援助と社会の固有要因
経済協力シリーズ
No.177
平成6年度に実施された研究会「途上国の開発と固有要因」の成果報告書。開発援助の社会的側面への注意を喚起するとともに、新たな分析視覚を提示する。94年刊「援助の社会的影響」の続編。
■ 援助と社会の固有要因
■ 佐藤 寛 編
■ 3,204円(本体価格 2,913円)
■ A5判
■ 228pp
■ 1995年10月31日
■ 品切れ
CONTENTS
はじめに / 佐藤 寛
第1章 「社会の固有要因」とはどのようなものか / 佐藤 寛
はじめに
第1節 援助プロジェクトと固有要因
第2節 固有要因把握の難しさ
第3節 ハードな固有要因とソフトな固有要因
第4節 「ニーズ」の背景としての固有要因
第5節 技術対応と社会対応
第6節 適正技術と固有要因
第7節 固有要因と社会変化
第I部 固有要因とプロジェクトの関係
第2章 援助にあたって考慮すべき固有要因 / 佐藤 寛
第1節 援助を取り巻く概念-発展観、開発観、被援助観
1.発展観
2.開発観
3.被援助観
第2節 地域コミュニティーの内部状況
1.リーダーシップのあり方
2.知識と技術の独占状況
3.固有要因としてのジェンダー
4.コミュニティーの不均一性
5.相互扶助のシステム
6.価値と規範の源泉
第3節 コミュニティーを取り巻く状況
1.権力と行政のありかた
2.外部社会へのアクセス
3.周辺社会と利害対立
第4節 文化にかかわる諸要因
第3章 固有要因としての性別分業 / 天川 直子
はじめに
第1節 性別分業とは
第2節 性別分業と男女の社会的関係
第3節 性別分業のパターン
第4節 性別分業と技術革新
おわりに
第4章 文化遺産保存援助と固有要因 / 吉田 正二
はじめに
第1節 文化遺産の保存
1.UNESCOによる文化遺産保存
2.文化遺産の定義と認識
第2節 文化遺産保存事業の動向
1.文化遺産保存と開発
2.スコータイ遺跡
3.フェズのメディナ
4.ラ・エントラーダ
第3節 文化遺産保存をめぐる固有要因
1.建築文化圏とオーセンティシティ
2.文化遺産保存援助を実施する際の課題
3.文化価値観の相違
第5章 インド・バングラデシュのNGOと両国の固有性-社会運動か、開発の下請けか- / 大橋 正明
第1節 NGOと固有性
1.NGOの定義と本章の対象
2.NGOの発展と固有性
第2節 NGOの成立と開発NGOの発展
1.インドのNGO
2.バングラデシュのNGO
第3節 NGOという呼称
第4節 外国資金論争
まとめ
1.政府のNGOに対する姿勢
2.NGOの経済問題と本質問題
第II部 社会の固有要因を捉える試み
第6章 固有要因を把握する方法 / 佐藤 寛
第1節 援助プロジェクトと固有要因把握の試み
第2節 固有要因を把握するための様々なアプローチ
第3節 プロジェクトに直結、技術的対応に主眼があるアプローチ
1.モデル・プロジェクト・アプローチ
2.比較の手法
3.技術専門家による固有要因把握
第4節 ソフトな固有要因を組織的に把握する、技術対応指向のアプローチ
1.援助実施に必要なソフトな固有要因の収集ガイドライン
2.事前調査に社会分析の専門家を含める
第5節 プロジェクト実施を前提としつつ、社会的対応を指向するアプローチ
1.ローカル・コンサルタントの活用
2.PCMの「参加者分析」
3.参加型のプロジェクト実施手法
第6節 固有要因の把握を積み上げてプロジェクトを形成していく指向を持つアプローチ
1.人類学・地域研究的手法
2.簡易農村調査(RRA)
第7節 固有要因把握手法の洗練のために
第7章 プロジェクト・サイクル・マネジメント(PCM)手法と社会の固有要因 / 源 由理子
はじめに
第1節 PCM手法の概要と特徴
1.参加者分析
2.問題分析
3.目的分析
4.プロジェクトの選択
5.プロジェクト・デザイン・マトリックス(PDM)の作成
6.活動計画書の作成
第2節 「参加型」アプローチと固有要因
1.コミュニケーションの促進
2.合意形成の過程
第3節 PCM手法のルールと社会の固有要因
1.カードを使ったルール
2.参加者分析の観点
3.問題分析および目的分析の理論
4.プロジェクト・アプローチの検討と選択の基準
5.プロジェクト・デザイン・マトリックス(PDM)に記述されない要因
第4節 おわりにかえて-PCM手法をより適切に活用するために
1.他の調査や手法との連携
2.援助システムの柔軟性
第8章 参加型アクション・リサーチと社会の固有要因 / 清田 明宏
はじめに
第1節 参加型アクション・リサーチ
1.アクション・リサーチ
2.参加型アクション・リサーチ
第2節 保健医療援助プロジェクトと参加型アクション・リサーチ-バングラデシュでの結核対策援助
1.バングラデシュの結核対策の状況
2.プロジェクト開始の背景
3.PARプロジェクトの対象
4.PARチーム
5.プロジェクトの経過
6.成果
第4節 PARプロジェクト成功の要因
1.成果の背景
2.参加型アクション・リサーチによって可能となったもの
3.問題点
第5節 固有要因の把握と参加型アクション・リサーチ
1.固有要因とは
2.援助プロジェクトと固有要因
3.固有要因把握の方法としての参加型アクション・リサーチ
まとめ
第9章 固有要因を配慮した村落開発方式の模索-ジェンダー概念を重視した固有要因把握の方法とその応用- / 富田 祥之亮
はじめに
第1節 固有要因と配慮した総合的開発の必要性
1.基本的村落生活の持続と女性
2.ジェンダー視点の調査から
3.固有要因を配慮した開発方式の要件
4.調査を重視した村落開発方式
第2節 GORDEPにおけるベースライン調査の手法
1.ベースライン調査の実際
2.「生活資源カタログ」調査
3.「生活資源カタログ」の整理
4.関連調査手法
第3節 固有要因を配慮した村落開発例としてのGORDEP
1.GORDEPの概要
2.生活総合調査を主軸においた開発プログラム
3.GORDEPの応用
おわりにかえて
第10章 開発における固有要因の問題 / 栗田 靖之
第1節 開発と教育のアナロジー
1.教育と開発の類似点
2.カウンセラー
3.ソーシャルケースワーカー
4.国際援助の理論
第2節 開発と調査
1.調査とマニュアル
2.歴史の違いを認識する
3.ブータンの固有要因
4.近代化の挑発にのらないブータン
第3節 ある国際援助の専門家の事例
第4節 地域研究と国際協力
1.地域研究者への期待
2.適正技術
3.地域研究者の必要性
むすび