ドル以上を維持し3、経済が外部衝撃に対応する能力が増強されている。
1.3 リスク・試練
国際環境は日増しに複雑になり、不安定性・不確定性が顕著に増加し、国内経済はなお少なからぬ試練に直面している4。
(1)国際環境
7-9月期以降、主要経済体の経済の回復程度はかなり弱く、一部国家で疫病の再流行が出現し、公共部門・実体部門の債務が上昇し、財政の持続可能性は峻厳な試練に直面しており、資本市場の評価額は経済のファンダメンタルズの支えを欠いており、極度に緩和した金融政策にはスピルオーバー効果が存在する5。
同時に、保護主値・一国主義が強まり、地政学的に緊張する局面が台頭し、一部国家の経済貿易摩擦が日増しに深刻化し、グローバル産業チェーン・サプライチェーンは非経済的要因の深刻な衝撃を受け、経済回復プロセスの不安定・不確定要因がかなり大きい。このため、わが国の疫病輸入防止と国際経済金融リスクのプレッシャーは、依然かなり大きい。
(2)国内経済
1-6月期、疫病の影響をヘッジするため、カウンターシクリカルな調整の程度をある程度増大させ、マクロレバレッジ率は段階的な上昇が出現した。将来、経済成長が徐々に潜在水準へと回帰することに伴い、マクロレバレッジ率は平穏に向かうと見込まれる。このほか、疫病の衝撃がもたらす金融リスクには一定のタイムラグが存在し、将来の不良債権は上昇圧力がある6。
わが国の経済運営には、なおいくらかの構造的・体制的・周期的問題が存在し、発展がアンバランス・不十分という問題が依然として際立っている。これについて、深刻に認識し、弁証法的に対応して、チャンスの意識とリスク意識を増強し、改革とコントロール、短期と長期、内部均衡と外部均衡とを結びつけ、精力を集中して自身の事柄にしっかり取り組み、質の高い発展の実現に努力しなければならない。
(3)物価
物価上昇率は、総体として下振れ傾向を続けており、長期にインフレあるいはデフレの基礎は存在しない7。2020年7・8月、一部の省は水害の影響を受けて、肉・野菜類の価格が一度ある程度上昇し、各部門は多くの措置を打ち出して供給を保障し、価格を安定させ、金融政策は穏健を維持し、最近既に反落傾向にある。
9月のCPIの前年同期比上昇率は既に2%以下に下がっており、初歩的な推計では、年間のCPI上昇率の平均値は合理的区間にある。工業生産は引き続き回復・好転し、内需・外需は徐々に回復し、PPIの7-9月期各月は、いずれも前月比プラスを実現し、前年同期比下落幅は総体として縮小傾向にある。
しかし、将来のグローバルな疫病の変化と防御措置のサプライサイドに対する衝撃にはなお不確定性があり、ベース効果・春節のズレ等の要因もCPIに対し一定の攪乱を形成する可能性があり、なお短期の物価動向について密接に注意を払う必要がある。
中長期で見ると、わが国の経済運営は総体として平穏であり、総需給は基本的にバランスしており、サプライサイド構造改革が深く推進され、市場メカニズムの役割が更に好く発揮され、金融政策は穏健を維持し、マネー条件は合理的・適度であり、長期にインフレあるいはデフレの基礎は存在しない。
2.今後の主要な政策の考え方
今後、人民銀行は、習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想を導きとすることを堅持し、党中央・国務院の政策決定・手配を断固として貫徹実施し、常態化した疫病防御と経済社会発展政策を統一し、「6つの安定」(雇用・金融・対外貿易・外資・投資・予想の安定)、「6つの保障」(庶民の雇用、基本民生、市場主体、食糧及びエネルギーの安全、産業チェーンとサプライチェーンの安定、末端の運営を保障する)と第13次5カ年計画の手仕舞いを全力でしっかり実施し、小康社会の全面実現の奮闘目標の実現を確保する。
