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調査研究

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開発途上国のろう社会における社会資本資源としての手話の研究(2021_2_40_012)

概要

SDGs(持続可能な開発目標)やCRPD(障害者権利条約)に従い、「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現を目指すのであれば、障害者についても対応する諸施策が講じられるべきである。しかし、こうした国際機関の呼びかけにも関わらず、実態として多くの国で障害者が取り残されかねない状況にある。たとえば政府からの重要なアナウンスに手話通訳が付かない国が多く、ろう者にはこうした緊急アナウンスが届いていなかった国が多い。 本研究では開発途上国の障害者、特に聴覚に障害を持つろう者に焦点を当てる。それは彼らの手話についての国内・国際的な認知がまだ進んでいないと思われるからである。開発途上国の実情については、先進国の手話以上に未知の部分が多い。ろう者も開発に参画する当事者として活躍していくためには、手話そのものや社会におけるその様相についての一般社会の理解が必要なことは言うまでもない。 そこで本研究では、先行研究の間隙を埋め、SDGsとCRPDが国際社会に要請する手話の使用と促進に焦点を当て、開発途上国における手話の社会的位置づけを明らかにすることを目的とする。特に、公教育の中に位置づけられるまでの、手話の始まり、伝播などを俯瞰し、各地域の手話の歴史的発展と社会的な状況についてとりまとめる。本研究では、東アジアから中国、東南アジアからフィリピン、南アジアからインド、アフリカから東アフリカ、西アフリカ、南アフリカの各地域を取り上げ、さらにラテン・アメリカからブラジルを取り上げて、主要な手話がどのように始まり、伝播していったのかを俯瞰できる記述を目指す。これによって明らかにしたいのは、各国の開発段階と手話の公認や伝播との関わりである。従来、個別の手話の社会言語学的な研究でもこうした開発段階との関わりは論じられてこなかった。社会科学の立場から、各国の開発の状況と照らし合わせてこうした俯瞰図を得ることは開発研究としても重要な意義があると考えられる。 研究の手法としては、①公教育の始まりと手話、②教育に取り入れられた手話の様相③流入した手話と祖手話④ろう学校の教育やロケーションの影響⑤国境を越えた手話の伝播を明らかにするという5つのアプローチで、この俯瞰図を描き、各国の発達段階と関連付けていく。

期間

2021年4月~2023年3月

研究代表者

森 壮也

研究成果

和文外部出版単行書