貧困削減戦略再考  —生計向上アプローチの可能性—

アジア経済研究所叢書

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貧困を削減するにはどのような方法があるのか.高度成長期の日本を含めた世界の発展途上国の事例分析を通じて,貧困の削減に有益な経済発展のパターンとそれを支える制度を追究し,従来の公共支出・サービスによる貧困削減戦略でなく,貧困層自らが経済主体として生計向上に取り組むための新たな戦略を探る.

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■ 貧困削減戦略再考 —生計向上アプローチの可能性—
■ 山形 辰史  編
■ 4,840円(本体価格 4,400円)
■ A5判
■ 280pp
■ 2008年3月27日
■ ISBN978-4-00-009973-8

CONTENTS

はじめに

序章 世界の貧困削減への取り組みとその現状/山形辰史

    はじめに
    第1節 新ミレニアムの最初の5年間
    第2節 国際目標としての貧困削減
    第3節 世界の貧困削減の現状
    おわりに
第Ⅰ部 雇用を通じた貧困削減

第1章 雇用を通じた貧困削減 —国際比較研究/東方孝之・山形辰史

    はじめに
    第1節 雇用の構造変化と貧困削減
    第2節 貧困層の雇用の構造変化 —分析方法
    第3節 貧困層の雇用の構造変化 —実証分析
    おわりに

第2章 日本 —高度成長が導いた貧困削減/内村弘子

    はじめに
    第1節 戦後復興から高度経済成長へ
    第2節 産業・就業構造の変化と貧困層の就業
    おわりに

第3章 バングラディシュとカンボジア —後発国のグローバル化と貧困層—/山形辰史

    はじめに
    第1節 世界の衣類貿易におけるバングラディシュとカンボジアの地位
    第2節 輸出向け縫製業の貧困削減に対する貢献
    第3節 縫製業発展の多様な可能性
    第4節 輸出指向工業化戦略の他のLDCsへの適用可能性
    おわりに

第4章 ケニア —製造業の高賃金と低雇用/西浦昭雄

    はじめに
    第1節 最低賃金制度と労働組合
    第2節 ケニア製造業の賃金水準と最低賃金制度
    第3節 ケニアの労使関係と団体協約
    第4節 ウガンダの事例
    おわりに
第Ⅱ部 貧困削減への制度的取り組み

第5章 マイクロファイナンス —貧困削減への金融仲介/濱田美紀

    はじめに
    第1節 金融制度としてのMF
    第2節 MFの問題解決機能
    第3節 MFの多様性 —インドネシアの事例を中心に
    第4節 マイクロファイナンスの再評価
    おわりに

第6章 ソーシャル・ファンド —雇用吸収と地方開発/大門 毅

    はじめに
    第1節 ソーシャル・ファンドの特徴・意義
    第2節 ニカラグアのソーシャル・ファンドの特徴および実績
    第3節 ソーシャル・ファンドの貧困削減効果
    おわりに

第7章 公的雇用プログラム —貧困の多様な要因への対応—/野上裕生

    はじめに
    第1節 公的雇用プログラムの意義
    第2節 プログラム実施上の問題点
    第3節 公的雇用プログラムの効果を高めるための試み
    おわりに

第8章 障害者のエンパワメント/森 壮也

    はじめに
    第1節 開発途上国の障害者
    第2節 インド障害者法と公的機関における障害者雇用保留問題
    第3節 フィリピンの障害者雇用
    おわりに

索引