調査研究
研究会一覧2024年度
宗教と家父長制:パキスタンで女性の労働参加を妨げるのは何か
概要
女性の労働参加は、貧困削減にとっても、女性のエンパワーメントにとっても大変重要だと考えられているところ、中近東、北アフリカ、南アジア諸国における女性の労働参加率は非常に低い。これらの地域の特徴として、イスラム教徒が多いこと、家父長制的な社会であり、女性が外で働くべきでないといった規範が根強いことが挙げられる。とりわけ、イスラム教については、女性の行動を縛るといった一般的なイメージがあると思われる。しかし、マクロデータを使った研究では、イスラム教と女性の労働参加率が低いことの関係に、コンセンサスはない。また、ミクロデータを使って、イスラム教が女性の労働参加に与える影響を実証した研究は少ない。宗教と社会規範は密接にかかわっているが、後者については最近多くの実証研究が出てきていることと対照的である。本研究では、父親のイスラム教の信仰心が強くなると、娘の労働参加に負の影響があるのか、パキスタンで、簡単なランダム化比較試験を実施して実証する。パキスタンは、女性の労働参加率のもっとも低い国の一つであり、かつ国民の96%がムスリムと、世界で2番目に多いムスリム人口を抱えることから、本研究の意義は大きい。実証結果により、女性の労働参加を促進という重要な政策提言に資することを目指す。
期間
2023年4月~2026年3月
研究会メンバー
役割 | メンバー |
---|---|
[ 主査 ] | 牧野 百恵 |
[ 委員 ] | ウマル ハムザ(一橋大学 特任講師) |
※所属は研究会発足時のものです。
予定する研究成果
- 査読付外国語学術誌投稿