zambiaZambian Breweries

アフリカ成長企業ファイルは2008年度~2009年度に実施した調査事業の成果です。

会社概要と沿革

Zambian Breweriesの前身は、South African Breweries(略称SAB、保有株80%)とBreweries of Canada(保有株20%)により1963年に設立された民間企業Northern Breweries Limitedである。1968年にIndustrial Development Company Limited(INDECO)が株式の55%を取得して国営化された。SABが所有していた25%株はAnglo-American Corporationの子会社ZAMICに売却された。1988年にLabattが持ち株の20%をINDECOに売却し、INDECOによってZambian Breweries Limitedへと社名が変更された。ルサカのCentral DivisionとNdolaのNorthern Divisionという2ヵ所の生産拠点で操業している。

1990年代の民営化政策の一環で、この会社の資産および負債は、新たに設立された法人組織に分配された。これによりCentral DivisionはLusaka Breweries Limitedに、Northern DivisionはNorthern Breweries (1995) Plcに移された。その後Lusaka Breweries Limitedは社名をZambian Breweries Plc(Zambrew)に変更し、Central Divisionの資産と負債、そして「Mosi」の商標名を引き継いでいる。

SABはZambrewの株45%を購入、1994年8月に販売協定を結んで経営管理下においた。SABは1895年創業の、世界第4位の大規模醸造メーカーで、ヨーロッパ、極東、およびアフリカ全域に醸造拠点をもつ。同社は、2002年にアメリカ(ミルウォーキー)のMiller社を買収したのち、SABMillerという社名で知られるようになった。

1998年まで、Zambrewの主な競争相手は、Nile Breweries Ugandaを所有するNorthern Breweriesだった。1999年にZambrewがNorthern Breweriesの株100%を取得したことで、クリアビールの産業界を実質的に独占する状態となった。

国内の所在地

Plot No. 6438 Mungwi Road
Heavy Industrial Area, Lusaka
電話 +260 -1 246 555
ファックス +260 -1 240 642

製品・サービス

Zambian Breweriesのコア事業はクリアビールとソフトドリンクの製造販売である。Zambian Breweriesは、地元においてはCastle(SABMillerのライセンス生産)、Rhino、Mosiのブランド名で醸造を行い、Castle Milk Stout、Hansa Pilsner、Reddsといった様々な輸入ブランド商品を販売している。他のブランドとは違いEagleブランドだけは、ザンビアの天然資源のみを使用した、完全な現地生産である。

炭酸清涼飲料ブランドには、コカコーラ、コカコーラ・ライト、ファンタ、スプライト、シュワェップスがある。

生産は、それぞれが異なった生産を行う3ヵ所の拠点で行われている。ルサカはビールとコーラ、Kitweはソフトドリンク、Ndolaはビール専用の拠点を設置している。

従業員数

1,161人。

財務情報

Zambian Breweriesの財務情報
通貨単位:100万(ZMK) 2006年
4月2日
(再分類後)
2007年
4月2日
2008年
4月2日
(修正)
2009年
4月2日
Revenues 352,916.0 373,900.0 -- 486,651.0
総収入 352,916.0 373,900.0 -- 486,651.0
売上原価 173,156.0 202,644.0 -- 255,136.0
総利益 179,760.0 171,256.0 -- 231,515.0
受取利息および投資収入 229.0 287.0 -- 290.0
支払利息 -6,227.0 -6,364.0 -- -15,378.0
為替差損 173.0 551.0 -- -4,170.0
税引前利益(余剰項目を含まず) 69,042.0 63,713.0 86,999.0 73,824.0
投資損益 -- -- 2,187.0 --
資産売却損益 -- -- 112.0 -348.0
税引前利益(余剰項目を含む) 69,042.0 63,713.0 -- 73,476.0
法人税等 28,352.0 19,454.0 33,070.0 29,384.0

Zambian Breweriesは、2009年第2四半期最初の2ヵ月間で94,103.0ヘクトリットルのクリアビールを生産した。これは、第1四半期最初の2ヵ月間に比べると29.5%増であった。2009年第2四半期最初の2ヵ月間におけるソフトドリンクの生産量は、第1四半期最初の2ヵ月間の65,499.0ヘクトリットルから14.7%減の55,862.0ヘクトリットルであった。

Zambian Breweriesの年間売上量は、クリアビールが約630,000ヘクトリットル、ソフトドリンクが550,000ヘクトリットルである。

売上 (hl 000) 5年間の集計
2005 2006 2007 2008 2009
ラガー(Lager) 577 604
ソフトドリンク 568 546
その他のアルコール飲料 1,122 1,723
合計 1,979 2,083 2,227 2,267 2,873

市場シェア

現在の生産最大能力は、醸造工程で100万ヘクトリットル、包装工程で750,000ヘクトリットルだが、包装工程能力の最適効率性は、50,000ヘクトリットルでしか望めない。これは、同社がザンビア市場の需要に100%応えることができないということを意味している。このため、南アフリカやナミビアから大量の並行輸入を許している。Zambian Breweriesはザンビアの国境地域においてシェアの約50%を、鉄道沿い地域では約5%を失っていると見積もられている。しかしながらZambian Breweriesはザンビアにおけるクリアビール独占企業であり、取引高・売上高では80%を超えるシェアを占めている。

