東アジアの地域統合とAPEC

2010年10月18日(月曜)
グランドプリンスホテル赤坂  五色2階 五色の間
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主催:ジェトロ・アジア経済研究所
後援:経済産業省

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基調講演 「東アジア経済統合の道筋:APECの役割」

白石 隆  (ジェトロ・アジア経済研究所 所長)

2010年7月にアジア経済研究所はAPEC研究センターコンソーシアム会議を主催し、今後APECがどのような方向で展開していくべきかを議論しました。その議論とアジ研内の研究に基づき、APEC首脳会議に向けて3つの提言((1)アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)を明確に定義し、推進する。(2)成長戦略なしには貿易の自由化および投資の促進は進められない。(3)ボゴール・ゴール・プラスとして、通商の自由化、投資の促進、これを補完する成長戦略を中心に据えて、今後のAPECを考えるべき。)を行いました。

FTAAP実現への道筋にとって一番重要なのはTPP(環太平洋パートナーシップ協定)であると考えています。TPPに日本がどう関与してルールをつくっていくかは、日本の今後の通商政策、将来を考えていくうえで基本的な問題です。今こそ、農業政策そのものを転換してTPPに参加を表明していくところにきているのではないでしょうか。

2010年7月のARF(ASEAN地域フォーラム)では、南シナ海における中国とASEAN諸国の領土/漁業問題で、共通の行動規範の重要性が指摘されました。また、東シナ海においても行動規範の問題が重要になってきています。行動規範を打ち立てていくためにはベースとなるような安全保障上の協力・連携が必要となってきています。10月末の東アジアサミット(EAS)にアメリカとロシアが招かれます。G20のうちアジア太平洋に関与する8カ国がEASに参加することになり、これらの国の首脳は年2回会う機会ができます。その結果、大国のコンソーシアムが形成されるということが様々なところで言われるようになってきています。中国、インドの台頭によってこの地域の秩序は変わらざるを得ませんが、平和的に変容するためには、この地域の主要な代表国によって議論する必要があります。APECは、プラザ合意以降事実上の経済統合が進展する中でアジア太平洋の統合/経済協力を進展させようとしてきました。1997と98年の経済危機においては、APECは大きな役割を果たせず、東アジアの枠組が重要になっていきました。しかし、いま再びAPEC/環太平洋での協力・枠組のほうに振り子が戻ってきているのではないでしょうか。本シンポジウムで、今後、環太平洋という枠組で貿易の自由化を進め、どのようにこの地域の経済成長を構想していくのか、そのためにはどのような道筋があるのかを議論し、APECあるいは日本政府に提言していくことを期待します。

白石 隆 ジェトロ・アジア経済研究所 所長

白石 隆 ジェトロ・アジア経済研究所 所長

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