同時に、更にパワーを集中して党19期5中全会精神を深く貫徹実施し、新たな発展段階を認識し、新発展理念を貫徹し、新たな発展の枠組を構築し、マクロ経済ガバナンスを整備し、周期を跨ぐ政策設計をしっかり行い、経済総量のバランス・構造の最適化・内外のバランスを促進する。現代的な中央銀行制度を建設し、マネーサプライのコントロールメカニズムを整備し、健全な市場化した金利形成と伝達メカニズムを整備し、実体経済を金融が有効に支援する体制メカニズムを構築する。
穏健な金融政策を更に柔軟・適度とし、精確に誘導し、経済の質の高い発展の需要に更に好く適応し、実体経済への金融サービスの質・効率を更に重視する。マネーサプライのコントロールメカニズムを整備し、マクロ情勢と市場の需要に基づき、金融政策のオペレーションの程度・テンポ・重点を科学的に把握し、流動性の合理的充足を維持し、市場を資金不足にさせないだけでなく、「バラマキ」を断固実施せず、市場を資金であふれさせない。
健全な市場化した金利形成と伝達メカニズムを整備し、貸出プライムレートの改革を深化させ、貸出金利引下げを促進する改革の潜在力を引き続き発揮させ、総合的な施策で社会資金調達コストの顕著な低下を推進し、人民元レート形成における市場の決定的役割を発揮させる。
構造的な金融政策手段の精確な点滴灌漑作用8を増強し、政策の「直接到達性」を高める。予想の管理を重視し、物価水準の安定を維持する。内外のバランスと長期・短期の関係をうまく処理し、可能な限り長期間正常な金融政策を実施し、マクロレバレッジ率の基本的安定を維持する9。重大金融リスクの防止・解消堅塁攻略戦をしっかり戦い、金融リスクの健全な予防・事前警告・処理・問責の制度体系を整備し、金融の安全を擁護し、システミック金融リスクを発生させない最低ラインをしっかり守る。
イノベーション駆動・質の高い供給によって新たな需要をリード・創造し、国内大循環を主体とし、国内・国際の2つの循環が相互に促進する新たな発展の枠組を早急に形成する。
(1)穏健な金融政策を更に柔軟・適度にし、精確に誘導する。
マネーサプライのコントロールメカニズムを整備し、中期貸借ファシリティー、公開市場操作、再貸出・再割引等の多様な金融政策手段を総合的に運用して流動性の合理的充足を維持し、マネーサプライの総バルブをしっかり把握し、M2と社会資金調達規模の伸びを、潜在的な産出を反映する名目GDP成長率と基本的に合致させることを維持し、経済が潜在的産出に回帰することを支援する10。
市場金利が、公開市場操作金利・中期貸借ファシリティー金利を軸として平穏に運営されるよう誘導し、健全で持続可能な資本補充の体制メカニズムを整備し、中小銀行が永久債等の資本補充手段を発行することへの支援を強化し、実体経済にサービスし金融リスクを防止・解消する銀行の能力を高める。
マクロ経済ガバナンスを整備し、金融政策と財政・雇用・産業・投資・消費・環境保護・地域等の政策との目標の最適化・合理的な分業・効率の高い協同を促進する。
(2)再貸出・再割引と実体経済に直接到達する金融政策手段の牽引帯同作用を一層しっかり実施・発揮させ、企業を安定させて雇用を保障することへの金融支援を強化する。
再貸出・再割引政策の安定性を維持し、農業関係、小型・零細企業、民営企業と疫病の影響がかなり重い業種に対して、包摂的・持続的な資金支援を提供する。
2つの実体経済に直接到達する金融政策手段11を積極的に推進し、精確にコントロール効果を高め、地方法人金融機関が雇用・職場の基本的安定のために小型・零細企業向けインクルーシブファイナンス支援を強化するよう誘導し、小型・零細企業の元本償還・利払圧力を確実に緩和し、資金調達難の問題を緩和する。
金融部門が、実体経済へ1.5兆元の利潤を譲渡する目標を達成するよう誘導する12。
