ポスト民主化期の台湾政治—陳水扁政権の8年—
2000年、歓喜に包まれて生まれた陳水扁政権は、何故、2008年、失望にまみれて退場することになったのか。台湾と東アジアにとって、この8年間は何だったのか。
■ ポスト民主化期の台湾政治—陳水扁政権の8年—
■ 若林正丈 編
■ 4,620円(本体価格 4,200円)
■ A5判
■ 342pp
■ 2010年
■ ISBN978-4-258-04582-2
CONTENTS
まえがき / 若林 正丈
序章 李登輝が残したコンテキスト—ポスト民主化期の「憲政改革」— / 若林 正丈
はじめに
第1節 民主化期「憲政改革」が残した問題
第2節 1997年第4次改憲??台湾式半大統領制と台湾省の「凍結」
第3節 1999年「二国論」改憲の挫折と「憲政怪獣」の最後
第4節 本書の構成
結びに代えて
第1章 陳水扁の政権運営 / 小笠原 欣幸
はじめに
第1節 転換点の2004年
第2節 権力構造の変化
第3節 陳水扁という政治家
おわりに
第2章 金権政治の再編と政治腐敗 / 松本 充豊
はじめに
第1節 黒金の一掃——その成果と限界
第2節 金権政治の再編
第3節 陳水扁政権と腐敗の問題
むすび
第3章 国民党の政権奪回—馬英九とその選挙戦略— / 松本 充豊
はじめに
第1節 党改革と権力闘争
第2節 馬英九の選挙戦略
おわりに
第4章 台湾における多文化主義政治と運動 / 張 茂桂[著] 田上 智宣・竹内 孝之・佐藤 幸人[訳]
はじめに
第1節 2000年以降の民進党政権における多文化主義の展開——「和解」から「民主内戦」へ
第2節 「民主内戦」の中のエスニック関係と多文化主義政治
結論と展望
第5章 ポスト民主化期における租税の政治経済学 / 佐藤 幸人
はじめに
第1節 先行研究および分析の視点
第2節 租税の負担,財政収支,所得分配
第3節 租税政策をめぐる政治過程
第4節 ポスト民主化期の政治過程のクオリティ
むすび
はじめに
第1節 立法院選挙の概観
第2節 政党得票率の分析
第3節 候補者擁立戦略
第4節 候補者の集票構造
おわりに
第7章 改善の「機会」は存在したか?—中台対立の構造変化— / 松田 康博
はじめに
第1節 陳水扁政権成立当初の融和的政策
第2節 陳水扁政権の急進化と「反国家分裂法」制定
第3節 国連加盟公民投票と第17回党大会における胡錦濤報告
第4節 「関与・ヘッジ戦略」の再定義
おわりに
第8章 「最良の関係」から「相互不信」へ—米台関係の激変— / 松田 康博
はじめに
第1節 ジョージ・W・ブッシュ政権の対中国戦略
第2節 ブッシュ政権初期の対台湾支援政策
第3節 陳水扁の再選戦略と米台間の相互不信
第4節 相互不信の関係へ
おわりに
第9章 国際空間の拡大?—「実体」としての国際参加— / 竹内 孝之
はじめに
第1節 国際組織と台湾
第2節 実務外交における成功と停滞
第3節 進展しない国際組織への新規加盟
まとめと将来展望