援助研究入門 : 援助現象への学際的アプローチ  

アジアを見る眼

No.94

開発援助の目的は経済成長のみではないし、途上国の人々の幸せは所得向上だけでは達成できない。援助の目的とする「開発」は、人間生活の全ての側面に渡る総合的・複合的問題である以上、経済学だけでなく、政治学、社会学や人類学、心理学、地域研究など、人々の生活にかかわるさまざまな視点を動員して「援助現象」を考える学際的アプローチが必要なのではないだろうか。

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■ 援助研究入門 : 援助現象への学際的アプローチ
■ 佐藤 寛  編
■ 1,540円(本体価格 1,400円)
■ 新書判
■ 348pp
■ 1996年11月
■ ISBN9784258050949
■ 品切れ

CONTENTS

まえがき / 佐藤 寛


はじめに
1 援助を「現象」としてとらえる
2 援助とは何か
3 「援助」と「国際協力」
4 学際的アプローチ
5 「援助研究」の目的
6 本書の構成

第Ⅰ部 マクロな視点 

1 援助研究における政治学のアプローチの意義
2 総合的援助政策研究の試み -ODA四指針を素材に

はじめに
1 経済学の役割
2 コンディショナリティ
3 東アジアの成長モデル
むすび

はじめに
1 ボランティアとNGO
2 開発と開発援助にとってのODAとNGO
まとめにかえて


第Ⅱ部 ミクロな視点

はじめに
1 社会学にとっての援助
2 援助現象にとっての社会学
3 援助の社会的影響
4 援助に対する社会の反応 -普遍的枠組み
5 援助に対する社会の反応 -固有要因の働き
6 援助と社会
7 「学」と「現場」のインターアクション

はじめに
1 日本の政府開発援助とその事後評価
2 贈与(1) 無償資金協力
3 贈与(2) プロジェクト方式技術協力
4 政府間貸付
おわりに

第6章 開発援助と文化人類学 / 山森 正巳

はじめに
1 政府開発援助 -文化人類学に期待されるもの
2 開発援助と文化人類学 -歴史的背景
3 開発援助と文化人類学 -対立点と接点
4 文化人類学者による開発援助への貢献と限界
まとめにかえて

1 地域研究の視座と援助現象
2 開発のための住民組織の事例分析
3 住民組織研究と地域の文脈 -おわりにかえて

第8章 開発援助と心理学 / 久木田 純

1 人間の開発と心理学
2 開発パラダイムと心理学
3 開発パラダイムと心理学の理論
4 開発パラダイムのシフトにおける心理学役割
5 開発問題と社会心理学の研究
6 学際的研究と開発研究における人間科学領域の形成

はじめに
1 「ODA学入門」のコンセプト -目標、対象、方法
2 「ODA学入門」のハードウェアとソフトウェア
3 「ODA学入門」の3年 -むすびにかえて