nigeriaChevron Nigeria Limited シェブロン・ナイジェリア

アフリカ成長企業ファイルは2008年度~2009年度に実施した調査事業の成果です。

会社概要と沿革

シェブロンは世界最大規模の総合エネルギー企業である。本社はカリフォルニア州レイモンにあり、世界100カ国以上で事業を展開している。

シェブロンの旧名はStandard Oil of California(SoCal)である。SoCalは、ジョンD.ロックフェラーのスタンダードオイル社が反トラスト規制によって1911年に分裂したことで、設立された。

SoCalは1984年にGulf Oilと合併、その当時では史上最大の合併であった。反トラスト規制に従いSoCalは、ガルフが運営する子会社の大半から投資を引き上げ、米国東部にあるガルフのガソリンスタンドの一部と製油所を売却した。SoCalは社名をChevron Corporationに改めた。2001年にシェブロンはテキサコを吸収し、シェブロン・テキサコとなった。

2005年5月9日、シェブロン・テキサコは社名からテキサコを削り、シェブロンという社名に戻ることを発表した。テキサコはシェブロンの商標名に名を残している。2005年8月19日、シェブロンはUnocal Corporationを買収した。ユノカルは東南アジア地域に大規模な地熱発電事業を有しており、シェブロンは世界最大の地熱エネルギー製造者になった。

シェブロンは1913年にナイジェリアに初めて進出し、当初はテキサコ製品の販売を行った。1963年、American Overseas Petroleum Ltd、後のTexaco Overseas (Nigeria) Petroleum Coは、ナイジェリア沖合Koluamaフィールドで石油を発見した。同年シェブロン・ナイジェリア社はEscravos川周辺の掘削を開始し、Okanフィールドを発見した。1996年、シェブロンはApapaに、最先端技術を駆使した103,000バレルの貯蔵ターミナルとローディングガントリーを建設した。

シェブロンは主に、ナイジェリアのニジェールデルタ地域の陸上と近海沖合で操業している。また、ナイジェリア沖合の深海にも広範な権利を有している。そのなかにAgbamiフィールドがあるが、これは現在のところナイジェリア沖で最大の深海油田である。この油田には実収9億バレルの原油と液体天然ガスの推定埋蔵可能性があり、2009年末までに1日当たり生産量が最大250,000バレルに達すると見込まれている。

国内の所在地

Chevron Nigeria Limited: 2 Chevron Drive, Lekki Peninsula, Lagos, Nigeria, Telephone: +23.4.1.260.0600

Chevron Oil Nigeria PLC: 8 McCarthy Street, Lagos, Nigeria; Telephone: +23.4.1.461.4500.9; Fax: +23.4.1.461.4606

製品・サービス

シェブロンは、原油と天然ガスの探査、生産、製造、マーケティング、輸送、化学物質の製造販売、地熱発電、発電など、原油・天然ガス産業のあらゆる分野に従事している。また、再生可能エネルギーと先端技術に資本投下している。ナイジェリアでトップの高品質な潤滑剤、グリース、石油ゼリー、プラスチック容器の製造者である。

従業員数

1,800名。

財務情報

総売上:6億2627万ドル
純利益:1689万ドル

2008年にシェブロンは1日当たり石油に換算して253万バレルの純産出量を記録した。このうち約75%は、米国を除く20ヵ国以上で産出された。

市場シェア

シェブロンはナイジェリア沖合の深海で最大のエーカー数を有している。2008年のシェブロンの、ナイジェリアにおける平均原油日産量は計376,000バレルであり、2008年の原油の総生産量は1日当たり平均15,000バレル(純生産量5,000)であった。

2008年におけるナイジェリアの原油生産量は平均194万bbl/dであり、シェブロンはアフリカ最大の原油の製造者であった。2008年のシェブロンの市場シェアは19.3%であった。

事業目的

「人材、パートナーシップ、業績のすべてが高く評価される、世界的なエネルギー会社になること。」

ビジネスモデル

「弊社の主な事業戦略は、世界の成長分野で総合的にトップのポジションを獲得することである。グローバルアップストリームでは、中核となる分野で収益性の高い成長を遂げ、後世に名を残すような新たなポジションを確立する。グローバルガスでは、自社のガス資源を商業化するとともに、影響力の大きい国際的なガス事業を成長させる。グローバルダウンストリームでは、統合的な価値の創出に重点を置きながら、収益を伸ばして選択的に成長する。再生エネルギーでは、再生可能エネルギー技術に資本を投下し、収益性の高いポジションを獲得する。

以下の3つの実行戦略を全社的に適用する

  • 戦略を実現するための人材投資

  • 優れた業績と成長を達成するための技術向上

  • 事業運営、コスト管理、資本管理、収益性において世界レベルの成果を上げるため、組織的機能(いわゆる4+1)を構築する

主要事業と実行戦略に沿って、わが社が競争力を高めようとしている具体的な事業分野で成功を収めるため、綿密な計画、方策、メトリクスを用意している。詳細計画は競争現場で常に試され、持続的で競争力のある業績を達成できるよう常に改定されている。