(3)実体経済を金融が有効に支援する体制メカニズムを構築する13。
構造的金融政策手段の体系を刷新・整備し、インセンティブを相互に受け入れるメカニズムを精確に設計し、金融機関が新発展理念と合致する関連分野への支援を強化するよう誘導する 14。
金融支援のイノベーション体系を整備し、新技術の産業化・規模化・応用を促進し、イノベーションチェーン・産業チェーンを軸に資金チェーンを作り上げ、金融・科学技術・産業の良性循環と三角の相互連動を形成する。サプライチェーン金融の規範的な発展・刷新を推進し、関係部門と連合して具体的関連政策を段階的に実施し、サプライチェーン・産業チェーンの完全な安定を精確にサポートする15。
健全な農村金融サービス体系を整備し、脱貧困堅塁攻略への金融支援実施を農村振興政策とリンクさせることを検討してしっかり実施し、農村振興への商業銀行サービスの考課方法を早急に打ち出す。
商業銀行が内部の資源配分と業績考課・評価を改善することを推進し、銀行が小型・零細企業向け貸出を増やす健全で長期有効なメカニズムを確立し、金融機関が小型・零細企業、民営企業、「三農」、製造業への貸出支援を増やすよう誘導し、フィンテックの水準を高め、金融の包摂性を増強する。
「住宅は住むためのものであり、投機のためのものではない」という位置づけをしっかり堅持し、「不動産を短期的経済刺激の手段としない」ことを堅持し、地価・住宅価格・予想の安定を堅持し、不動産金融政策の連続性・一致性・安定性を維持し、不動産金融のプルーデンス管理制度をしっかり実施する。
(4)金利・為替レートの市場化改革を深化させ、金融資源の配分効率を高める。
健全な市場化された金利の形成・伝達のメカニズムを整備し、引き続き、LPR(貸出プライムレート)改革を深化させ、市場化されたLPR金利オファーメカニズムを強固にし、金融機関がLPRを更に好く貸出FTP(商業銀行の内部移転の金利決定)の中に組み入れるよう督促し、貸出の内部・外部とLPRの連動性を増強し16、改革の方法を用いて資金調達コストの一層の引下げを促進し、金融政策の伝達効率を高める。
市場金利決定の自律的なメカニズムの作用をしっかり発揮させ、預金金利決定行為を規範化し、各種貸出主体が貸出の年率換算金利を明示する自律性を強化し、公平な金利決定秩序と市場の公平な競争を擁護し、金融消費者の権益を確実に保護する。
人民元レートの市場化改革を深化させ、市場需給を基礎とし、通貨バスケットを参考として調節を進め、管理された変動為替レート制度を整備し、人民元レートの弾力性を維持し、マクロ経済と国際収支の調節における為替レートの自動安定器としての作用を発揮させる。市場の予想を安定させ、合理的な均衡水準における人民元レートの基本的安定を維持する。
外為市場の発展を加速し、企業が「財務中立性」の理念を樹立するよう誘導し、外貨デリバティブ商品を通じて為替レートのリスクを管理し、金融機関が「リスク中立性」の理念を堅持するよう誘導し17、実需原則に基づく輸出入企業のために為替レートリスク管理サービスを提供する。
人民元の資本項目の兌換化を着実に推進し、人民元のクロスボーダー使用の政策枠組とインフラを整備し、クロスボーダーの貿易・投資における人民元使用の利便化の程度を高める18。
(5)金融市場のインフラ建設を強化し、安定成長・構造調整・改革促進とリスク防止方面における金融市場の役割を確実によく発揮させる。
債券市場の管理制度を積極的に整備し、社債の情報公開基準の統一を促進する19。市場化・法治化の原則を堅持し、債券のデフォルトリスクの防止・処理メカニズムを整備する。
