調査研究
研究会一覧2024年度
チリの学生運動の政治的帰結に関する分析:新自由主義から普遍的な社会権への政策転換をめぐって
概要
本研究課題は、新自由主義的な高等教育政策から普遍的な社会権に基づく高等教育政策への転換を目指したチリの学生運動を対象として、社会運動はいかなる状況下で政策転換をもたらしうるのか、あるいはもたらしえないのかを明らかにすることを目的とする。チリでは、軍政下で世界に先駆けて新自由主義が導入され、民主化後修正されながらもその政策枠組みは維持されてきた。それに対して、学生運動は2000年代から2018年にかけて、普遍主義的な高等教育無償化を求めて運動を展開し、結果的に新自由主義と普遍的な社会権の折衷的な無償化政策に帰着した。本研究では、十数年に及ぶ学生運動を、①新自由主義的教育政策への問題提起(2000年代〜2010年)、②政権・与野党からの改革表明(2011年前半)、③学生運動の要求と政策案の乖離(2011年後半〜2013年)、④折衷的な政策への帰着(2014年〜2018年)という4つの時期に区分し、それぞれの時期を一つの分析単位として事例分析を行う。それぞれの時期について、学生運動組織、政治環境、市民社会環境という3つの要因に着目し、それら要因が政策過程の異なる複数の局面に作用し、政治的帰結に至るという社会運動発の政策転換(維持)のメカニズムを明らかにする。
期間
2024年4月~2025年3月
研究会メンバー
役割 | メンバー |
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[ 主査 ] | 三浦 航太 |
※所属は研究会発足時のものです。
予定する研究成果
- 和文外部出版単行書