現代シリア・レバノンの政治構造
アジア経済研究所叢書
5
9.11事件、イラク戦争により、中東地域の政治的再編の動きが加速している。その流れのなかで、シリアとレバノンの政治に、いま何が起こっているのだろうか。政治変動の二大震源地、イラクとイスラエル/パレスチナの中間に位置する両国は、中東政治研究の展望を切り開く鍵を握っている。緻密な実証研究に基づき、両国の政治的実態に初めて理論的に迫った労作。
■ 現代シリア・レバノンの政治構造
■ 青山弘之・末近浩太 著
■ 5,170円(本体価格 4,700円)
■ A5判
■ 278pp
■ 2009年2月10日
■ ISBN978-4-00-009974-5
CONTENTS
序章 シリアとレバノンの政治構造/青山弘之・末近浩太
-
はじめに
第1節 政治構造とは?
第2節 シリアとレバノンの社会的特性 —二つの国家における一つの人民
第3節 シリアの政治構造 —権力の二層構造
第4節 レバノンの政治構造 —垂直関係と水平関係
第5節 シリア・レバノン関係 —ターイフ体制
第6節 実効支配の政治構造 —権力の二元的構造
第7節 本書の構成
第Ⅰ部 ターイフ体制崩壊の序曲
第1章 ジュムルーキーヤの成立 —1990年代半ば~2000年代初め—/青山弘之
-
はじめに
第1節 シリアにおける政治構造の再編
第2節 実効支配の政治構造における変容
終わりに
第2章 実効支配の終焉 —2004年半ば~2005年4月—/青山弘之
-
はじめに
第1節 シリア・米国関係の変化(第1局面)
第2節 ラッフード大統領任期延長問題(第2局面)
第3節 R.ハリーリー前首相暗殺事件の衝撃(第3局面)
終わりに
第Ⅱ部 権威主義の強化と民主主義の混乱
第3章 駐留シリア軍撤退後の国連の対応 —2005年4月~2006年7月—/青山弘之
-
はじめに
第1節 シリア・バッシングの継続(第4局面)
第2節 親シリア派に対するバッシングの開始(第5局面)
終わりに
第4章 レバノン喪失後のシリア —2005年4月~2006年7月—/青山弘之
-
はじめに
第1節 反政府勢力の活性化と政権内の変化(第4局面)
第2節 ハッダーム外務担当副大統領の裏切り(第5局面)
終わりに
第5章 シリア喪失後のレバノン —2005年4月~2006年7月—/青山弘之
-
はじめに
第1節 国民議会と内閣をめぐる政治力学
第2節 第17期国民議会選挙とスィニューラ内閣発足(第4局面)
第3節 隠された権力の担い手なき政治(第5局面)
終わりに
第Ⅲ部 ターイフ体制の崩壊か,第二共和制の瓦解か
第6章 ヒズブッラーの台頭とレバノン紛争 —2006年7~8月—/末近浩太
-
はじめに
第1節 ターイフ体制下のヒズブッラー —「レバノン化」による勢力拡大
第2節 パクス・シリアーナ後の権力の空白 —レバノン国家の「ヒズブッラー化」
第3節 レバノン紛争とその後(第6局面)
終わりに
第7章 反転攻勢がもたらしたさらなる内政麻痺 —2006年9月~2007年6月—/末近浩太
-
はじめに
第1節 合意形成努力とその失敗
第2節 3月8日勢力による実力行使
第3節 レバノン内政問題の国際化の進展
終わりに
終章 シリアとレバノンの政治構造に何が起きたのか?/青山弘之
あとがき
参考文献
索引