nigeriaAddax Petroleum Corporation アダックス・ペトロリアム

アフリカ成長企業ファイルは2008年度~2009年度に実施した調査事業の成果です。

会社概要と沿革

アダックス・ペトロリアムは、アフリカと中東に集中した国際的な石油とガスの探索・製造会社である。アダックスはナイジェリアとガボンに、複数の生産拠点から成る資産を所有しているほか、西アフリカとイラクのクルディスタン地域に探索と採掘拠点を有している。

2009年8月18日、中国石油化工集団公司(Sinopec)がアダックス・ペトロリアムの買収を完了した。シノペックグループは2009年6月24日に1株当たり52.8カナダドル(CAD)の買取価格で買収契約を締結した。この取引は8月6日に中国の規制当局によって承認された。これは、単独の中国企業による過去最大の海外石油ガス資産の買収となった。産業専門家は「アダックスの資産は良質でしっかり構成されており、相当の確定埋蔵量を含んでいて潜在的成長力に優れている」と見ている。

同社は1994年に設立され、トロント証券取引所(TSX、2006年2月以降)とロンドン証券取引所(LSE)のメイン市場(2007年5月以降)に株式が上場された。2008年の1日当たり平均産出量は136.5 Mbblであり、アダックス・ペトロリアムは西アフリカおよび中東地域最大の独立系石油生産会社のひとつ。

2008年第4四半期にアダックス・ペトロリアムはナイジェリアで5基の掘削装置を稼働しており、その内訳はOML123で甲板昇降式海洋石油掘削装置2基、OML126で半潜水型海洋掘削装置1基、OML124で陸上リグ2基であった。

国内の所在地

10, Bishop Aboyade Cole, Lagos, Lagos, Nigeria

製品・サービス

アダックス・ペトロリアムの主な資産はナイジェリア、ガボン、イラクのクルディスタン地域にあり、石油・ガスの埋蔵量比率は良好。同社は計25ヵ所の認可済み区画を所有しており、このうち15ヵ所は調査中、10ヵ所は開発中である。全区画のうち17ヵ所は海底、8ヵ所は陸上に位置している。

従業員数

326名。

財務情報

2008年度に37.62億米ドルの総収入を記録しており、純利益は7.84億米ドル、営業キャッシュフローは15.21億米ドルであった。2009年第2四半期のロイヤルティ支払前の石油売上高は7.35億ドルを計上しており、前年同期の14.93億ドルのロイヤルティ前石油売上高から51%減少した。ロイヤルティ前石油売上高の減少は、2009年第2四半期に平均原油価格が1バレル当たり59.45ドルにまで52%下落したことに主に起因しているが、同期間の売上高の2%増により幾分相殺された。

主に石油価格の変動により、ナイジェリアにおける2008年第4四半期の売上収益は前年同期比44%減となったが、年間では2007年から35%増加した。

市場シェア

2008年、アダックス・ペトロリアムのナイジェリア・ビジネスは、同社総生産の79%を占めていた。2008年のナイジェリアの原油生産は1日当たり平均194万bblであり、アフリカ最大の産油国である。アダックスの2008年の市場シェアは21.2%であった。

アダックスの埋蔵量

事業目的

「アダックス・ペトロリアムは、石油とガス資源の探索、開発、生産を通じて価値を創出するとともに、埋蔵地域の将来に貢献することを目的としている。また、中東の一部の国とアフリカで再投資と戦略的買収を通じ、ビジネスを成長させることを目的としている。」

ビジネスモデル

アダックス・ペトロリアムはナイジェリアで、生産余力が限定的で残存的と判断された油脈を買収し、コスト効率の高い方法で埋蔵量と生産量を拡大するため、強力な自社技術と操業知識を活用することにより成長を遂げてきた。アダックス・ペトロリアムの戦略は、ナイジェリア国内の石油ガス産業の主なトレンド(メジャーが、沖合や陸上油田から大規模な深海油田へとシフトしていること、ナイジェリア政府による2008年のガス・フレアアウト目標に基づく天然ガス商品化の動き、政府による石油セクターへの現地企業参入奨励)に従って、重要なビジネス機会を構築することである。