金融市場インフラの統一的な監督管理を強化し、債券市場インフラの相互連結の実施を実現し、委託管理行と取引報告のデータベースの建設を引き続き推進し、金融市場全体の安全・安定と効率の高い運営を確保する。
債券市場の対外開放を積極かつ穏当に推進し、上場ルートを整理合理化し、上場プロセスを最適化し、国外投資家のために更にフレンドリーで利便性のある投資環境を提供する。
(6)金融機関改革を一層推進し、コーポレートガバナンスを不断に整備し、金融供給を最適化する20。
コーポレートガバナンスメカニズムの強化を核心として、国有商業銀行改革を深化させ、中国の特色ある現代金融企業制度を確立し、効率を高め、小型・零細企業、民営企業に更に好くサービスする。
マネー・監督管理・税制などの制度から着手し、中小銀行と農村信用社の持続的で健全な発展を支援し、中小銀行と農村信用社が現地に回帰し、本来業務に回帰することを促進し、ガバナンスの有効なチェックアンドバランスメカニズムを確立し、資本補充の健全で長期有効なメカニズムを整備する。
政策性金融を改革・最適化し、業務の帳簿分類管理を実行し、分類して計算し、国家戦略を支援する能力を高める。
(7)重大金融リスクの予防・事前警告・処理・問責制度の健全な体系を整備する21。
金融の安全を擁護し、重大金融リスク防止・解消堅塁攻略戦をしっかり戦い、システミック金融リスクを発生させない最低ラインを断固しっかり守る。
金融リスクの健全な予防・事前警告システムを整備し、銀行システムに対して全部をカバーしたストレステストを展開し、銀行とりわけ中小銀行が多くのルートで資本を補充し、ガバナンスを整備し、不良債権の貸倒引当金の取崩しと償却処理を強化して、金融機関の健全性と持続可能な経営能力を強化することを支援する。
監督管理の科学技術を大いに発展させ、監督管理の専門性・有効性・厳格性を高める。各リスク解消任務を穏当に推進し、断固として局部のリスクをシステミックリスクに発展させず、地域リスクを全国リスクに変化させない。健全な金融リスク処理の責任体系の整備を加速し、株主・各種債権者・地方政府・金融監督管理部門の責任を徹底させる22。
3.不動産融資の状況
9月末、主要金融機関(外資を含む)の不動産融資残高は48.8兆元、前年同期比12.8%増であり、伸びは6月末より0.3ポイント鈍化した。各種融資残高に占める不動産融資残高のウエイトは28.8%であった。
うち、個人住宅ローン残高は33.7兆元、同15.6%増であり、伸びは6月末より0.1ポイント鈍化した。住宅開発融資残高は9.3兆元、同11.4%増であり、伸びは6月末より0.6ポイント鈍化した。
4.新型コロナ肺炎疫病の影響に対するマネー・貸出支援を強化した
常態化した疫病防御と経済社会発展政策を統一し、金融政策は異なる段階の特徴に応じてコントロールの程度・テンポ・重点をしっかり把握し、政策の直接到達性を高め、企業を安定させて雇用を保障することへの金融支援を強化し、「6つの安定」政策を着実にしっかり実施し、「6つの保障」を全面実施した。
(1)流動性の合理的充足を維持した
法定預金準備率の引下げ、中期貸借ファシリティー操作、公開市場操作を通じて、流動性の合理的充足を維持し、市場金利の平穏な運営を擁護し、特別国債・地方政府特別債の発行のために適切な流動性環境を作り上げた。
金融市場は春節の市場オープン後、1.7兆元の短期流動性を提供し、市場の予想を有効に安定させ、1-9月の3回の預金準備率引下げで1.75兆元の長期資金を解放した。
(2)レベルを分けて段階的に、1.8兆元の再貸出・再割引政策を打ち出した
疫病暴発初期、人民銀行は1月31日、第一次3000億元の特別再貸出を設け、銀行が医療・生活物資重点企業向けに優遇金利貸出を行うことを支援し、財政が50%の利息補助を与えて後は、企業の実際の資金調達コストは1.6%以下に下がり、医療・生活物資の供給保障任務を有力に支援した。
