受賞一覧

佐藤幸人研究員が令和6年度日本台湾交流協会表彰を受けました。

2025年4月28日

佐藤幸人研究員が、令和6年度日本台湾交流協会表彰を受けました。佐藤研究員は1986年にアジア経済研究所に入所して以来、台湾を中心とした東アジアの経済発展、とくにハイテク産業に関する研究や、台湾の経済社会をテーマとした研究に取り組んでいます。

日本台湾交流協会での表彰式(4月8日)

日本台湾交流協会での表彰式(4月8日)
(谷崎泰明 日本台湾交流協会理事長(左)、佐藤幸人研究員(右))

受賞情報

日本台湾交流協会表彰は、同協会の活動に協力し、特に推奨するに値する顕著な貢献及び善行を行ったと認められる個人又は団体について、その功績を称えるものです。

令和6年度日本台湾交流協会表彰(活動報告)ページ

受賞コメント

この度は、わたしのこれまで取り組んできたことを高く評価していただき、栄誉ある賞を授与くださりましたこと、日本台湾交流協会様に衷心よりお礼申し上げます。また、これまでわたしの研究活動を支援していただいたアジア経済研究所をはじめとする多くの方々にも、深く感謝申し上げます。

わたしは1986年にアジア経済研究所に入り、台湾の研究を始めました。わたしのような地域研究者がどのような研究を行うのかは、研究の起点が何時だったのかに大きく依存します。例えば先達の若林正丈先生は、台湾が民主化する前の権威主義体制の時代に研究を始められ、台湾の権威主義体制の分析からスタートし、それがどのように民主制に移行するのか、民主化はどのように台湾化をともなうのかへと研究を発展されていきました。

わたしの場合、アジア経済研究所に入る前年の1985年にプラザ合意があり、円高が始まりました。そして、わたしが研究所に入った1986年になると、台湾の通貨である元も米ドルに対して急速に切り上げられていきました。その結果、1960年代以来、台湾経済の高度成長を支えた、労働集約型産業を主力とした輸出主導の工業化が幕を閉じます。そのため、わたしがまず行った研究は、台湾の輸出指向工業化の総括でした。

台湾経済では同時に、高度化が進行しますので、わたしはその観察と分析も行っていくことになりました。台湾経済の高度化の重要な担い手であり、今日、世界的に注目されているTSMC(台湾積体電路製造)が設立されたのは1987年です。わたしの研究も、自ずとTSMCを軸として進めることになりました。

この間、日本台湾交流協会様にはたいへんお世話になりました。寄稿や講演の機会をいただいたほか、「日台産業協力架け橋プロジェクト助成事業」の審査に携わらせていただき、日本と台湾の間をつなぐ企業や団体の取り組みについて、多くを学ぶことができました。また、「日台知的交流事業」の審査にも加わらせていただき、自らの専門分野を超えて、広く日本と台湾の間の多種多様な研究交流の状況を知ることができました。いずれもわたしの日台間の関係に対する視野を広げ、また深め、とても勉強になりました。

わたしの研究生活もそろそろ終わりが見えてきていますが、今回の受賞を励みとし、もう一踏ん張り頑張ってみようと思います。

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