senegalMilliom International Cellular

アフリカ成長企業ファイルは2008年度~2009年度に実施した調査事業の成果です。

会社概要と沿革

Millicom International Cellular (Tigo) は新興国の移動通信オペレーターで、アジア、ラテンアメリカ及びアフリカで事業展開している。アフリカ大陸では、セネガル、タンザニア、ガーナ、DRC、シエラレオネ、チャド、モーリシャスに拠点を持つ。

1979年に Industriförvaltnings AB Kinnevik がスウェーデンで小さなモバイル電話会社を買収し、それが後に Comviq GSM となった。同年にはアメリカで携帯電話事業の展開を始め、Millicom Incorporated (Millicom) を設立した。1982年、米連邦通信委員会より3つの携帯開発ライセンスを取得した。同年に Millicom は Racal Electronics Plc とジョイント・ベンチャーを立ち上げ、それは後に Vodafone Group Plc.に発展した。1983年の初め Kinnevik と Millicom は携帯ライセンスの世界各地での申請を開始した。

Millicom International Cellular S.A. (MIC) は1990年12月14日に Industriförvaltnings AB KinnevikとMillicom の両社が国際的な携帯ジョイント・ベンチャーの成立構想の実現策として設立した。そして1992年6月16日、ルクセンブルグ国内法の下で法人化された。

1993年、MIC はかつてMIC株の約49%を取得していた Millicom と、Millicom 買収の協議を始めた。NASDAC に上場し、Millicom の株主にMICの直接株主となってもらうこと、そして Millicom の主な資産を提供することが目的であった。1993年12月30日、Millicom株主に対し MIC との合併を提案し、可決された。1993年12月31日、MICは正式にNASDAQにおいて取引を開始した。合併によりMICにおけるMillicon の全株と、MACH と Millicom のイギリスを基盤とする公衆電話通信の 3C (U.K.) における全株を取得した。テレビ衛星通信、イギリスでのブロードバンド・ライセンスや、コンピュータネットワーク会社である Innova Inc を含む Millicom の他の事業が発展し、American Satellite Network Inc.となる。

2008年、Millicom は、中央アメリカにおけるブロードバンドとケーブルテレビ・サービスの主提供会社であるAmnet Telecommunications Holding Limited を買収した。

TIGOはセネガルでは2006年に事業を開始、国内の旧ブランドSENTEL GSMに代わり、国際的なブランドを立ち上げた。TIGOは900mHzでGSM/GPRS/EDGEテクノロジーを使用、セネガルでは583のセルサイトを有する。Sentel GSM S.A.は1999年に設立された。Tigo Sentel はセネガルに210万人の契約者を持つ。

国内の所在地

15, Route de Ngor BP :146-Dakar, Senegal;
Telephone: +(221) 33 869 74 20
Facsimile: +(221) 33 820 67 88

製品・サービス

Millicom はプリペイド携帯電話サービスを提供する。セネガルにおいては、プリペイド、ポストペイド、そしてメッセージサービスを含む携帯サービスを行っている;保留、割込通話、ボイスメール、ファックス、インターネット、着信音、画像メッセージ、eメールでのグリーティングカード、グループロゴ、そしてテキスト画像である。また、eメールへのSMS、SMSチャット、ゲーム、請求書と残高、インフォメーションサービス、国内の長距離通話サービスである。加えて、Sente では電話端末及び無線電話を製造、輸出している。

Tigo はセネガルで最初にGPRS (General Packet Radio Service) を実施したオペレーターでもある。

従業員数

合計:6,607人、セネガルについては不明

財務情報

Africa Revenue

KEY PERFORMANCE INDICATORS - ANNUAL
AFRICA 2003 2004 2005 2006 2007 2008
Revenue (US$ '000) 76,995 139,121 194,054 306,090 469,833 711,366
EBITDA (US$ '000) 33,681 64,811 86,998 124,638 154,819 237,580

セネガルGSM の収入は Millicom の世界収入の5%未満で、2008年の EBITDA の3%未満である。

市場シェア

Sentel は市場の33.6%を占める。

事業目的

「事業を展開し、株主に還元することで国内経済の発展を促す。我々の目的は、顧客の希望が何であるかを知り、さらに、目標とする付加価値サービス (VAS)、データ、ブロードバンド・サービスを提供することによって顧客の心をつかむことである」

ビジネスモデル

Millicom のモデルは重点的な投資によって行われ、技術革新によるコストコントロールと、Affordable (手頃な価格)、Accessible (アクセスのしやすさ)、Available (安定した供給) のトリプルAを、新興国市場の顧客に対して展開する。我々の戦略であるトリプルA は重要な要素で、モバイルサービス事業を新興国で成功させるために必要な相互補完的要素である。