「アダックス・ペトロリアムはダイナミックな探査プログラムと現在の石油ガス生産資産の持続的開発を通じて埋蔵量と生産量を拡大する戦略により、株主価値を創出することを目的としている。この成長戦略は、現在の資産ポートフォリオに対する持続的な再投資方針と、アフリカと中東における新たなベンチャーおよび戦略的買収機会の発見により、いっそう強化される。」

株主・所有権益

ナイジェリア国内でアダックス・ペトロリアムは以下の作業利権を所有している。

ライセンス 作業利権 % 純エーカー数 操業者
ナイジェリア
OML123 » 100.00 90,700 APC
OML124 » 100.00 74,100 APC
OML126 » 100.00 178,300 APC
OML137 » 100.00 209,500 APC
OPL291 » 72.50 230,600 APC
Okwok » (OML67内) 40.00 9,000 Oriental
OPL227 » 40.00 84,100 Express
総計 876,300
法人株主:筆頭株主
株主 所有株式 所有株式の比率%
カルミナック・ジャスティオン 389万 2.45% 2009年6月30日現在
キャピタルワールドインベスター 277万 1.74% 2009年4月30日現在
JPモルガン・アセットマネジメント社 (英国) 257万 1.62% 2009年3月31日現在
グッドマン&カンパニー・インベストメントカウンセル社 216万 1.36% 2008年12月31日現在
ブラックロック・インベストメントマネジメント社 (英国) 193万 1.22% 2009年2月28日現在

政府との関係・社会貢献

ナイジェリア政府は、石油産業法案を導入して新しい財政収入を獲得しようとしている。政府は、ロイヤルティ、税、罰金による収入を高めようとして急進的な手段に訴えた。このようなことは初めてである。石油会社はこの動きに反対している。会社側の言い分は「ナイジェリアでのビジネスは、世界のほとんどの国よりもコストが高く、未発達なインフラと治安の問題もあって、近隣地域のなかでは石油・ガス事業の魅力が最も乏しい」ということである。さらに、新しい法律により石油会社の利ザヤが縮小されれば、ナイジェリアからの事業撤退に追い込まれる可能性があると主張している。提案されている法案の一部は以下のとおりである。

価値に基づくロイヤルティ率

第438条第1項:
ロイヤルティ率は、未開拓地を含め地域によって異なるものとする。第434条に定められた石油生産に関する各PML(石油採掘リース)の月平均価値に基づき、
 (a) 原油とコンデンセート
 (b) 天然ガス別個に決定されるものとする。

同第2項:
油とコンデンセートに対するロイヤリティ率は、
 (a) 1バレル当たりUS $ 0からUS $ 70以下の価値に対しては0%。
 (b) 1バレル当たりUS $ 70超からUS $ 110以下に対してのロイヤルティ率は、1バレル$ 70を超えた価値の増分US $ 1ごとに0.4%のロイヤルティパーセンテージが上乗せされる。
 (c) 1バレル当たりUS $ 110超からUS $ 140以下に対してのロイヤルティ率は、1バレル$ 110を超えた価値の増分US $ 1ごとに16%+0.2%ずつのロイヤルティパーセンテージが上乗せされる。
 (d) 1バレル当たりUS $ 140超からUS $ 170以下に対してのロイヤルティ率は、1バレル$ 140を超えた価値の増分US $ 1ごとに22%+0.1%のロイヤルティパーセンテージが上乗せされる。
 (e) 1バレル当たりUS $ 140を超える価値に対するロイヤルティ率は25%とするものとする。

同第3項:
天然ガスに対するロイヤリティ率は、
 (a) 100万Btu当たりUS $ 0からUS $ 2以下の価値に対しては0%。
 (b) 100万Btu当たりUS $ 2超からUS $ 6以下に対してのロイヤルティ率は、100万Btu 当たり$ 2を超えた価値の増分US $ 0.10ごとに0.3%のロイヤルティパーセンテージが上乗せされる。
 (c) 100万Btu当たりUS $ 6超からUS $ 10以下に対してのロイヤルティ率は、100万Btu 当たり$ 6を超えた価値の増加US $ 0.10ごとに12%+0.2%のロイヤルティパーセンテージが上乗せされる。
 (d) 100万Btu当たりUS $ 10超からUS $ 15以下に対してのロイヤルティ率は、100万Btu 当たり$ 10を超えた価値の増加US $ 0.10ごとに20%+0.1%のロイヤルティパーセンテージが上乗せされる。
 (e) 100万Btu当たりUS $ 15を超える価値に対するロイヤルティ率は25%とするものとする。

