調査研究

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権威主義的反動と新自由主義-ドゥテルテ政権の6年(2021_2_40_005)

概要

 1986年のフィリピン民主化後、6人目の大統領となったロドリゴ・ドゥテルテ大統領の任期が2022年で終了する。「規律」と「秩序」を前面に押し出し、既存の政治への失望を梃子にして、80パーセントを超える支持率を一貫してきたドゥテルテ大統領は、指導者としてこれまでの大統領と大きく異なる特徴を持っている。政治的には権威主義的な傾向を強め、外交においてはアメリア依存一辺倒だった姿勢を大きく転換し、中国へ接近した。一方、経済面では2040年までに貧困層のいない社会を目指すという長期ビジョンのもと、インフラ整備や地方振興に依拠した従来型の経済開発の推進を継続するとともに、社会問題への関心も見せていたが、経済政策・社会政策の進展は政権発足当初の期待を下回るものであった。30年にわたる民主化後の政治・外交の枠組みへの反動と、新自由主義的な経済・社会の枠組みの継続が併存したこの政権の特徴をきめ細かく整理し、そうした政権が生まれた条件、そして6年の任期を終えた後に予見される影響について明らかにする。

期間

2021年4月~2023年3月

研究代表者

川中 豪

研究成果

和文単行書(内部出版)