東アジア統合の経済学  

他社で出版した研究成果

日本評論社

TPP、RCEP、日中韓FTAなど日本をめぐる自由貿易協定(FTA)を、理論的・実証的に考えるために——。初めての体系的なテキスト。

■ 東アジア統合の経済学
■ 黒岩 郁雄  編著
■ 3,630円(本体価格 3,300円)
■ A5判
■ 368pp
■ 2014年
■ ISBN978-4-535-55758-1

Contents
はしがき

序章 東アジア統合の経緯と背景  /黒岩郁雄
1. はじめに
2.東アジアにおける事実上の統合
3.東アジアにおける制度的統合
4.各章の紹介

第1章 財貿易  /石戸光・伊藤恵子
1. はじめに
2. 東アジアにおける域内貿易の拡大(de-facto integration)
3. 貿易政策ツールと東アジアのFTA
4. 経済統合の効果に関する経済理論
5. 結び
COLUMN-1 アジア主要国における工業品関税率
COLUMN-2 日本のコメ輸入における関税割当制度
COLUMN-3 貿易創出効果と貿易転換効果の実例

第2章 サービス貿易  /伊藤恵子・石戸光
1.はじめに
2.サービス貿易の拡大
3.サービス貿易の決定要因と貿易の利益
4.WTOのGATSについて
5.サービス貿易に関する最近の研究動向
6.結び
COLUMN 統計的に捕捉しにくい国際取引

第3章 海外直接投資  /田中清泰
1.はじめに
2.直接投資と経済統合に関する経済理論と実証分析
3.東アジアにおける海外直接投資と国際的投資ルール
4.東アジア統合と直接投資の政策的インプリケーション
5.結び
COLUMN 東アジアのビジネス環境

第4章 労働移動  /佐藤仁志・町北朋洋
1.はじめに
2.国際的な労働移動の姿
3.労働移動の経済学
4.誰が移動するのか
5.労働移動と国際貿易
6.国際的な労働移動が持つ様々な影響
7.労働の国際移動に関する政策
8.結び
COLUMN 外国人労働者受け入れの便益の大きさ

第5章 農業問題  /本間正義
1.はじめに
2.農業問題のとらえ方
3.東アジア農業の構造
4.東アジアの農産物貿易と貿易政策
5.東アジア地域におけるFTAと農業問題
6.日本が展開すべき農業戦略——成長産業への脱皮
COLUMN-1 食料自給率と食料安全保障
COLUMN-2 EUの共通農業政策

第6章 通貨・金融統合  /小川英冶・川崎健太郎
1.はじめに
2.通貨統合の背景:国際通貨体制の歩みと為替相場制度選択
3.通貨統合と最適通貨圏理論
4.東アジアにおける通貨・金融統合の進展
5.政策対話と東アジア・リージョナリズムの醸成
6.結び
COLUMN-1 アジア開発銀行による現地通貨建て債券発行
COLUMN-2 危機後に広がった通貨の非国際化の動き(資本規制)

第7章 制度的枠組み  /渡邊頼純
1.はじめに
2.経済統合の類型とその通商法上の位置づけ
3.東アジア経済統合の特徴とその展開
4.広域化するアジア経済統合
5.結び
補論 「雁行形態発展論」から「環太平洋経済圏構想」へ

第8章 貿易コスト  /熊谷聡
1.はじめに
2.貿易コストの内訳
3.東アジアにおける貿易コスト削減の動き
4.貿易コスト低減の影響
5.結び
COLUMN 貿易コストと国境関連コスト

第9章 産業立地  /黒岩郁雄
1.はじめに
2.「集積を伴う分散」のメカニズム
3.集積の経済の要因
4.経済統合の産業立地への影響
5 再考──貿易費用と「再分散」のメカニズム
6.結び
COLUMN 自動車とエレクトロニクス産業のローカルコンテント

第10章 地域格差  /黒岩郁雄・坪田建明
1.はじめに
2.経済統合と国家間の所得格差
3.東アジアにおける地域格差
4.結び
COLUMN-1 産業の分散と集積
COLUMN-2 経済統合と経済成長
COLUMN-3 格差是正のための政策

第11章 技術革新  /鍋嶋郁
1.はじめに
2.背景
3.成長論における技術革新の位置づけ
4.技術革新の指標
5.技術革新と技術伝播の重要性
6.自国での研究開発能力の向上
7.技術革新に対する地域協力
8.地域統合と技術革新
9.結び
COLUMN 日本における共同研究の仕組み

終章 東アジア統合の意義について  /黒岩郁雄
1.東アジア統合の意義とは
2.少子高齢化と東アジア統合
3.東アジアとの共存共栄にむけて
COLUMN 経済統合の非経済的な効果——「不戦共同体」の実現は可能か


索引