事業目的

「財務実績のみならず持続可能なビジネスモデルの展開によって、ザンビアで最も評価される企業となるよう努める。」

ビジネスモデル

Zambian Breweriesによれば「会社に対して良い評判を得ることがきわめて重要な資産」である。「これにより、市場において競争相手が容易にまねをすることができない、重要かつ持続可能な競争力を持った有利な立場を実現することができる。つまり、わが社にとって社会的評価の管理が、企業戦略上の課題として重要である。Zambian Breweries Groupは、進歩的かつ責任性のある投資者として、ザンビア経済において高い評判を得ている。グループとして、こうした評価には大いに意義を感じている。しかし、高い評価を築くには長い期間がかかり、否定的な影響を与える計画不十分な活動があれば、良い仕事がすべて無駄になってしまうということも認識している。したがってわれわれは評価管理のプロフィールを企業戦略の課題としてかかげ、優先課題のひとつとしている」。企業評価を築くための鍵は、責任あるアルコール消費と環境政策の奨励を目的としたイニシアティブに基づく、強力なソーシャルマーケティング・キャンペーンである。

さらには、生産設備改善に精力的に取り組んでおり、3年をかけてルサカ、コッパーベルト両方の地において、ビール・発泡飲料の生産設備を世界水準にまで引き上げる。また、ケースとボトルをすべて入れ替え、配送用車両のキャパシティと外観をアップグレードする予定である。

配送システムのさらなる改善に関しては、Zambian Breweriesは多額の投資を行ってきた。インフラ強化のため、5ヵ年投資計画の一環として1億USドルを投資する。このほか、新製品の導入、新パッケージ、革新的マーケティング、効率的な配送、ケイタリングサービスを通じて市場の活性化をめざしている。

ザンビアでのSABMillerの戦略は、製品の品質およびアベイラビリティを高めることに重点をおいている。この戦略にしたがって生産拠点を整理統合し、ベストプラクティスを向上させる。また製品ラインアップを刷新し、商品流通経路を見直して、一人当たり消費量を増加させる。

株主・所有権益

Zambian Breweries GroupはSABMillerの子会社であり、National Breweries Plc、Copperbelt Bottling Company、Northern Breweries Plc、Zambia Bottlers、Zambian Breweries Plcを保有する。

ここにはグループが子会社内に持つ株数は記載されていない。

政府との関係・社会貢献

2007年2月、モルトベースのクリアビールの物品税率が70%から75%まで引き上げられた。このためZambian Breweries Groupは販売価格の引き上げを強いられ、すべてのブランドの需要がすぐさま減退してしまった。南部アフリカ地域内においてザンビアの物品税は最も高いものだったので(次に高いのがモザンビークの40%)、この増税はまったく予想されていなかった。この高い物品税がまねいたマイナス効果のひとつは、アウトレット価格で販売される(そのため現地生産のビールに対して強い競争力を持つ)輸入ビールの急増である。

現地通貨クワチャ(Kwacha)の減価で、モルト、ホップ、工場設備、予備部品といった主要な輸入投入財のコストが上がり、2007年には121%まで上がった。ザンビアは周期的に砂糖不足に陥るにもかかわらず、政府は輸入を制限しているため、さらなるコスト上昇に見舞われた。結局Zambian Breweriesは、Zambia Sugar Plc を介して砂糖を輸入することが許された。

2009年に政府は、クリアビールの物品税を75パーセントから60パーセントに引き下げたため、現地ビールの価格を下げることができた。Zambian Breweriesは、クリアビールの物品税をさらに引き下げ、地場産業がアンフェアな市場競争にさらされないようにするため政府と交渉している。

製品開発

現在Zambian Breweriesは、ポリエチレン・テレフタラート(Polyethylene terephthalate: PET)の樹脂ボトル・システム、樹脂製ケースの製造機、二酸化炭素プラント、排出二酸化炭素の貯蔵・輸送用タンクの調達、水処理施設の設置、ラベル添付設備の設置を進めている。

Zambian Breweriesは、従業員ならびに外部の企業家たちへ独立したビジネスオーナーになる機会を与えるために、ソフトドリンク配達のためのManual Distribution Centre(MDC)プログラムを策定した。MDCは、一般的な車による配送には適さない、高密度地域への販売路で役に立つ。

2001年以降はFanta LabelやFusion Iceのレンジ拡大と新ブランドのBurnで、新しいソフトドリンクフレーバーとしてAlco popに着手、成功を収めた。2009年にはCarling Black Labelビールの生産に着手、再生利用可能な375mlビンでの提供を実現している。

同社で最も成功を収めているサプライチェーン・プロジェクトのひとつが、小規模なソルガム(モロコシ)栽培プロジェクトである。これは、Eagleのため高品質ソルガムを生産することを目的としたもので、現在約2,600の小規模農民が全国14地域で参加している。

2009年にZambian Breweriesは、大麦の現地栽培計画を発表した。これによりザンビアの外貨節約に貢献し、年間500億ZMKの収益を農民に提供する予定だ。