現代アフリカの紛争と国家  ポストコロニアル家産制国家とルワンダ・ジェノサイド

他社で出版した研究成果

明石書店

アフリカの紛争の根本的な原因を、独立後に現れた特異な国家「ポストコロニアル家産制国家」の特質から捉える理論的枠組みを提示し、この枠組みと、植民地化以降の長期的な社会変容の分析とを組み合わせ、人類の悲劇ルワンダ・ジェノサイドに至る過程を解明する。

■ 現代アフリカの紛争と国家 ポストコロニアル家産制国家とルワンダ・ジェノサイド
■ 武内 進一  著
■ 7,150円(本体価格 6,500円)
■ A5判
■ 464pp
■ 2009年2月
■ ISBN978-4-7503-2926-0 C0036

Contents

序 問題の所在と方法

第 I 部 1990年代アフリカの紛争をどう捉えるか

第1章 1990年代アフリカの紛争
 はじめに
 第1節 発生頻度と類型化
 第2節 紛争の新たな特徴
 第3節 先行研究の視角
 まとめ

第2章 ポストコロニアル家産制国家(PCPS)の解体としての紛争
 はじめに
 第1節 独立後のアフリカにおける国家の特質
 第2節 ポストコロニアル家産制国家(PCPS)
 第3節 特質の由来
 第4節 PCPS解体の契機
 第5節 PCPSの解体と新たな紛争の特質
 第6節 植民地秩序とポストコロニアル秩序
 第7節 ルワンダという事例
 第8節 議論の進め方
 まとめ

第 II部 植民地統治の衝撃

第3章 植民地化以前のエスニシティと統治
 はじめに
 第1節 エスニシティの起源
 第2節 統治体制とエスニシティ
 まとめ

第4章 植民地化とルワンダ国家
 はじめに
 第1節 植民地ルワンダの領域的形成
 第2節 植民地経営の改革
 第3節 植民地経営の理念と現実

第5章 植民地期の社会変容
 はじめに
 第1節 社会的不平等と社会秩序
 第2節 土地制度の変容
 まとめ〈第4章・第5章〉

第6章 「社会革命」
 はじめに
 第1節 信託統治地域の政治制度改革(1956年まで)
 第2節 万聖節の騒乱
 第3節 国際社会の介入
 第4節 農村社会にとっての「社会革命」
 まとめ

第III部 ポストコロニアル家産制国家(PCPS)の成立と解体

第7章 カイバンダ政権期の国家と社会
 はじめに
 第1節 政治体制の制度的性格
 第2節 政治制度の実態
 第3節 ローカルな権力と農村社会
 第4節 「イニェンジ」侵攻とその影響
 第5節 対外関係
 まとめ

第8章 ハビャリマナ政権の成立と統治構造
 はじめに
 第1節 クーデタ
 第2節 ハビャリマナ体制の骨格
 第3節 インフォーマルな権力中枢
 まとめ

第9章 混乱の時代
 はじめに
 第1節 経済危機
 第2節 内戦勃発
 第3節 政治的自由化と急進勢力の膨張
 まとめ

第10章 ルワンダ・ジェノサイドに関する先行研究
 はじめに
 第1節 積年の「部族対立」
 第2節 経済的要因、農村社会経済構造
 第3節 人種主義と利得
 第4節 全体主義的動員
 第5節 フトゥ集団内の圧力

第11章 ジェノサイドの展開
 第1節 ハビャリマナ大統領搭乗機撃墜事件
 第2節 新政権の発足
 第3節 ジェノサイドの主体
 第4節 地方におけるジェノサイドの展開過程
 まとめ

結論 アフリカの紛争と国家

 第1節 〈第II部〉〈第III部〉の要点と主張
 第2節 含意
 第3節 PCPSの移行

 写真構成:ルワンダの人びとと風景

 補論1 聞き取り調査について
 補論2 ジェノサイドに関する主要人名録

 あとがきと謝辞
 引用文献
 索引