疫病の蔓延の勢いが初歩的にコントロールされ、秩序立った業務・生産再開段階に入ると、人民銀行は2月26日、第二次5000元の再貸出・再割引を増やし、商業銀行は1年物LPR+50ベーシスポイントを超えない金利で貸出を行い、業務・生産の再開を有力に支援した。
疫病防御が重大な段階的成果を得て、生産生活秩序が急速に回復する段階になると、人民銀行は4月20日、第三次1兆元の再貸出・再割引を増やし、銀行が農業関連、小型・零細企業、民営企業への貸出を強化することを支援し、平均資金調達コストを5.5%以内にコントロールし、全力で市場主体を保障した。
3000億元の特別再貸出と5000億元の再貸出・再割引政策は既に6月末に手仕舞いとなり、1兆元の再貸出・再割引政策は9月末に既に80%超を実施し、疫病防御、業務・生産再開と市場主体の保障支援で積極的役割を発揮した。
(3)直接到達性・精確性を際立たせ、2つの実体経済に調節到達する金融政策手段を積極的に推進し、企業の安定により雇用を保障し、中小企業の発展を支援した
2020年6月1日、人民銀行は2つの実体経済に直接到達する金融政策手段を創設した。 小型・零細企業向けインクルーシブファイナンスの猶予支援は月ごとに操作し、累計で地方法人銀行に向けて奨励資金47億元を提供し、地方法人銀行による6-9月に小型・零細企業向けインクルーシブファイナンスへの元金猶予は計4695億元となり、加重平均の期限猶予は12.6カ月であり、小型・零細企業の段階的な元本償還・利払圧力を軽減した。
小型・零細企業向け無担保インクルーシブファイナンス支援は四半期ごとに操作し、累計で地方法人銀行に向けて優遇資金932億元を提供し、地方法人銀行が3-9月に行った小型・零細企業向け無担保貸出は計2646億元であり、小型・零細企業の資金調達難問題を有効に緩和した。
(4)各種金融機関のパワーをしっかり発揮させた
疫病の影響がかなり大きい地域への金融支援を強化し、国有大型銀行が小型・零細企業向けインクルーシブファイナンスを増やすよう督促し、政策性銀行の特別貸出支援をしっかり実施し、地方法人銀行が末端にしっかりサービスするよう誘導した。
金融管理部門は、LPR改革の深化を通じて、貸出金利の低下を促進し、2つの実体経済に直接到達する金融政策手段、手数料徴収削減等の方式を実施し、金融部門が実体経済に向けて利潤を譲渡するよう誘導した。
試算によると、10月末までに既に約1.25兆元の利潤譲渡が実現した。各政策措置の効果が一層体現されるに伴い、年間利潤譲渡1.5兆元の目標の実現は可能と予想される。
注
- これは、報告自身が太字にしている。以下、ことわりのない太字は筆者。
- これは、報告自身が太字にしている
- 外貨準備の記述が追加された。
- これは、報告自身が太字にしている。
- 財政・金融の問題点が追加された。
- 将来の金融リスクを懸念していることが見て取れる。
- これは、報告自身が太字にしている。
- 必要なところに資金を流すこと。
- 非伝統的金融政策の採用をできる限り回避しようとする姿勢がみられる。
- 表現が以前のものに改められた。
- 小型・零細企業の債務の元本償還・利払い猶予、小型・零細企業への優遇貸出。
- 新たに盛り込まれた。
- 表現が改められた。
- 新たに盛り込まれた。
- 新たに盛り込まれた。
- 8月末までに、既存貸出金利のLPRへの転換が終了したことにより、表現が変更された。
- 企業は「財務中立性」、金融機関は「リスク中立性」と、表現が分けられた。
- 表現がやや強まった。
- 新たに盛り込まれた。
- 金融サプライド構造改革が見出しから消去された。
- 表現が全面的に改められた。
- 新たに盛り込まれた。