同第4項:
石油価格レベルと第2項に記載されているUS $ 1、ガス価格レベルと第3項に記載されているUS $ 0.10は、第431条に準じて調整されるものとする。

ライセンス料とリース料

第433条第1項:
すべての石油探査ライセンス(PEL)については、PELの付与時点から毎年、1平方キロメートル当たりUS $ 10の貸借料が課せられるものとする。

同第2項:
すべての石油探鉱ライセンス(PPL)は、
 (a) PPLの付与時点と1年および2年の時点において1平方キロメートル当たりUS $ 100、
 (b) PPL付与から3年および4年の時点で1平方キロメートル当たりUS $ 300、
 (c) PPLの付与から5年以降は1平方キロメートル当たりUS $ 500、
 (d) 第277条第10項に定められた重要ガス田の探査期間は、1平方メートル当たり年間賃貸料はUS $ 10,000とし、ガス発見の宣言時から毎年支払うものとする。

同第3項:
すべての石油採掘リース(PML)は、PMLの付与時点から毎年、1平方キロメートル当たりUS $ 1000の貸借料が課せられるものとする。

同第4項:
PEL、PPL、PMLは最初の年に適用される賃貸料が前払いされない場合、付与されない。

同第5項:
PELまたはPPLの周年の時点で賃貸料の支払いが滞った場合、ロンドン銀行間出し手金利(LIBOR)の利率に加えて支払遅滞分の2%が米ドルで適用されるものとする。適用される賃貸料の支払いが3ヵ月以内になされない場合、第293条第1項(d)に従ってライセンスが打ち切られるものとする。

同第6項:
賃貸料は本法令第431条に準じて調整されるものとする。

同第7項:
あらゆる賃貸料は、検査官によって確認、徴収されるものとする。

さらに、この法案は以下のように述べている。
 (1) 連邦政府はいかなる場合も、既存の法律と政令に従い、石油産業のあらゆる分野において国内の企業と人材の関与、および地元で生産された物品とサービスの使用を促進する。
 (2) ナイジェリアの何らかの法律に基づいて、請負または役務契約がナイジェリアの国内企業の能力の範囲内であるとみなされる場合、入札リストをナイジェリアの企業に限定しなければならない。
 (3) 石油産業の上流または下流のいずれかの分野に関与するすべての会社は、ライセンス、リース、契約、許諾の条件として、その時点で抗力を有するナイジェリア国内法に関連した法律の条項と条件に従うものとする。
 (4) 検査官によって指示されたローカルコンテンツ法の条項に従わない場合、ライセンス、リース、契約、許諾の撤回の根拠となるものとする。

2002~2004年のナイジェリア連邦歳入庁による監査結果に関して、アダックス・ペトロリアム社は歳入庁と係争中である。本件は、Addax Petroleum Servicesからアダックスのナイジェリア法人に課せられた所得税と付加価値税、そして石油利得税算定のための収入評価に関するものである。アダックス・ペトロリアムの経営陣は、付加的な法的義務が発生するにしても、現在の税金とロイヤルティで適切に対処されていると考えている。

ナイジェリア生産物分与方式(PSC)における所得税率は60%である。

製品開発

アダックスは2009年に、ナイジェリアのOML124ライセンス地域の東部で掘削が進められているNjaba 2油井(旧Okaka)から大量の陸上石油が発見されたと発表した。これは、ナイジェリアにおける同社の最大の油脈のひとつになる可能性をもつ。Njabaの発見は、80年代中期以降にOML124で掘削された最初の調査井であり、この成果は同地域での生産可能性を大幅に増大させ、残存する未掘削地域の見通しを大きく改善するものである。

2008年にアダックス・ペトロリアムはナイジェリアで7ヵ所の試掘井と2ヵ所の調査井を掘削しており、確定埋蔵量と推定埋蔵量は、2007年12月31日現在の262.7 MMbblから、2008年12月31日現在324.0 MMbblまで23%増加した。ナイジェリアで最大となる埋蔵量の増加は、OML123のKita海洋フィールドの試掘活動がもたらしたものであり、このフィールドにおける推定埋蔵量は34.0 MMbbl増加した。