ミャンマー政治の実像 —軍政23年の功罪と新政権のゆくえ—

アジ研選書

No.29

テインセイン政権のもとで大胆な改革を進めるミャンマー。改革はなぜ始まり、どこまで進むのであろうか。軍政統治23年の実像を解き明かし、そのうえでミャンマー政治のゆくえを占う。

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■ ミャンマー政治の実像 —軍政23年の功罪と新政権のゆくえ—
■ 工藤 年博  編
■ 4,730円(本体価格 4,300円)
■ A5判
■ 348pp
■ 2012年3月14日
■ ISBN978-4-258-29029-1

CONTENTS

表紙・目次・ミャンマー地図・略語一覧・索引・既刊案内

まえがき
序章 ミャンマー軍政の23年—なにをめざし,なにを実現したか— / 工藤年博
はじめに
第1節 国軍の国政関与の確立
第2節 和平の実現と危機
第3節 経済改革と権益拡大
第4節 近隣諸国との関係強化
第5節 本書の構成
おわりに
【コラム】ビルマVJ は何者か?
第1章 2010年ミャンマー総選挙結果を読む / 工藤年博
はじめに
第1節 総選挙の概要
第2節 総選挙の結果
第3節 新政治体制
おわりに
【コラム】投票日のヤンゴン
第2章 国軍 —正統性なき統治の屋台骨— / 中西嘉宏
はじめに
第1節 国軍の歴史
第2節 ポスト1988年の政治と国防
第3節 国軍の拡大と近代化
第4節 タンシュエのリーダーシップ
第5節 2011年の意義
おわりに
【コラム】 国軍内もいろいろ
第3章 軍政下の民主化運動と今後の展望 / 伊野憲治
はじめに
第1節 民主化運動の展開と対立の構図
第2節 政治的対立構造の変遷
第3節 アウンサンスーチーの思想と政治姿勢
おわりに —民主化運動の今後の展望—
【コラム】 8888運動における民衆
第4章 ミャンマーの少数民族紛争 / トム・クレーマー
はじめに
第1節 民族紛争の背景
第2節 停戦合意
第3節 少数民族組織
第4節 少数民族の不満と希望
第5節 少数民族問題をめぐる最近の動き
おわりに
第5章 国境地域の少数民族勢力をめぐる中国・ミャンマー関係 / 畢 世鴻
はじめに
第1節 ネーウィン政権前の中緬関係
第2節 ネーウィン時代のCPBをめぐる中緬関係
第3節 CPBの崩壊と少数民族勢力の登場
第4節 少数民族勢力支配地域の麻薬撲滅をめぐる中緬両国の協力
第5節 終わらぬ中緬国境地域の民族紛争
おわりに
【コラム】旧ビルマ共産党本部「パンカン」での一日
第6章 ミャンマー軍政下の宗教 —サンガ政策と新しい仏教の動き— / 土佐桂子
はじめに
第1節 宗教政策とその問題の布置
第2節 1980年改革以来のサンガ組織
第3節 サンガ組織への世俗権力の介入の方向性
第4節 仏教布教と仏教の新しい動き
おわりに
第7章 ミャンマー軍政の教育政策 / 増田知子
はじめに
第1節 1988年以前の教育政策
第2節 矛盾する基礎教育政策
第3節 教育の非政治化をめざした高等教育政策
第4節 公教育を補完する新たな動き
おわりに —新政権下の教育のゆくえ—
【コラム】 教育現場の努力
第8章 ミャンマー人移民の問題 —越境する人的資源のゆくえ— / 山田美和
はじめに —なぜ移民問題をとりあげるのか—
第1節 なぜミャンマーから移民が流出するのか
第2節 タイにおけるミャンマー人移民労働者
第3節 移民労働と人身取引問題 —ミャンマー政府による人身取引対策—
おわりに
【コラム】 ミャンマー人移民労働者の年末年始 — 束の間の休みに —
最終章 ミャンマー新政権のゆくえ / 工藤年博
はじめに
第1節 新政権の発足
第2節 新政権下でなにが起きているのか
第3節 なぜ改革は始まったのか
第4節 改革の評価と課題
おわりに
【コラム】 異説 —なぜ改革は始まったのか—
索引