手頃な価格

手頃な価格とは単に安く提供するという意味ではなく、プリペイド支払期間の額面を低くすることで、低所得者に合った価値あるサービスを提供することである。

アクセスのしやすさ

アクセスしやすいとは、前払いしたサービスをすぐ利用できるということである。顧客の住まいや生活圏を考慮した上での量販ネットワークにより実現している。

安定した供給

安定した供給とは、広範囲のネットワークに適切な容量を持たせ、顧客が広範囲でモバイルサービスを利用できるようにすることである。 Millicom は今日新興国で最も急成長を続ける携帯通信会社であり、他社より大きく成長を続けることができると確信している。価格管理、技術革新で市場シェアを確保する能力を備えており、卓越したマーケティングを中心とした戦略は新興国市場にうってつけであり、その能力はTigoブランドで体現されている。 新興国には3億人近い携帯電話非保有の潜在顧客がいることが、同社の成長余力といえる。今日のモバイル普及率は40%超で、商品とサービスの改良、独自のプロモーションとトリプルA戦略は顧客を魅了し続け、今後もアフリカ、アジアにおいて最高の普及率を維持することが見込まれる。ラテンアメリカでは同社製品の市場普及率が70%を超えており、更なる発展には技術改革を急がなければならない。 開拓が遅れているアジアとアフリカでは、主に音声サービスを利用しやすくし、VASを特定の市場セグメントに売り込むことで市場向上を目指す。 2008年のアフリカでは広範囲なネットワークの拡大が主要事業で、目標の加入者数増加を達成するため、1,000以上の新たな基地局を地区全体に建設した。2008年、アフリカには、Millicomの地域的範囲とネットワークの容量拡大にともない、同社の資本支出の43%が投下されたことになる。同年の重点戦略は、上記の投資効果を最大化させることと、Distribution Management System (DMS) を成熟市場に拡大することである。 同社のアフリカ事業は、製品の技術革新と低価格化を実現し、顧客にTigoブランドの価値をさらに認知してもらうことを重視している。今後もアフリカ全土でのマーケティングとプロモーションに大きな市場投資をする。それは、まだアフリカではモバイルの開拓が初期段階であり、普及率も比較的低く、新たな市場参入者との競争もまだ激しくないからである。我々は新たな競争の脅威に、「Tigo 4 Life」など最高クラスの顧客ロイヤリティー獲得プロモーションで立ち向かっている。年後半は受信地域、手頃さ、エンターテイメント、呼び出し音、インターネット、Extreme Value、Text a Lot and Free Nights など、Tigo製品とその優れたサービスの認知を促すためのコミュニケーション戦略を重視した。Tigo はまた、安定して顧客数を確保する為、顧客セグメンテーション方法を導入した。

株主・所有権益

Sentel は Millicom International Cellular (MIC) の子会社である。2006年3月14日、Millicom への配当は計3,500万ドルにのぼり、残りの25%は、セネガルでMillicom が100%保有する Stentel GSM の利益となる。

政府との関係・社会貢献

セネガル政府は、Millicom の操業ライセンスを剥奪しようしており、国際投資紛争解決センター(ICSID) で争点になっている。2008年12月12日、政府は Sentel のライセンスは2001年から無効だと主張している。

Sentelの20年間のライセンスは、2002年セネガル電気通信法施行前の1998年に、前政権によって与えられている。現セネガル政府は2002年以降 Sentel のライセンスを認めているものの、Sentel に対しライセンスの取得期間に関する再交渉を求めている。Sentel はライセンスへの一定の強化と、データサービス及びライセンスの期間に関してのみ交渉に応じるとしている。

2008年11月11日、Millicom の完全子会社である Millicom International Operations B.V.(MIO B.V.) とSentelは、国際投資紛争解決センター (ICSID) と共にセネガル政府に対して、Sentelライセンスと国際法の定めるところに従って調停の手続きを開始した。MIO B.V.とSentel は、セネガルライセンスの没収とライセンス不履行期間の被害に対する賠償を求めている。

同日、セネガル政府は Millicom とSentel に対し、訴訟手続きをセネガルで開始し、Sentel のライセンス取り消しを訴え、Sentel と Millicom に損害賠償を求めた。Millicom は、セネガル政府の行動には根拠がなく、Sentel とセネガル共和国がライセンスに対するすべての争点について国際調停の場に提出した合意を無視していると主張している。

2009年初め、セネガル事業監査人 (ARTP) は、Sentel GSM を2009年の携帯基地局市場における独占事業者とした。Sentel の23%に比して Sonatel が77%を保有しており、市場シェアにすると、Sentel 33.6% に対して Sonatel 66% であるにもかかわらず、である。訴訟はまだ続いている。

製品開発

Sentel は複数のプロモーションを行っているが、そのひとつが、2米ドルのリフィルを申し込むと抽選でレスリングイベントのチケットがもらえるというものだ。このプロモーションにより、減少していた加入者数を回復することができた。

DMS は2008年にセネガルに導入され、2大ディーラーが市場の約80%をカバーしている。各店舗に定期的に在庫チェックに回っており、ブランド認知度は一貫して高い。

Millicom は、“Triple Sensibilization” と呼ばれるキャラバンを用いて、大都市の人々に僻地の人々のことを啓蒙し、寄付を呼びかけるプロモーションも行っている。