シェブロンは、自社の製油システムに合わせて販売事業を調整するため、小売店を売却する。2008年に英国の灯油事業を売却したほか、ナイジェリア、ケニア、ウガンダ、ベナン、カメルーン、コンゴ共和国、コートジボワール、トーゴにおけるマーケティング等事業と、ブラジルでの燃料販売事業の売却を発表した。」

株主・所有権益

2008年末にシェブロンは、ナイジェリア沖合12ヵ所の深海ブロックに18~100%の利権を所有していた。このうち4ブロックで操業。これらの利権は約220万エーカー(8,900平方キロメートル)をカバーしており、利権の60%を所有するNigerian National Petroleum Corporation (NNPC)との合弁で操業している。

利権の内訳は、石油採掘権(OML)113(18%の遊休作業利権)、OML 127(80%所有、操業)、OML 128とOML 129(46.2%遊休作業利権)、OML 132(100%所有、操業)、OML 138とOML 139(30%遊休作業利権)、OML 140(95%所有、操業)、石油探査権(OPL)214(20%遊休作業利権)、OPL 221(40%遊休作業利権)、OPL 223(30%遊休作業利権)、OPL 247(54%所有、操業)である。

シェブロンは「オンショアエリア」と総称される6油田の40%の利権を所有し、操業している。

シェブロンはEscravosガスプラント(EGP)の40%を所有し、操業している。また、EscravosガスプロジェクトのPhase 3Bもシェブロンが40%所有している。シェブロンはOlokola LNGプロジェクトを実施するOlokola Liquefied Natural Gas Free Zone Enterprise (OKLNG)の19.5%を保有している。

シェブロンはWest African Gas Pipeline Company Limitedの36.7%を所有する筆頭株主である。同社は全長421マイル(678 km)のWest African Gas Pipelineの建設して所有し、操業しているが、これは、ナイジェリアの天然ガスをガーナ、ベナン、トーゴに、発電と産業用途のため供給している。

シェブロンは、原油回収増強プロジェクトであるSouth Offshore Water Injection Project操業権の40%を所有している。このプロジェクトの目的は、水注入によってOkanとデルタ地域の生産効率を上げて、生産量を増加させることである。2008年の原油の総生産量は、1日当たり平均15,000バレル(純生産5,000)であった。

政府との関係・社会貢献

ナイジェリア人の経済参加を増やすため制定されたNigerian Indigenization Decree of 1978により、シェブロンは所有株式の40%をナイジェリアの一般国民に売却。Chevron Oil Nigeria PLCの株式比率は60%になった。

注: アダックス・オイルの「 政府との関係 」参照。

製品開発

2003年、地域の騒乱と施設の破壊行為により、シェブロンはWestern Niger Deltaでの生産を封鎖した。2007年末に生産量が90%まで回復、2008年には7ヵ所の湿地フィールド(Abiteye、Makaraba、Utonana、Opuekeba、Benin River、Gbokoda、Dibi)での操業が平常に復した。Oleroクリーク再建のため2007年に始まった建設は2008年も継続、2011年の完成を予定している。2008年に行われた浅瀬の探査活動では、OML 89のEkuraでの調査井掘削と、OML 53の地震データ収集が行われた。Agbamiフィールドでは2008年7月に初めて原油が産出された。確認ボーリングと完了作業により、2009年末までに1日当たり最大25万バレルの液体油の生産が見込まれる。2012年には20年間のOML 138プロジェクトの生産開始が予定されており、新たに確認された埋蔵量の採油スケジュールが組みかえられる予定である。シェブロンは炭化水素を埋蔵する3ヵ所の井戸の掘削に参加しており、2ヵ所はOPL 214のUge試掘区に、1ヵ所はOML 113のAje試掘区にある。EscravosでのEGPフェーズ3A拡張プロジェクトの建設は2008年も続いており、完成は2009年末、操業開始は2010年に予定されている。またシェブロンとNNPCはEscravosに日産34,000バレルの天然ガス液化(GTL)施設を開発中であり、これは、EGPフェーズ3A拡張プロジェクトにより日産3.20億立方フィートの天然ガスを処理できるよう設計されている。2008年末に基本エンジニアリングが完了、施設建設が始まった。

国内の技術的専門知識の利用可能性を高めるため、シェブロンはナイジェリア国内のパートナーとチームを形成し、ナイジェリアで初めてAdvanced Technology Center for Subsurface Studiesを設立した。このセンターは2002年に開所し、高性能技術研究を実施することが可能である。センターの初めての契約は、Merenフィールドの未開発埋蔵地に関する徹底的なシミュレーション研究であった。

シェブロンはナイジェリア北部のYolaにBiotechnology Centre of the Federal University of Technologyを設立した。同センターは分子生物学、薬剤分析、先端的農業技術の研究とトレーニングを行う設備を備えている。シェブロンは建設費用を負担し、運営費として20万ドルを寄贈した。